意見文・主張文・小論文の書き方|複数の意見を踏まえて考えをまとめる

小論文や意見文で反論を書くときは、相手の意見を強く否定する必要はありません。反対意見に一定の理由があることを認めたうえで、その意見だけでは解決できない問題を示し、自分の主張につなげることが大切です。

反論を書く基本の3段階

  1. 認める:「たしかに」を使い、反対意見の利点や理由を取り上げる
  2. 問題を示す:「しかし」を使い、その意見だけでは不十分な点を説明する
  3. 主張につなげる:自分の立場の方が妥当だと考える理由を示す

たとえば、「大学のすべての授業を英語で行うことは望ましい」という意見に反論する場合、次のように考えます。

反論の短い例
たしかに、英語で授業を受ければ、専門知識と同時に英語力を伸ばせるという利点がある。しかし、すべての授業を英語で行うと、専門内容そのものを十分に理解できない学生が出る可能性もある。そのため、英語による授業を増やすことには賛成だが、すべての講義を英語にすることには慎重であるべきだ。

この文章では、英語授業の利点を認めたうえで、「専門内容の理解が浅くなる可能性」という問題を示し、自分の立場につなげています。単に「英語の授業には反対だ」と書くのではなく、相手の意見のどこに限界があるのかを理由とともに説明することが、反論を書くときの基本です。

意見文・主張文・小論文で書き出しにくいのは、自分の考えがないからとは限りません。多くの場合、論点、反対意見、反論、最終主張をどの順に並べるかが見えていないことが原因です。

このページでは、「論点→反対意見→反論→最終主張」の流れを、例題を使って整理します。小論文だけでなく、中学生や高校生が書く意見文・主張作文にも応用できる考え方です。

この記事で確認できること

  • 反論と単なる否定の違い
  • 「たしかに・しかし・そのため」を使った反論の作り方
  • 600字程度の小論文で反対意見と反論を入れる流れ
  • 意見文・主張作文に使える短い反論例
  • 書いた答案を見直すときの確認ポイント

反論と単なる否定の違い

反論とは、相手の意見を感情的に否定することではありません。反対意見の内容を確認し、どの点が不十分なのかを理由や具体例とともに説明することです。

たとえば、「学校へのスマートフォンの持ち込みを自由に認めるべきか」という問いについて、次の二つを比べてみましょう。

単なる否定

学校へのスマートフォンの持ち込みを自由に認めるべきではない。

これだけでは、なぜ自由な持ち込みを認めるべきではないのかが読み手に伝わりません。

理由を示した反論

たしかに、スマートフォンがあれば、緊急時に家族と連絡を取れるという利点がある。しかし、自由に使用できる状態では、授業への集中を妨げたり、生徒同士のトラブルにつながったりする可能性もある。そのため、スマートフォンの持ち込みを無条件に認めるのではなく、使用できる時間や場所について明確なルールを設けるべきだ。

理由を示した反論では、スマートフォンの利点を認めたうえで、自由な使用によって生じる問題を示しています。さらに、持ち込みを無条件に認めるのではなく、明確なルールを設けるという自分の主張につなげています。

反論を書くときは、反対意見のすべてを否定するのではなく、次のような部分に注目します。

  • その意見だけでは解決できない問題がないか
  • 一部の人にしか当てはまらない考えではないか
  • 利点よりも大きな問題が生じる可能性はないか
  • 目的と手段が入れ替わっていないか

反論を書くときに使いやすい接続語

反対意見と自分の主張の関係を分かりやすくするために、接続語を使います。

  • たしかに:反対意見にも理由や利点があることを認める
  • しかし:反対意見だけでは不十分な点や問題点を示す
  • そのため・したがって:理由を受けて、自分の最終的な主張を示す

