灘中学校(2日目)・令和3(2021)年度の過去問解説
このページでは、灘中学校・令和3年度入試(国語)から厳選した問題について、動画とあわせて解説します。
実際の入試問題を題材に、「どういうことか」系の説明問題でイコールの内容を探す解法と、複数の情報をまとめて一つの答えに整理するコツを確認していきましょう。
灘中学校・令和3年度 厳選解説動画
令和3年度 灘中学校の入試より、厳選した問題とその解説をお届けします。
動画では、本文のどこを根拠として拾えばよいのか、記述の組み立て方を具体的に説明しています。
▶ 解説動画はこちら:
https://youtu.be/UhDuS5Utcn0
解説
大問一 問七:傍線部「どういうことか」を説明する問題
大問一問七は、傍線部が「どういうことか」を説明させる問題です。
このタイプの設問では、傍線部とイコールの内容を本文中から探し、そのまま、あるいは調整して答えにまとめていきます。
説明を求められている問題=「傍線部と同じ意味(イコール)の内容」を本文中から探して答える問題、と考えましょう。
① 傍線5とイコールの内容を探す
この問題では、設問で聞かれているのは傍線5の内容です。
答えは本文中に書かれているため、傍線部の前後からイコールの内容を探していきます。
-
傍線5の直前の文:
「火の用途は多様です。~火さえも『調理』する生物なのです。」より、
→ 【火を料理だけでなく多様な用途で用いる】 という内容が読み取れます。
これを説明の便宜上、(X) とおきます。
傍線部が指しているのは、まさにこの内容だと分かるため、まずは
【火を料理だけでなく、多様な用途で用いること】
がイコールの内容になります。
② 字数が足りないときの調整:理由やイコール内容の追加
・自分が書いた内容の「理由」を加える
・自分が書いた内容とイコールの内容をさらに加える
のどちらか(もしくは両方)でボリュームを整えます。
この問題では、(X) に対応する「イコールの内容」を本文から補っていきます。
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本文中には、
→ 【X = 人類の生活を一変させた】
と言える記述があり、火の多様な利用が人類の生活に与えた影響が語られています。
そこで、(X) とそのイコール内容を組み合わせることで、次のようにまとめることができます。
【火を料理だけでなく、多様な用途で用いることによって、人類の生活を一変させたということ。】
このように、「何をしたか」+「その結果どうなったか」の二段構成で書くと、説得力のある説明になります。
大問二 問四:傍線部「どういうものか」を説明する問題
大問二問四は、傍線4が「どういうものか」を説明させる問題です。
ここでも、傍線部とイコールの内容を本文中から複数拾って、一つの答えに整理していきます。
① 本文中のヒントを整理する
本文の該当部分には、次のような記述があります。
- 「正確だが手打ちの温かみのない大量生産の点字本よりも、ずっと素敵だった。」
- 「私たちのために間違えながらも手打ちしてくれたボランティアさんの手の温もりとして、私には嬉しく思えた。」
これらの文から、次の2点が読み取れます。
-
【大量生産された点字本にはないもの】
……「正確だが温かみのない大量生産の点字本」と対比されている。 -
【目の不自由な人たちのために、間違えながらも手打ちしてくれたボランティアの人の優しさ】
……「手の温もり」「嬉しく思えた」などの表現から、温かさ・思いやりの存在が分かる。
② 2つの要素を一つの文にまとめる
上の2点をつなげると、傍線4は次のように説明できます。
【大量生産された点字本にはない、目の不自由な人たちのために間違えながらも手打ちしてくれた、ボランティアの人のやさしさ。】
・本文に書いてある表現をそのままつなぐだけでなく、
「対比されているもの」+「そこに込められた気持ちや価値」を整理して一文にまとめる。
・解法(イコールの内容を探す)を身につけ、その手順に沿って答えを導き出すのが定番アプローチです。
まとめ:灘中・記述問題で得点するための解法の型
- 「どういうことか」「どういうものか」と聞かれたら、傍線部とイコールの内容を本文中から探すのが基本。
- 答えが本文に書いてある場合でも、一箇所だけでなく複数の文を組み合わせて整理することが多い。
- 字数が足りないときは、自分が書いた内容の理由か、イコールの内容を加えて調整する。
- 対比されているもの(大量生産の点字本 など)と、そこに込められた人の思いや温かさをセットで書くと、説得力が増す。
- 灘中レベルの問題でも、「イコールの内容を本文から探す」という解法パターンをきちんと身につければ、安定して得点できるようになる。
動画と記事を併用しながら、「どの文を根拠に、どう組み立てているのか」を意識して復習してみてください。
解法の型が身につけば、初見の文章に対しても落ち着いて記述を作れるようになります。



