意見文・主張文・小論文の書き方|複数の意見を踏まえて考えをまとめる
小論文や意見文で反論を書くときは、相手の意見を強く否定する必要はありません。反対意見に一定の理由があることを認めたうえで、その意見だけでは解決できない問題を示し、自分の主張につなげることが大切です。
反論を書く基本の3段階
- 認める:「たしかに」を使い、反対意見の利点や理由を取り上げる
- 問題を示す:「しかし」を使い、その意見だけでは不十分な点を説明する
- 主張につなげる:自分の立場の方が妥当だと考える理由を示す
たとえば、「大学のすべての授業を英語で行うことは望ましい」という意見に反論する場合、次のように考えます。
反論の短い例
たしかに、英語で授業を受ければ、専門知識と同時に英語力を伸ばせるという利点がある。しかし、すべての授業を英語で行うと、専門内容そのものを十分に理解できない学生が出る可能性もある。そのため、英語による授業を増やすことには賛成だが、すべての講義を英語にすることには慎重であるべきだ。
この文章では、英語授業の利点を認めたうえで、「専門内容の理解が浅くなる可能性」という問題を示し、自分の立場につなげています。単に「英語の授業には反対だ」と書くのではなく、相手の意見のどこに限界があるのかを理由とともに説明することが、反論を書くときの基本です。
意見文・主張文・小論文で書き出しにくいのは、自分の考えがないからとは限りません。多くの場合、論点、反対意見、反論、最終主張をどの順に並べるかが見えていないことが原因です。
このページでは、反論の意味を確認したうえで、「論点→反対意見→反論→最終主張」の流れを例題を使って整理します。小論文だけでなく、中学生や高校生が書く意見文・主張作文にも応用できる考え方です。
反論とは?意味と単なる否定との違い
一般に反論とは、相手の意見や主張に対して、別の理由や根拠を示しながら意見を述べ返すことです。単に「違う」「賛成できない」と否定するだけではなく、なぜその意見だけでは不十分なのかを説明することが重要です。
小論文や意見文における反論では、反対意見の内容を確認し、その考えにも理由があることを踏まえたうえで、不十分な点や別の問題を理由・具体例とともに示します。そして、その説明を自分の主張につなげます。
たとえば、「学校へのスマートフォンの持ち込みを自由に認めるべきか」という問いについて、次の二つを比べてみましょう。
単なる否定
学校へのスマートフォンの持ち込みを自由に認めるべきではない。
これだけでは、なぜ自由な持ち込みを認めるべきではないのかが読み手に伝わりません。
理由を示した反論
たしかに、スマートフォンがあれば、緊急時に家族と連絡を取れるという利点がある。しかし、自由に使用できる状態では、授業への集中を妨げたり、生徒同士のトラブルにつながったりする可能性もある。そのため、スマートフォンの持ち込みを無条件に認めるのではなく、使用できる時間や場所について明確なルールを設けるべきだ。
理由を示した反論では、スマートフォンの利点を認めたうえで、自由な使用によって生じる問題を示しています。さらに、持ち込みを無条件に認めるのではなく、明確なルールを設けるという自分の主張につなげています。
反論を書くときは、反対意見のすべてを否定するのではなく、次のような部分に注目します。
- その意見だけでは解決できない問題がないか
- 一部の人にしか当てはまらない考えではないか
- 利点よりも大きな問題が生じる可能性はないか
- 目的と手段が入れ替わっていないか
反論を書くときに使いやすい接続語
反対意見と自分の主張の関係を分かりやすくするために、接続語を使います。
- たしかに:反対意見にも理由や利点があることを認める
- しかし:反対意見だけでは不十分な点や問題点を示す
- そのため・したがって:理由を受けて、自分の最終的な主張を示す
ただし、接続語を入れるだけで反論になるわけではありません。「しかし」の後に、相手の意見の何が不十分なのかを具体的に書く必要があります。
接続語を使った基本形
たしかに、〇〇という利点はある。しかし、〇〇という問題も考えられる。そのため、私は〇〇すべきだと考える。
この形は、冒頭で示した「認める→問題を示す→主張につなげる」という3段階を文章にしたものです。実際の答案では、型を当てはめるだけでなく、「しかし」の後に、なぜそれが問題なのかを理由や具体例で補うことが大切です。
例題で見る小論文の組み立て方
小論文は、思いついた意見をそのまま書く文章ではありません。与えられた問いに対して自分の立場を示し、その理由を筋道立てて説明する文章です。
反論を含む小論文では、次のように整理すると文章の方向が見えやすくなります。
反論を含む小論文の流れ
- 論点:何について賛否や考えを述べるのかを示す
- 反対意見:自分と反対側の考えを一度取り上げる
- 反論:反対意見だけでは不十分な点を示し、自分の考えを支える
- 最終主張:問いに対する自分の答えを短くまとめる
ここからは、冒頭で示した英語授業の反論例が、どのような流れで組み立てられているのかを分けて確認します。
例題
大学において、すべてを英語で行う講義が増えてきている。その風潮に対するあなたの考えを600字以内でまとめなさい。
この例題では、「大学の授業をすべて英語で行うことは望ましいか」という論点を立てると考えやすくなります。
1.論点を示す
論点の例
大学で英語による授業が増えているが、すべての講義を英語で行うことは本当に望ましいのだろうか。