ただし、接続語を入れるだけで反論になるわけではありません。「しかし」の後に、相手の意見の何が不十分なのかを具体的に書く必要があります。

反論を書くときの順序

たしかに、〇〇という利点はある。しかし、〇〇という問題も考えられる。そのため、私は〇〇すべきだと考える。

この順序は、短い意見文や主張作文にも使えます。実際の答案では、問題点を示すだけでなく、なぜ問題なのかを理由や具体例で補うことが大切です。

小論文は問いに答える文章である

小論文は、思いついた意見をそのまま書く文章ではありません。与えられた問いに対して自分の立場を示し、その理由を筋道立てて説明する文章です。

小論文の基本の流れ

  • 論点:何について賛否や考えを述べるのかを示す
  • 反対意見:自分と反対側の考えを一度取り上げる
  • 反論:反対意見だけでは不十分な点を示し、自分の考えを支える
  • 最終主張:問いに対する自分の答えを短くまとめる

最初に「何について書くのか」をはっきりさせないまま書き始めると、途中で話題が広がり、採点者に伝わりにくい文章になります。

たとえば、次のような問いを立てると、文章の方向が見えやすくなります。

  • 授業をすべて英語で行うことは妥当か
  • 学校の制服は必要だと言えるか
  • 読書量を増やすことは学力向上に役立つか

このように、自分の立場を示せる問いに整理することが、小論文の出発点です。

例題で見る小論文の組み立て方

例題
大学において、すべてを英語で行う講義が増えてきている。その風潮に対するあなたの考えを600字以内でまとめなさい。

この例題では、「大学の授業をすべて英語で行うことは望ましいか」という論点を立てると考えやすくなります。

1.論点を示す

論点の例

大学で英語による授業が増えているが、すべての講義を英語で行うことは本当に望ましいのだろうか。

最初に論点を示すと、読者は「英語による授業の是非について書く文章なのだ」と理解できます。いきなり感想を書くのではなく、何について考えるのかを示すことが大切です。

2.反対意見を取り上げる

反対意見の例

たしかに、グローバル化が進む現代では、英語を使って学ぶ機会を増やすことに意味がある。英語で授業を受ければ、専門知識と同時に英語力も伸ばせるという利点がある。

反対意見は、自分と違う考えを否定するためだけに書くものではありません。別の立場にも理由があることを示すことで、その後の反論が読み手に伝わりやすくなります。

3.反対意見に反論する

反論の例

しかし、すべての授業を英語で行えば、学生が内容そのものを深く理解できない可能性もある。特に専門性の高い授業では、母語で丁寧に考えることで理解が深まる場面も多い。英語力を高めることは重要だが、それによって学問内容の理解が浅くなっては本来の目的から外れてしまう。

この反論では、「英語力を伸ばせる」という利点そのものは否定していません。そのうえで、「大学の授業の目的は英語力を高めることだけではない」という問題を示しています。

反論を考えるときは、反対意見が重視している利点を確認し、その利点を優先するとどのような問題が生じるかを考えます。

4.最終主張を示す

最終主張の例

したがって、大学のすべての授業を英語で行うことには慎重であるべきだ。英語を学ぶ機会は必要だが、専門内容を深く理解できる授業環境を優先することも同じくらい大切である。

最後は、論点に対する自分の答えを短く示します。新しい話題や理由を増やさず、本文で説明した内容を受けてまとめます。

次に確認したい小論文の構成
反対意見や反論を、600字の中でどのように配置するかも重要です。
序論・本論・まとめの割合や、論点をどの段落に置くかを確認したい場合は、構成の記事に進んでください。

中学生にも使いやすい意見文・主張作文の反論例

「論点→反対意見→反論→最終主張」の考え方は、600字程度の小論文だけでなく、中学生や高校生が書く短い意見文・主張作文にも使えます。

テーマの例

学校の制服は必要か。

たしかに、制服がなければ、自分の好きな服を着ることができる。しかし、毎日の服装を決めることが負担になる人や、服装の違いを気にする人もいる。制服があれば、服装による差を意識する場面を減らせるため、学校生活では制服を設けることにも意味があると考える。

この例でも、私服の利点を認めたうえで、私服だけでは解決できない問題を示しています。

短い意見文では、反対意見を長く説明しすぎると、自分の主張を書く分量が不足します。反対意見は要点を一つに絞り、反論と自分の理由に多くの文字を使うと、立場が伝わりやすくなります。

