説明文の解き方

夏井(中学受験専門 夏井算数塾代表):今回は入試でも頻繁に登場する、説明文の解き方についてという事でお伺いします。
色んなアプローチの仕方があると思いますが、ざっくりと説明頂ければと思います。
長島:説明文の中でも色んな設問があります。
代表的な解き方を三つぐらいご紹介出来ればと思います。
まず、棒線の理由を説明しなさい、という問題が結構頻出します。
棒線の理由を考えてすぐに分かるのであれば、皆さん出来てしまいます。
そういう問題もないとは言わないですが、もうちょっと難易度をあげたいです。
その場合にどうするかというと、まず棒線と同じ所を見つけます。
棒線と全く同じ事を言っているじゃないか、という所が10行離れた所ぐらいにあるのが一般的な気がします。まず棒線と同じ所を見つけてあげます。同じですから、理由も同じになる訳です。
という事で、同じ所を見つけてそれの理由を考える、というアプローチがあります。
他には、棒線はどういう事ですか?という問題もあります。
どういう事ですか?という事は説明して下さい、という事です。
説明するという事は、言い変える事になります。
私の言葉で言うと、イコールの内容を作るという事です。
例えば、イケメンという言葉を説明しなさいと、言われたら、かっこいい男性と答えれば正解です。
イケメンとかっこいい男性はどっちもイケてる男子という事ですから、同じイコールです。
イコールの内容を探しにいくというのも、よく使う解き方です。
あとは、棒線をいくつかのブロックに分けてあげます。
やっぱり棒線を説明しなさい、という問題で、棒線の前半部分はこれ、真ん中はこう、後半はこれ、というふうに棒線を分解して考えるというやり方もあります。
説明文の解き方と言っても無限にある気はいたしますが、代表選手としてはこの三つぐらいです。

注意ポイント

夏井:それらを使うにあたって、注意しなきゃいけないポイントはどんなものが考えられますか?
長島:まずは設問にちゃんと素直に答えるという所からです。
理由を聞かれる問題なのか、イコールの内容答えなきゃいけないのか、なにを求められているのかというのをまず認識します。
解き方はありますが、最初からその解き方を使おうと思う事は必ずしもないかもしれません。
例えば理由を聞かれた時に、まずイコールの内容を見つけるんだ、というアプローチを今紹介しましたが、最初は素直に理由を考えていけばいいと思います。
そこで理由は見つからなかったけど同じ内容があった、棒線とイコールの内容があったとなれば
じゃあここの理由を考えればいいじゃないか、というふうに話を展開していけばいいと思います。
なので、習った解き方を最初から使おうと意識する事は必ずしもないと思います。
まずは聞かれた事に素直に答えて、その中で習った解き方が使えるかも、と思える瞬間が出てくる感じなのだと思います。

答えを自分で言い換えるか文章中から見つけるかの見極め

夏井:例えば、問題の答えが散りばめられていて、
ここから拾っていけばいいという指導の仕方というのはよく聞く話ではありますが、
たまに自分で言葉を紡がないと答えにならないというケースもままあったりすると思います。
長島:そうですね。確かに私も原則、文章の中に答えはあるよ、と言います。
ですが、中には棒線を自分で言い変えなきゃいけない、という時もあります。
たまに生徒さんから、自分で言い換えればいいのか、文章から探せばいいのか
それはどうやって見極めるんですか?とご質問頂きます。
それは私も15年くらいこの仕事をしていますので、15年やっていれば分かります。
ですが、受験生に15年この仕事をしろというのも無茶な話ですから、生徒さんにはこう言います。
初めからそんなのは見えてくる訳ないだろ、と言います。
ただ、割合としては文章に書いてある事の方が多いです。ざっくり八割九割は文章から見つけます。
なので、まずは探しにいってくれて構いません。探しにいって見つからなかったら最後の手段として、自分で言い変え考えてみるか、というような優先順序を決めて頂ければ宜しいかなと思います。

