麻布中学校〈国語〉過去問解説|入試問題の読み方と記述で差をつけるコツ

麻布中学校・令和3年度厳選解説動画

令和3年度 麻布中学校中学入試(国語)の問題から、重要な設問を厳選して解説します。本文中のどこから根拠を拾うか、どのようにブロック分けして記述を組み立てるかなど、麻布中の国語に共通する「考え方の型」を確認しながら、得点につながる読み方・書き方を身につけていきましょう。

令和3年度 麻布中学校の入試より、厳選した問題とその解説をお届けします。

解説

大問一 問六:ブロック分けで「叫び」の意味を説明する

傍線7「彼の叫びが自分の叫びであるような気もした」の内容を説明させる問題です。

【説明問題の基本】
「説明しなさい」という設問では、傍線部分とイコールの内容を、本文を根拠にしながら言い換えていきます。
その際、長い一文は意味のかたまりごとにブロック分けして考えると整理しやすくなります。

ここでは、傍線7の文を次の2つに分けて考えます。

  • 【前半】「彼の叫び」
  • 【後半】「自分の叫びであるような気もした」

1. 前半「彼の叫び」とは何か

傍線7の直前を読むと、少年がガゼルに対して本音をぶつける場面が描かれています。

  • 「少年は、やっとガゼルに対して…学校には行きたくない」

ここから、

  • ガゼルへの「北海道に行きたい」「学校には行きたくない」という言葉

が、「彼の叫び」にあたる内容だと分かります。

2. 後半「自分の叫びであるような気もした」とは何か

少年の言葉に対して、「自分の叫びであるような気がした」ということは、

  • 少年の気持ちや言葉に強く共感している

ということを意味しています。

3. 2つを組み合わせて傍線7を説明する

前半・後半のイコール内容をあわせると、

「少年のガゼルに対する『北海道に行きたい・学校に行きたくない』という言葉に、自分も同じ気持ちだと共感したから。」

と説明できます。

ポイント:
入試の国語は、答えにあたる文章を本文中から見つけてくるテクニックを知り、それを使いこなす訓練が重要です。
「ブロック分け → 各ブロックのイコール内容を探す → まとめて一文にする」という流れを意識しましょう。

大問一 問十:少年と女性の「思い」の違いを整理する

この問題は、少年の思いと女性の思いの違いを答える問題です。

【違いを問う問題のコツ】
「違い」を説明するときは、
・まずA(少年)とB(女性)のそれぞれのイコール内容を整理する。
・最後に「Aは〜だが、Bは〜だ」という対比の形でまとめると分かりやすくなります。

1. 少年の思い

  • 傍線12「行きたければ行ってくれ」

ここから読み取れるのは、

  • ガゼルが「行きたい」と願うなら、その気持ちを尊重したい。
  • ガゼル本人の意思や幸せを第一に考えている。

したがって、少年の思いは、

「ガゼルの幸せを心から願っている。」

と表すことができます。

2. 女性の思い

  • 傍線13「自分はガゼルをよそへ行かせないために活動している」
  • 傍線9の前「ガゼルはこの町の~いるべきよ」
  • 「女性の~ぼんやり思った」

これらから、

  • 「ガゼルはこの町にいてほしい」「自分の手の届くところにいてほしい」という気持ちが強い。
  • ガゼルのことを考えているようで、実は自分の満足や安心を優先している面がある。

よって、女性の思いは、

「自分の満足のためにガゼルを引きとめておきたいという気持ちから活動している。」

と整理できます。

3. 「違い」としてまとめる

2つを対比させると、

  • 少年:ガゼル本人の幸せを第一に考え、「行きたいなら行っていい」と背中を押している。
  • 女性:ガゼルの幸せよりも、自分のそばにいてほしいという自分本位な満足を優先している。

このように、少年はガゼル第一、女性は自分第一という構図で違いを述べると、採点者にも意図が伝わりやすくなります。

物語文でも「イコール内容」思考を活用する:
説明文だけでなく、物語文でも
・傍線部分と同じ内容はどこか
・どんな心情・価値観を表しているのか
本文から探して言い換えることで、安定して点数が取れるようになります。

まとめ:麻布中・国語で身につけたい解き方の型

  • 「説明しなさい」という設問では、傍線部とイコールの内容を本文から拾って言い換える。
  • 長い一文や複雑な表現は、意味ごとにブロック分けして整理する。
  • 心情問題・対比問題では、背景・出来事・心情の流れと、AとBのイコール内容をそれぞれはっきりさせる。
  • 「少年は〜だが、女性は〜だ」のように、対比の形でまとめると答案がクリアになる。
  • 麻布中のような難関校でも、答えの手がかりは必ず本文中にある。「テクニックを知り、使いこなす」ことが合格への近道。

以上のポイントを押さえながら過去問演習を重ねていけば、麻布中学校の国語でも、安定して得点できる答案作りができるようになります。

出版

国語学習と受験対策のエキスパートからの知識と洞察に基づく貴重なリソースです。この書籍は、大学入試や受験に関連するさまざまなトピックに焦点を当て、国語力の向上から受験戦略までを包括的にカバーしています。