最初に論点を示すと、読者は「英語による授業の是非について書く文章なのだ」と理解できます。いきなり感想を書くのではなく、何について考えるのかを示すことが大切です。
2.反対意見を取り上げる
反対意見の例
たしかに、グローバル化が進む現代では、英語を使って学ぶ機会を増やすことに意味がある。英語で授業を受ければ、専門知識と同時に英語力も伸ばせるという利点がある。
反対意見は、自分と違う考えを否定するためだけに書くものではありません。別の立場にも理由があることを示すことで、その後の反論が読み手に伝わりやすくなります。
3.反対意見に反論する
反論の例
しかし、すべての授業を英語で行えば、学生が内容そのものを深く理解できない可能性もある。特に専門性の高い授業では、母語で丁寧に考えることで理解が深まる場面も多い。英語力を高めることは重要だが、それによって学問内容の理解が浅くなっては本来の目的から外れてしまう。
この反論では、「英語力を伸ばせる」という利点そのものは否定していません。そのうえで、「大学の授業の目的は英語力を高めることだけではない」という問題を示しています。
反論を考えるときは、反対意見が重視している利点を確認し、その利点を優先するとどのような問題が生じるかを考えます。
4.最終主張を示す
最終主張の例
したがって、大学のすべての授業を英語で行うことには慎重であるべきだ。英語を学ぶ機会は必要だが、専門内容を深く理解できる授業環境を優先することも同じくらい大切である。
最後は、論点に対する自分の答えを短く示します。新しい話題や理由を増やさず、本文で説明した内容を受けてまとめます。
中学生にも使いやすい意見文・主張作文の反論例
「論点→反対意見→反論→最終主張」の考え方は、600字程度の小論文だけでなく、中学生や高校生が書く短い意見文・主張作文にも使えます。
テーマの例
学校の制服は必要か。
たしかに、制服がなければ、自分の好きな服を着ることができる。しかし、毎日の服装を決めることが負担になる人や、服装の違いを気にする人もいる。制服があれば、服装による差を意識する場面を減らせるため、学校生活では制服を設けることにも意味があると考える。
この例でも、私服の利点を認めたうえで、私服だけでは解決できない問題を示しています。
短い意見文では、反対意見を長く説明しすぎると、自分の主張を書く分量が不足します。反対意見は要点を一つに絞り、反論と自分の理由に多くの文字を使うと、立場が伝わりやすくなります。
答案を書く前と書いた後に確認すること
書き始める前に論点と理由を整理し、書いた後に反論と最終主張のつながりを確認します。
- 論点が一文で示せるか
テーマが広い場合は、「妥当か」「必要か」「賛成か反対か」の形に整理します。 - 反対意見に理由があるか
自分と違う立場の人が、なぜそう考えるのかを短く示します。 - 反論する部分が明確か
反対意見のすべてを否定せず、不十分だと考える部分を一つ選びます。 - 問題点を説明できているか
「問題がある」と書くだけでなく、なぜ問題なのかを理由や具体例で補います。 - 最終主張が論点に答えているか
最後に新しい話題を出さず、本文で説明した理由を受けて自分の立場をまとめます。
練習するときは、最初から長い答案を書こうとせず、論点、反対意見、反論、最終主張を一文ずつ書くところから始めても構いません。
書いた後は、反対意見と反論の間に「しかし」を入れれば自然につながるか、自分の主張が最初の問いに答えているかを確認します。
反論の書き方を確認した後に読みたい内容
反論の基本を確認した後は、自分がつまずいている部分に合わせて、小論文全体の構成や答案の見直し方を確認すると整理しやすくなります。
小論文と国語の記述答案では、答えを作る方法が異なります。小論文では与えられたテーマや資料をもとに自分の立場と理由を示しますが、国語の記述では本文中の根拠を使って設問に合う答えを作ります。
国語記述の本文根拠や言い換えの扱いを確認したい場合は、国語記述の書き方と本文の言葉の使い方をご覧ください。自己採点や部分点については国語記述の自己採点と部分点の考え方、国公立大学の現代文記述については国公立大現代文記述の書き方も参考になります。
小論文の反論に関するよくある質問
反対意見は必ず書く必要がありますか。
反論する理由が思いつかないときは、どうすればよいですか。
反対意見はどのくらいの長さで書けばよいですか。
自分の意見と反対意見は、どちらを先に書けばよいですか。
意見文や主張作文でも同じ書き方を使えますか。
まとめ
- 反論とは、相手の意見を否定するだけでなく、不十分な点を理由や根拠とともに示すことです。
- 小論文では、反対意見にも理由があることを踏まえたうえで、自分の主張につなげます。
- 「たしかに」で反対意見を認め、「しかし」で問題点を示すと、文章の関係が分かりやすくなります。
- 反対意見のすべてではなく、自分が問題だと考える部分を一つ選んで反論します。
- 短い意見文では、反対意見を簡潔にし、自分の反論と理由を中心に書きます。
小論文は、特別な文才がなければ書けないものではありません。反対意見を正しく捉え、その意見だけでは不十分な点を説明し、自分の主張へつなげる練習を重ねることで、論理的な文章を書きやすくなります。
反論の基本を理解したら、小論文全体の構成や書いた答案の見直し方も確認すると、文章を直すときの視点を持ちやすくなります。実際の小論文で反論や最終主張のつながりを確認したい場合は、上の「答案を書く前と書いた後に確認すること」で紹介した方法も参考にしてください。


