長文読解でよく起こる「時間が足りない」問題への対処法

代表インタビュー

読解問題に時間がかかってしまう理由

夏井(中学受験専門 夏井算数塾代表):それでは、宜しくお願いいたします。 長島:宜しくお願いします。 夏井:時間が足りない問題の対処法という事で、長文を読解する時にはよく時間が足りないというお声を頂く事が多いと思います。それに対してどういうふうな対処をすればいいのか、についてお話をさせてもらえればと思います。宜しくお願いいたします。 長島:お願いいたします。 夏井:という事で、まず足りないという声は結構多いですよね? 長島:そうですね。結構分かれるかなと思います。スピーディに出来る子もいますし、時間が掛かる子もいらっしゃると思います。なんで時間が掛かっちゃうのかというのは、いくつか理由があると思います。 一つは単純に結構頑固な生徒さんで、ちゃんと文章に納得しないと先に読み進めていきたくないという方がちょくちょくいらっしゃいます。なのでそういった方には、もうよっぽどな所がない限り二度読むのはやめておきましょう、とりあえず先に進んで分からない所があるのが自然だし、読み終わって問題を解いている時に理解が深まるという事もありますから、まずは先に進んでくれというお話をする事も多いです。

果たして時間感覚は身につくのか?

夏井:昔の私に聞かせたいお話だなと思っている訳ではあります(笑)。算数でもそうですが、やっぱり丁寧に色んな問題を解いていく人もいます。算数で計算量が結構あったりする問題の場合に時間が足りないな、という事が起きる事が多かったりします。時間感覚としてこの問題はこれぐらいの時間で解いているとか、今何分経っているという感覚が結構重要な気がするんですが、国語だとどんな感じになるでしょうか? 長島:国語だと正直それは中々難しくて、算数も同じような気もしないではないですが、抜き出しの問題とかで詰まっちゃうと、もう気付いたら5分経ってしまっています。そこの感覚をちゃんと身につけなさいというのは、国語だと結構難しい気がします。 逆に解けちゃう時は結構一瞬で解けちゃうので、10秒考えて答えの目星もつかない場合、選択肢だったらとりあえず選んで先に進むのがいいです。星でもつけてあとで戻るでもいいと思いますし、抜き出しでもそうです。むしろぱっと分からなかったらあんまり粘るよりは飛ばしちゃって、残った時間で戻ってくるという方がいいのかなと思っています。

「問題を解くのに時間が掛かる」ことへの対処法

夏井:そうですね。それは多分算数でも全く同じ話で、ある程度、それが5分なのか3分なのか10分なのかというのは問題の質や全体の分量によって変わると思うんですが、おそらくその中である程度出来たらここで諦めて次の問題にいくという事は必要ではないかなと思います。 その一方で、そもそものスピードをアップしたいという所も要望としては出てくると思いますが、国語の問題の場合そういった問題に対する対処法というのはどんなものがあったりするんでしょうか? 長島:それは非常に大切なお話だと思います。 まずは対処法という所でいうと、定番のアプローチをちゃんと身につけておくという事です。 例えば、棒線をいくつかに分けてそれぞれの内容を考えるというものがあります。「僕は【   】が好きだ」という文章を見たら、「【   】は僕が好きなもの」なのね、とすぐに思って、じゃあ僕が好きなものはなにかしら?と考えていくみたいな、このような考え方は非常によく使う定番アプローチです。なので、まずはそれを知っている事です。 ただ、知ってすぐに使いこなせる訳ではないです。なので、問題演習というのも絶対に必要です。 その二つの両輪で定番のアプローチで、スパッと頭に浮かぶという状況を作っておきます。それはスピードにも繋がりますし、ついでに言えば正確さにも繋がると思います。

「ゆっくりだから正確に解けているはず」は本当?

長島:よくお話する事ですが、実は早いけど雑だよねとか、ゆっくりだけどやっている範囲は正確だよねという方が多いイメージがあると思うんです。ですが、それはざっくり全体の一割未満だと思います。 概ね速くて正確か、ゆっくりでまだまだ伸びしろがあるかのどっちかになっていくと思います。 それは多分定番アプローチの所を瞬時に頭に浮かぶって状況を作れているかどうかいう所だと思うんです。なので、実はスピードと正確性は表裏一体だと思います。今申したスピードの改善策というのを突き詰めて勉強していけば、自ずと正確性も上がっていくと思います。ですから、是非頑張って頂きたいなと思っております。

