国語の過去問を繰り返し解くことに意味はあるのか?

代表インタビュー

過去問を繰り返し解くことの意味

夏井(中学受験専門 夏井算数塾代表):今回は、過去問を解く事の意義について、になります。
入試直前期になればなるほど、志望校の過去問を解くという事は増えていきます。
これは全教科統一で同じ事だと思うんですが、国語という科目で過去問を解く事の意義についてというお話がしたいと思っています。まず、意義はありますか?
長島:もちろん、あると思います。
そもそも記述が多いのか少ないのか、記述が多いのであればそれに慣れなければいけないという勉強の方向性は示してくれると思います。
ある程度問題の形式は各学校によって毎年決まっていますので、適応していく必要があります。
物語文が結構長かったり説明文が意外と短かったり、そういうのを認識するというのは大切だと思います。それを大前提として踏まえた上で、学校別の対策がどれくらい必要なのかというとちょっとまた難しい所があります。結局、求められる力は本質的には国語の場合変わらないと思います。
さっき記述が多いのかどうかという話題が出ましたけれども、
記述にせよ選択肢にせよ答えに当たる所をちゃんと見つけるという作業をやらなきゃければいけません。その答えを探すような手順は、学校によって変わるというのはほとんどないと思います。
だから普遍的な力がまずあり、それを高めなければいけません。
その上で、あとは形式に慣れていき、時間配分の感覚を身に付けていきます。
そこが意義になるのかなと思っています。

出題のクセ

夏井:なるほど。
算数で言うと、例えば色んな単元が出ます。
頻出品質単元だと、例えば立体の切断が毎回出たり、速さは必ず出たり、平面図形あんまり出ないというのが一応傾向と言われていますが、それ以外にその問題を出す癖「クセ」みたいなものがある事が多いです。ただの速さの問題が出ると言っても速さの中身が結構違ったりあまりにもややこしい速さの問題が出たりして、こんなものいらないなという事が結構あったりします。
要は単元とか、例えば国語で言うと文章の内容とかという事に依拠しない出題の「クセ」みたいなものが算数は結構あります。国語はどうですか?
長島:国語でも学校によるクセは確かにある気がします。
本当に棒線の前後だけ見れば答えが出せるという問題が多い学校がぱっと頭に浮かんだりもします。
接続詞が大切って一般的に言われるじゃないですか?
「だから」があれば因果関係はなんだろうとか、逆に「だから」があるから理由はこれだよねと分かるような問題は中々出ません。
例えば、「一生懸命走った、なんとか間に合った」という文章があるとします。
この場合、別に「だから」と書いてなくても間に合ったのは一生懸命走ったからですよね?
そういう明確な接続詞とかはないけれども、それはこの前後関係見たら理由はこれってすぐに思う、みたいな所から出題してくるという学校もちょくちょくあります。
なので、この学校はすぐ近くに答えあるよねとか、そういうある種の先入観というのは持っていた方が目星もつきやすくなるのかなという気もします。
だから、そこに適用するというのも確かに過去問を解く意義になるのかなという気はします。

同じ過去問を解く意義

夏井:ありがとうございます。
最後に過去問で言うと、例えば算数では同じ過去問を2回解く事にある程度意義があるとい指導をしています。1、2月経ったあとで、この問題の解き方を覚えている生徒の方が少ないというのがその理由です。解いてみて、こんな感じでこの50分を使えばいいんだという時間感覚みたいなものを身に付ける意味でもやってもらっているという事もあります。国語の場合どうでしょうか?
長島:生徒によるというのが正直な所です。
もうやったし、という事でモチベーションが上がらない男の子とかも結構いると思います。
そうであるならば、似た傾向の学校というのは必ずありますからどんどん新しい問題をチョイスして、似た学校の問題をどんどん解いていく方が有効な場合もあります。
ただ、当塾では本当にいい問題のオンパレードだった時、このアプローチは本当によく使うからもう一回やっておこうよ、という話をする事がない訳ではありません。
ない訳ではありませんが、一般のご家庭でこの問題は定番アプローチだからという見極めは中々難しいと思います。そうであるならば、やはり類題をどんどんこなしていくというのが有効なのかなというのが正直な所です。
夏井:なるほど、分かりました。ありがとうございます。
長島:ありがとうございます。

国語の過去問を繰り返し解くことに意味はあるのか?

国語の過去問を繰り返し解くことに意味はあるのでしょうか。国語以外の教科では、繰り返し過去問を解いていくことで知識や記憶を定着させます。反復練習によって頻出問題をしっかりとおさえることができるという点において、過去問を繰り返し解くことに意味があると言えます。

しかし、国語の場合は、一度解いたことのある問題は文章の流れや設問の答えを記憶してしまっています。そのため、問題を解くというよりは思い出すということをしてしまうことになります。

では、国語の過去問演習はどのように行えばよいのでしょうか。

中学受験における国語の過去問演習は、志望校の文章量や設問の傾向をつかむという点で行う必要があると言えます。
たとえば、志望校の文章量が多く、文章を読むスピードが遅かったために最後の問題まで解くことができなかった、という場合は、文章を読むスピードを上げることが最優先となります。そのため、読めていれば解ける問題であったならば、まずは志望校の文章量に慣れて自分の理解できるレベルではやく読めるようになる必要があります。無理にスピードだけ上げようとして流し読みしてしまったゆえに、設問を解くときにもう一度傍線部のあたりを読み直す、ということは効率的であるとは言えないので、自分の理解できる最適なスピードを見つけることが大切です

また、選択問題が苦手な場合は、選択肢から正しい答えを選べるように訓練する必要があります。特に難関校はパッと答えが出せる問題は少ないので、最適解を見つけるために日々問題演習を行うことが大切です。志望校の出題パターンを把握するためにも、過去問はきちんと解きましょう。また、記述問題が苦手な場合も、文章中からヒントとなる適切な文章を探したり、答えとなる根拠を書き出したり説明できるようになる必要があります。志望校によって、記述問題も出題パターンや傾向がそれぞれあるので過去問を演習することで問題に慣れていきましょう。

まとめ

自分の克服すべき分野を見つけ、志望校ごとに必要な対策をするために国語は過去問演習を行いましょう。繰り返し同じ過去問を解いても、読解力や思考力を身につけるということには繋がらないため、中学受験の国語においては過去問を繰り返し解くことに意味はありません。効率的に受験勉強を進めるためには、過去問演習をしたうえで弱点を補強し、全体の正答率を上げていく必要があります。しっかりと対策をして受験本番に備えましょう。

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