答案を書く前と書いた後に確認すること

書き始める前に論点と理由を整理し、書いた後に反論と最終主張のつながりを確認します。

  • 論点が一文で示せるか
    テーマが広い場合は、「妥当か」「必要か」「賛成か反対か」の形に整理します。
  • 反対意見に理由があるか
    自分と違う立場の人が、なぜそう考えるのかを短く示します。
  • 反論する部分が明確か
    反対意見のすべてを否定せず、不十分だと考える部分を一つ選びます。
  • 問題点を説明できているか
    「問題がある」と書くだけでなく、なぜ問題なのかを理由や具体例で補います。
  • 最終主張が論点に答えているか
    最後に新しい話題を出さず、本文で説明した理由を受けて自分の立場をまとめます。

練習するときは、最初から長い答案を書こうとせず、論点、反対意見、反論、最終主張を一文ずつ書くところから始めても構いません。

書いた後は、反対意見と反論の間に「しかし」を入れれば自然につながるか、自分の主張が最初の問いに答えているかを確認します。

書いた答案を見直すときは
反論を書いた後は、「何を理由として書けているか」を確認することが大切です。
小論文と国語記述では答えの作り方は異なりますが、答案の要素を確認する考え方は、書いた文章を見直す練習にもつながります。自分の答案で反論と最終主張のつながりを確認したい場合は、個別指導のページも参考にしてください。

小論文と国語の記述答案の違い

小論文と国語の記述答案では、答えを作る方法が異なります。

  • 国語の記述:本文中の根拠を使って、設問に合う答えを作る
  • 小論文:与えられたテーマや資料をもとに、自分の立場と理由を示す

国語の記述では、自分の意見ではなく、本文中の言葉を根拠にして答えます。本文根拠や言い換えの扱いを確認したい場合は、国語記述の書き方と本文の言葉の使い方をご覧ください。

高校生の現代文記述も確認したい場合
小論文だけでなく、国公立大現代文の記述で答案をまとめる練習が必要な場合もあります。
本文根拠の拾い方、理由の足し方、字数調整、答案のつなげ方を確認したい高校生は、現代文記述の記事もあわせて確認してください。

小論文の反論に関するよくある質問

反対意見は必ず書く必要がありますか。

課題の条件や文字数によって異なります。短い意見文では、自分の主張と理由だけでまとめる場合もあります。ただし、複数の立場を踏まえて考える問題では、反対意見を取り上げてから反論すると、自分の立場を説明しやすくなります。

反論する理由が思いつかないときは、どうすればよいですか。

反対意見の利点だけを見るのではなく、その意見を実際に行った場合に困る人はいないか、別の問題が生じないか、目的を達成できるかを考えます。反対意見のすべてを否定しようとせず、不十分だと感じる部分を一つ探すと考えやすくなります。

反対意見はどのくらいの長さで書けばよいですか。

相手の立場と理由が分かる程度にまとめます。反対意見が長くなりすぎると自分の主張が弱く見えるため、反論と自分の理由に必要な分量を残します。

自分の意見と反対意見は、どちらを先に書けばよいですか。

順番は一つではありません。最初に自分の立場を示す方法も、反対意見を示してから自分の主張を述べる方法もあります。どちらの立場について書いているのかが分かる順番にすることが大切です。

意見文や主張作文でも同じ書き方を使えますか。

基本的な考え方は使えます。文字数が少ない場合は、反対意見を一文程度にまとめ、自分の反論と理由を中心に書きます。

まとめ

  • 反論では、相手の意見を否定するだけでなく、不十分な点を理由とともに示します。
  • 「たしかに」で反対意見を認め、「しかし」で問題点を示すと、文章の関係が分かりやすくなります。
  • 反対意見のすべてではなく、自分が問題だと考える部分を一つ選んで反論します。
  • 反論の後には、自分の立場の方が妥当だと考える理由を示します。
  • 短い意見文では、反対意見を簡潔にし、自分の理由を中心に書きます。

小論文は、特別な文才がなければ書けないものではありません。反対意見を正しく捉え、その意見だけでは不十分な点を説明し、自分の主張へつなげる練習を重ねることで、論理的な文章を書きやすくなります。

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