説明文が理解できないときの対処法

夏井:例えば物語文と比べた時に、説明文は全くちんぷんかんぷんな事が書いてあるというのが
物語文よりは割合的に多いような気がします。
その、マジちんぷんかんぷんでやべえみたいな状態の時に
どういうアプローチをしていけばなんとか乗り切る事が出来るんでしょうか?
長島:それは学校側が設問を作ってくれていますので、視野を狭くしているというのが大切です。
結構長い文章が出題されますから、それだけ長いとちょっと全然思考が追いつかないとなると思いますが、設問ではこの棒線について考えて下さい、とわざわざ考える範囲を限定してくれています。
なので、問われた設問にちゃんと答えていくという形で、うまく視野を狭くしていくと、
棒線の理由はここだったのか、というふうに見える事もありますから、設問にちゃんと応える。
裏を返せば、視野をうまく狭くする、というのが一つの対処法だろうと思います。
夏井:視野を狭くするというのは、見る範囲を限定するという事です?
例えば棒線部の付近だけを眺めるという事でしょうか?
長島:必ずしもそうではないです。
棒線の理由を答えなさい、と言われたらとにかく棒線の理由を探すという事になります。
付近にヒントがある事も多いですが、それが必ずしも近くだけで解決する訳ではないので、
それもとにかく棒線の理由、棒線の理由、と目を皿のようにしておくという事です。
なので、狭くするのは場所の話ではなくて、これについて考えるんだ、というふうに考える事をシンプルにするという事だと思います。

中学受験 説明文のポイント

受験における説明文では、解法に基づいて答えを文中から見つけていくことが求められます。

たとえば、〇〇を説明せよという問題があったとしましょう。説明するということは、イコールの内容を答えるということです。というのも、「優秀」という言葉を説明せよと言われたら、「優れているということ」と答えれば正解ですが、両者は同じ意味なので、イコールで結べます。以上のことから、〇〇を説明せよと言われたらその〇〇とイコールの内容を見つければよいということになります。

では、どのようにしてイコールの内容を見つけるのでしょうか。よく使う手法を二つご紹介します。

一つめが三段論法です。たとえば、問題文の12行目に「Xとは〇〇である(①)」、20行目に「XはYという意味だ(②)」と書かれていたとしましょう。①より〇〇=X、②よりX=Yが成り立つとわかります。そうすると、〇〇とXが同じものですから、X=YのXは〇〇に置き換えられます。置き換えると、〇〇=Yとなります。以上より、〇〇とイコールなのはXとYですから、この二点を答えのポイントにすればよいのだとわかります。〇〇=Xで、X=Y、よって〇〇=Yが成り立つ。このような考え方を三段論法と呼びます。

 

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二つめがブロック分けです。傍線部⑴「そういう日本が、いま、新たな半身だけの巨人に追い抜かれようとしている」を説明せよという問題が、とある学校の入試で出題されました。傍線部がこれだけ長いと、イコールになるところはなかなかありません。そういう時は「そういう日本が」をX、「いま、新たな半身だけの巨人に」をY、「追い抜かれようとしている」をZと置きます。まずXですが、傍線部の直前に注目するとX=「GDPが右肩下がりの日本が」なのだと分かります。また、傍線部の3行ほど前に新たな半身だけの巨人とは中国であると書かれていました。ですから、Y=「いま、中国に」となります。Zは「抜かれつつある」という内容です。これで傍線部⑴=「GDPが右肩下がりの日本が、いま、中国に抜かれつつある」だと分かりました。このように、傍線部を分解し、それぞれとイコールの内容を考え、それらをつなぐことでイコールの内容を把握する方法もあります。そして、この手法をブロック分けと呼びます。

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今回ご紹介した三段論法やブロック分けは特定の文章でのみ使えるという類のものではありません。どのような文章でも使える普遍的な手法です。また、入試では如何なる文章が題材となるか分かりません。以上のことから、普遍的な手法の獲得が説明文の得点力を高める唯一の方法だと言えるでしょう。

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