麻布中学校〈国語〉過去問解説|入試問題の読み方と記述で差をつけるコツ
麻布中学校 国語2021(令和3年度)の過去問解説|記述で確認したいポイント
麻布中学校の国語では、文章の内容を読めていても、記述答案にすると「何を書けばよいのか分からない」「どこを根拠にすればよいのか判断しにくい」ということがあります。
特に説明問題では、自分の印象だけで答えるのではなく、本文中から対応する内容を探し、設問に合う形でまとめることが大切です。
この記事では、令和3年度(2021年度)麻布中学校の国語から、大問一の問六・問十を取り上げます。答案例そのものを覚えるのではなく、
- 傍線部に対応する内容をどこから探すか
- 長い表現をどのように意味のまとまりに分けるか
- 人物ごとの考えをどう分けて読むか
- 拾った内容をどのように記述答案へまとめるか
という観点から見ていきます。
麻布中の過去問に取り組んでいる受験生はもちろん、家庭で答案の直しを見るときにも、「正解と違っていた」で終わらせず、どこまで読み取れていたのかを考える際の参考にしてください。

麻布中学校の国語で点が伸びにくい3つの場面
麻布中の国語の過去問を見直すときは、正解・不正解だけではなく、「どの段階で読み方がずれたのか」を考えることが大切です。
特に、次のような場面では記述答案がまとまりにくくなります。
- 傍線部の説明で、本文の言い換えがずれる
傍線部について自分なりに説明しようとして、本文に書かれている内容から離れてしまう。 - 長い表現を一文のまま追い、意味の区切りが曖昧になる
傍線部に複数の内容が含まれているのに、一つの意味として処理してしまい、必要な要素を落としてしまう。 - 人物の考えの違いで、両者の内容が混ざる
二人の違いをすぐに説明しようとして、それぞれが何を考えているのかを十分に分けられていない。

こうした問題では、いきなり答案を書き始めるのではなく、設問で聞かれていることを捉え、必要な内容を文章の中から探していきます。
2021年度の設問から確認する記述問題の読み方
令和3年度 麻布中学校中学入試(国語)の問題から、ここでは大問一の問六と問十を取り上げます。
二つの問題で問われている内容は異なりますが、共通して重要なのは、答案を書く前に必要な内容を本文から拾うことです。
| 大問一 問六 | 傍線部を意味のまとまりに分け、それぞれに対応する本文の内容を探します。そのうえで、拾った内容を一つの説明としてまとめます。 |
|---|---|
| 大問一 問十 | 少年と女性について、それぞれの考えを別々に読み取ります。そのあとで、何を大切にしているのかを比べて違いをまとめます。 |
過去問を見直すときは、模範解答と自分の答案を見比べるだけでなく、「自分は本文のどこを使って答えたのか」まで戻ってみてください。
記述問題は本文の内容を確かめてから答案をまとめる
麻布中の国語では、文章中から必要な内容を拾い、それを設問に合わせて言い換えながら記述答案にまとめる力が必要です。
答えを思いつこうとするのではなく、まず設問で何を聞かれているのかを捉え、その内容に対応する箇所を本文から探します。
説明問題|傍線部と同じ内容を本文から探す
「説明しなさい」という設問では、傍線部分と同じ内容を本文から探し、設問に合う形で言い換えていきます。
傍線部が長い場合は、一文のまま考えず、意味のまとまりごとに分けると対応する箇所を探しやすくなります。
傍線部の前後だけを何となく読むのではなく、「この表現は本文中の何を指しているのか」と一つずつ対応させることが重要です。
人物の考え方の違い|それぞれを分けて読む
・人物Aの考えを本文から読み取る。
・人物Bの考えを本文から読み取る。
・二つを並べて、どこが違うのかを考える。
・「Aは〜だが、Bは〜だ」のように、違いが伝わる形でまとめる。
最初から二人の違いだけを考えると、人物Aについての内容と人物Bについての内容が混ざることがあります。
まず一人ずつ読み、そのあとで比べると、答案に必要な違いが見えやすくなります。
大問一 問六|傍線部を分けて本文のどこを見るか考える
大問一の問六は、傍線7「彼の叫びが自分の叫びであるような気もした」の内容を説明させる問題です。
このような傍線部を一度に説明しようとすると、何を答案に入れるべきか分かりにくくなります。
そこで、まず傍線部を、
- 「彼の叫び」とは何か
- 「自分の叫びであるような気がした」とはどういうことか
の二つに分けて考えます。
前半|「彼の叫び」が何を指すのか確認する
傍線7の直前を読むと、少年がガゼルに対して本音をぶつける場面が描かれています。
ここで大切なのは、「叫び」という言葉だけから内容を想像しないことです。本文中で少年が実際に何を訴えているのかを読み、その内容を「彼の叫び」に対応させます。
少年がガゼルに向けて口にした内容を見ることで、傍線部前半の説明に必要な材料が見つかります。
後半|「自分の叫び」と感じた理由を考える
次に、「自分の叫びであるような気がした」という部分を考えます。
