中学受験の国語で頻出の「説明文」。
物語文に比べて内容が抽象的で、「何を言っているのかよく分からない……」と感じるお子さまも少なくありません。
本ページでは、説明文の代表的な解き方と、ちんぷんかんぷんでも何とか点数につなげるための考え方を整理してご紹介します。

「説明文の設問にもいろいろな種類がありますが、まずは代表的な解き方を三つ押さえておくだけで、記述問題に対する精度が一気に上がります。」

説明文の基本的な解き方3つ

説明文の設問は多様ですが、まず押さえておきたい代表的な3つのパターンがあります。

① 傍線部の「理由」を答える問題

最も頻出なのが、「傍線部の理由を説明しなさい」というタイプの問題です。

  • 素直に「なぜそうなのか?」と理由を考えてみる
  • 見つからなければ、傍線部と同じ内容が書かれている場所を探す
  • 多くの場合、傍線部から少し離れた位置(例:10行ほど離れた場所)にヒントがある

なぜそれで理由が分かるのかというと、

傍線部と内容が同じなら、その理由も同じだからです。

つまり、まずは傍線部とイコールの内容を探し、その箇所について書かれている「理由」を読みに行くという流れです。

② 傍線部を「説明=言い換え」する問題

次に多いのが、「傍線部はどういうことですか。」という設問です。
これは、傍線部を自分の言葉で説明=言い換えることを求められています。

ここでのポイントは、

説明とは、イコールの内容を作ること。

例えば、

  • 「イケメンとはどういうことですか?」
  • →「かっこいい男性」

この二つは、「イケている男子」という意味でイコール関係にあります。
説明文の問題でも同じで、本文の中から傍線部と同じ意味になる部分を探し、その内容を答えとしてまとめます。

③ 傍線部をブロックに分けて考える問題

傍線部が長く、一気に意味をつかみにくい場合は、「分解して整理する」ことが有効です。

  • 前半/中盤/後半といった具合に、意味のかたまりごとにブロックに分ける
  • それぞれのブロックとイコールになる表現を本文中から探す
  • 最後に、それらをつなぎ合わせて一つの説明文にする

このような分解→対応→再構成のプロセスを、ここでは「ブロック分け」と呼びます。

「説明文の解き方は実際にはもっとたくさんありますが、まずはこの三つが『代表選手』です。
この三つが使えるようになるだけで、説明文の記述問題に対しての精度が一気に上がります。」

設問には「素直に」答えるのが基本

テクニックを知ることは大切ですが、最初から解法ありきで考えすぎないことも重要です。

  • 「理由を答えなさい」と聞かれたら、まずは素直に理由を考える
  • それで見つからなければ、傍線部とイコールの内容を本文から探しに行く
  • 「三段論法」「ブロック分け」などのテクニックは、その次の手段として使う

解き方だけを先に当てはめようとすると、かえって視野が狭くなったり、設問の意図を取り違えたりすることがあります。
「設問にちゃんと素直に答える」という原則を、常に一番上に置いておきましょう。

文章から探す? 自分で言い換える? の優先順位

説明文の記述では、

  • 本文中からそのまま抜き出したり、要約すればよい場合
  • 自分で言葉を紡いで言い換えなければならない場合

の二通りがあります。

「自分で言い換えればいいのか、文章から探せばいいのか、それはどうやって見極めるんですか?」という質問をよくいただきます。

実際には、経験を積むほど感覚的に分かる部分もありますが、受験生にとっては次の優先順位を意識するだけで十分です。

  1. まずは文章の中から答えを探しにいく
  2. それでもどうしても見つからなければ、最後の手段として自分の言葉で言い換える

割合としては、ざっくり8~9割は文章中から見つかると考えてよいでしょう。
したがって、基本戦略としては「まず探す → だめなら自分で言い換える」という流れを徹底することがポイントです。

説明文がちんぷんかんぷんのときの対処法

物語文に比べて、説明文はテーマも語彙も難しく、
「マジでちんぷんかんぷんでやばい……」という状態になってしまうこともよくあります。

そんなときに有効なのが、「視野を狭くする」という発想です。

「視野を狭くする」とは、場所ではなく「考える内容」を絞ること

多くの入試問題では、学校側がすでに設問によって考える範囲を限定してくれています。

  • 長い文章全体を理解しようとしてパンクするのではなく、設問が聞いていることだけに集中する
  • 「この傍線部の理由を答えなさい」と書いてあれば、ひたすら傍線部の理由だけを探す
  • ヒントが近くにあることも多いが、必ずしも傍線部付近だけとは限らない