「文章を読むのにに時間が掛かる」ことへの対処法

夏井:今のは設問を解く時間に対するアプローチかと思うんですが、単純に文章を読む時にもうちょっと速く読めるようになりたいというニーズもあると思います。その辺はどのように考えていますか? 長島:そうですね。先ほど最初に申したような、極端に何度も同じ所を読んでしまうという事でない限り、そんなに困る事はないと思います。 一方で、もう一段階スピードが上がった方が問題にも時間掛けられるのにという事はあると思います。その場合は大人と競争してみる、というのも一つの手だと思います。保護者の方が一緒に読んで、なんだったら一緒に時間を計ります。 普通のペースで読んで、お子さんがそれプラス3分余分に時間が掛かったというのであれば、もう3分速く読めるといいよねという話をしていくというのでスピード感としては十分まかなえるのかなという気はします。あとは、やっぱり読み慣れているというのは大切です。先ほどの問いを解くのと一緒です。 問いを解くのは裏を返せば文章を読むという事な訳で、それで数を積んでいって頂ければ十分かなと思います。 夏井:文章を読むスピードという話に関連すると、例えば文章を読んだ時に引っかかるポイントが多分あると思います。 例えば、読んでいった時にこの言葉を知らないみたいな時にピタッと止まってしまう生徒さんをたまに発見するんですが、それに対する対処方法はありますか? 長島:知らない言葉は当然出てくると思います。その中で、使われている漢字から意味を予想するとか、前後関係から多分こういう意味なんだろうなと考える習慣は付けて欲しいです。もちろん知らない言葉を調べてくれたら嬉しいですが、調べるまでいかなくても今話したような習慣がついていれば、自ずと語彙力も上がってくると思いますから、そういう癖づけや習慣は身につけて欲しいと思っています。それが知らない言葉が出てきた時の対処法かなと思います。

各問題への時間配分を考える

夏井:では最後に、例えば入試問題で言うと制限時間50、60分、それよりもっと長い時間短い時間と時間が設定されているのが入試問題だと思います。例えば算数という科目で言うと、これはあくまで私の持論ですが、50分の制限時間のテストであれば、1周目とりあえず一通り解き終わるまでに掛けていい時間は35分ぐらいで全体の70%くらいだとお話をしています。これは算数というのがどうしても見直しを必要としてしまう科目であるから仕方がないと個人的には思っています。国語の場合はそういう時間配分をどう考えればいいですか? 長島:国語に関しては正直飛ばした問題に戻ったりするというのはあるかもしれません。問題自体の見直しというのはそこまで必要ではないかなと思います。 そう考えたら、時間配分としては、例えば大問1物語文、大問2説明文だった時に、物語文の方が分量も長いんだ、というのであれば、やっている中で普段物語文30分ぐらい、説明文20分くらいだなというのが見えてくれば、それで十分かなと思います。あとは、「もう30分になってしまうか」「急がなきゃ」だとか、「ちょっと余裕があるな」とか、そういうのを見極めながら問題を解き進めて頂ければ宜しいのかなと思います。

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その他の対処法

中学受験の国語の問題を解いていると、「時間が足りない」ために問題を解き終えることができないということが起こります。そのような状況に陥ってしまった場合はどのように対処していけばよいのでしょうか。

時間を計りながら解く

中学受験本番と同じように、普段から時間を計って問題を解くことを習慣づけましょう。普段から時間を意識しておくことで、自分が文章を読むスピードや設問にかかる時間を把握することができるようになります。時間を気にせずに時間をたっぷりかけて解いた場合と、時間を設定して解いた場合を比較したときに、同じ点数になることはほとんどないと言って良いでしょう。いざ時間を意識して解こうとすると、焦ってしまい100%問題だけに向き合うことができず、ケアレスミスをしてしまったり、自分が文章を読むスピードを把握できていないために、最後の問題までたどり着くということができなくなってしまったりしてしまいます。普段の学習から時間を計って、自分の理解できるスピードを身体で体感することで適切な時間配分ができるようになります。

読むスピードを意識する

そもそも文章を読むスピードが遅いと設問にかかけられる時間が少なくなってしまいます。この時、ただスピードをあげてはやく読めばいいのではなく、自分が文章を理解できる範囲でスピードを上げていくということが重要です。また、家庭学習の際は、黙読ではなく、音読するようにしましょう。五感をなるべく多く使うことで脳が整理され文章が理解しやすくなります。このとき注意したいのが、主人公の気持ちになりきって読まないということです。あくまでも主観的に文章を読めるように、なるべく早く音読しましょう。音読に慣れてスピードが上がると、黙読で読んだときでも文字を読んで理解するスピードがはやくなります。いろいろなジャンルの文章で、日々コツコツ訓練するようにしましょう。

設問を先に読む(人によっては効果がない場合もあるので注意)

設問を先に読むことで、本文を読むときに何を意識して読めばよいのかが先に分かります。そのため、本文を読みながら解答を考えることができるため、設問を理解するための時間を短縮することができます。たとえば、段落分けや抜き出し問題が出題されたときは、設問を先に読んでいれば、該当する場所を探して後から文章を読み直すという必要がないため、効率的であると言えます。しかし、設問を先に読んだのはいいものの、文章を読んでいるうちに設問を忘れてしまっては、また読み直さなければならないために意味がありません。また、設問を先に読んでしまったがために答えを探すことに集中しすぎてしまい、全体としての文章をとらえきることができずにトータルとしての内容を理解できないといったことが起こってしまうことも起こり得ます。

設問を先に読む場合は、設問を把握し、文章を理解しながら答えを同時に探すということを同時進行しなければなりません。これができる場合は時間短縮ができるので有効であると言えます。しかし難しいと感じる場合は逆にムダな時間が増えてしまうことになるため、自分に合った解き方を見つけることが大切です。

まとめ

長文読解に出題される問題は、短時間で理解できる問題は出題されません。日々の演習の中で文章を読むスピードを上げ、時間配分を身につけ、自分に合った解き方で演習していき、「時間が足りない」ということが起こらないようにしましょう。

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