大事なのは、

「どこを見るか?」よりも、「何について考えるのか?」をシンプルにすることです。

文章が難しくても、「今はこの傍線部の理由だけを探せばいい」と視野をぎゅっと絞ることで、思考が整理され、必要な情報にたどり着きやすくなります。

中学受験 説明文のポイントと代表的テクニック

ここからは、説明文のポイントをもう少し論理的に整理します。
受験の説明文では、「〇〇を説明せよ」=「〇〇とイコールになる内容を答えよ」という意味になります。

例えば、

  • 「『優秀』という言葉を説明せよ」
  • →「優れているということ」

両者は同じ意味なので、「優秀」=「優れているということ」とイコールで結べます。
したがって、「〇〇を説明せよ」と言われたら、〇〇とイコールの内容を探すのが基本方針です。

そのイコールの内容を見つけるために、特に有効なのが次の二つです。

テクニック① 三段論法でイコールをつなぐ

一つめは、三段論法です。例えば、次のような記述があったとします。

  • 12行目:「Xとは〇〇である。」(①)
  • 20行目:「XはYという意味だ。」(②)

ここから、

  • ①より「〇〇=X」
  • ②より「X=Y」

が分かります。Xは同じものなので、Xの代わりに〇〇を入れても意味は変わりません。すると、

〇〇=X、X=Y よって 〇〇=Y

という関係が成り立ちます。
つまり、〇〇とイコールの内容は「X」「Y」の二つであり、これらを答えのポイントとしてまとめればよいわけです。

このように、すでに与えられているイコール関係をつないで新しいイコールを作る考え方を、ここでは「三段論法」と呼びます。

テクニック② ブロック分けで長い傍線部を整理する

二つめは、先ほども触れたブロック分けです。
実際の入試で出題された、次のような長い傍線部を例に考えてみましょう。

傍線部⑴「そういう日本が、いま、新たな半身だけの巨人に追い抜かれようとしている」を説明せよ。

この傍線部のままだと、イコールになる部分を探しづらく感じます。そこで、次のように分解します。

  • 「そういう日本が」= X
  • 「いま、新たな半身だけの巨人に」= Y
  • 「追い抜かれようとしている」= Z

それぞれについて本文を読んでいくと、

  • X:直前の文から「GDPが右肩下がりの日本が」だと分かる → X=GDPが右肩下がりの日本が
  • Y:数行前に「新たな半身だけの巨人とは中国である」と書かれている → Y=いま、中国に
  • Z:「追い抜かれようとしている」=「抜かれつつある」という内容 → Z=抜かれつつある

これらをつなげると、

傍線部⑴ = 「GDPが右肩下がりの日本が、いま、中国に抜かれつつある」

というイコールの内容が浮かび上がります。
このように、

  1. 長い傍線部をブロックに分ける
  2. それぞれとイコールの内容を本文から探す
  3. 最後につなぎ合わせて一文にする

という手順で整理していくのが「ブロック分け」です。

説明文の理由を文中から見つける重要性

長文説明文で迷わないための解答テクニック

普遍的な手法を身につけることの重要性

今回ご紹介した三段論法ブロック分けは、特定の文章にしか通用しないテクニックではありません。
どのような説明文でも使える、普遍的な読み方・考え方です。

入試では、どんな文章が題材になるかは誰にも分かりません。
だからこそ、

普遍的な手法の獲得が説明文の得点力を高める唯一の方法

だと言えます。
一つひとつの文章に対する「その場しのぎの解き方」ではなく、どの文章にも応用できる型を身につけていきましょう。

まとめ:説明文で点数を取るためのチェックリスト

  • まずは設問に素直に答える:理由・説明・言い換えなど、何を求められているかを正確に把握する
  • 理由問題:傍線部とイコールの内容を本文から探し、その部分の「理由」を読む
  • 説明(言い換え)問題:〇〇とイコールの内容=同じ意味になる表現を本文から見つける
  • 長い傍線部は分解:前半・中盤・後半などに分けて、それぞれのブロックとイコールの内容を考える
  • 文章から探すのが基本:8~9割は本文中に答えがある。どうしても見つからないときだけ自分で言い換える
  • 視野を狭くする:文章全体を理解しようとするのではなく、「今この設問で聞かれていること」だけに集中する
  • 三段論法・ブロック分け:イコールの関係をつないだり、分解して再構成したりすることで、抽象的な内容を具体化する
  • 普遍的な手法を身につける:どんな文章でも使える読み方の型を持つことで、未知の文章にも対応できる

説明文が苦手なお子さまでも、「イコールを探す」「理由を探す」「視野を狭くする」という軸を押さえることで、少しずつ手応えが変わってきます。
ぜひ、動画とあわせて繰り返し復習し、入試本番での安定した得点源にしていきましょう。

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