ここでは、少年の言葉を聞いた人物が、その言葉を自分とは無関係なものとして受け取ったのではなく、自分自身の気持ちにも重なるものとして感じていることが重要です。
つまり、前半では少年が何を訴えているのかを読み、後半では、その訴えに対してどのような気持ちを抱いたのかを考えます。
二つの内容を一つの答案にまとめる
傍線部を二つに分けて考えたら、それぞれの内容を一つの答案にまとめます。
「彼の叫び」の説明だけでは、「自分の叫びであるような気がした」の説明が不足します。反対に、単に「共感した」とだけ書いても、何に共感したのかが伝わりません。
「少年が何を訴えたのか」と「それを自分も同じように感じたこと」の両方を答案に入れます。
答案例
少年がガゼルに向けて口にした「北海道に行きたい・学校に行きたくない」という思いに、自分も同じ気持ちだと感じたから。
答案を見るときは、模範解答と一字一句同じかどうかだけではなく、「彼の叫び」と「自分の叫び」の両方に対応する内容が入っているかを見てみましょう。
記述答案を作るときに意識したいこと
問六のような説明問題では、本文中から必要な内容を見つけられていても、それを答案としてうまくまとめられないことがあります。
その場合は、「自分の言葉でうまく説明しよう」とする前に、本文中のどの言葉を答案に残すべきかを考えてみてください。
本文の言葉を使って記述答案を作る考え方を詳しく知りたい場合は、記述問題の書き方を扱った解説もあわせて読むと、今回の問六で行ったことを別の問題にも当てはめやすくなります。
大問一 問十|二人の考えを分けてから違いをまとめる
問十は、少年の思いと女性の思いの違いを説明する問題です。
人物の違いを問われる問題では、いきなり「少年と女性は何が違うのか」と考えるのではなく、まず少年について読み、次に女性について読みます。
それぞれを分けてから比べることで、答案に必要な対比が見えやすくなります。
少年の考え|ガゼル本人の意思や幸せを考えている
少年は、ガゼル本人の意思や幸せを第一に考えています。
そのため、「少年は優しい」といった人物評価だけで終わらせず、ガゼルをどうしたいと考えているのかまで読む必要があります。
答案にするときも、人物の性格を説明するのではなく、設問で問われている「考え方」が伝わる内容にします。
女性の考え|自分の安心や満足を優先している
一方、女性は、自分の安心や満足を優先し、ガゼルをそばにとどめておきたいと考えています。
ここでも「女性は自分勝手だ」のような評価だけに置き換えるのではなく、何を優先し、ガゼルをどうしようとしているのかを本文に沿って読み取ります。
二人が何を大切にしているのかを比べる
それぞれについて考えると、二人の違いが見えやすくなります。
- 少年:ガゼル本人の幸せを考え、行きたいなら行っていいと考えている。
- 女性:自分の安心や満足を優先し、ガゼルを引きとめようとしている。
片方の人物について詳しく書くだけでは、「違い」の説明にはなりません。
少年が何を大切にしているのか、女性が何を大切にしているのかを対応させることで、二人の考え方の違いが伝わる答案になります。
答案に入れたい内容
この問題では、少なくとも次の二つを答案の中で対比させます。
- 少年は、ガゼル本人の意思や幸せを大切にしていること
- 女性は、自分の安心や満足を優先していること
「少年はこう考えている。一方、女性はこう考えている」という関係が伝われば、二人の違いが明確になります。
答案例
少年はガゼル本人の意思や幸せを大切にし、行きたいなら行っていいと考えているのに対し、女性は自分の安心や満足を優先して、ガゼルをそばにとどめておきたいと考えている。
このように人物の違いを問われた場合は、二人を別々に説明するだけでなく、「何を大切にしているか」という共通の観点で比べると、違いが伝わりやすくなります。
自分の答案を見るときは「入っている内容」を比べる
記述問題では、模範解答と表現が違っていても、必要な内容が答案に含まれていることがあります。
問十であれば、「少年について書けているか」「女性について書けているか」「二人の違いが伝わるか」と分けて見ると、自分の答案に何が入っていて、何が不足しているのかを考えやすくなります。
自分の答案を家庭で見るときに、どこまで書けていればよいのか判断しにくい場合は、記述答案を内容ごとに見る自己採点の考え方も参考になります。
問六・問十から他の記述問題にも応用できること
今回扱った問六と問十では、設問の内容は異なります。
問六では、一つの傍線部を意味のまとまりに分け、それぞれに対応する本文の内容を見ました。問十では、二人の人物を別々に読んだうえで、考え方の違いを比べました。
どちらの場合も共通しているのは、答案を書く前に、設問が求めている内容を分けて考えていることです。
過去問で記述問題を間違えたときは、次の点を見てみてください。
- 設問で何を聞かれているかを捉えられていたか
- 長い傍線部に複数の内容が含まれていないか
- 答案に使う内容を本文から探せていたか
- 人物が複数いる場合、それぞれについて分けて読めていたか
- 拾った内容を、設問への答えになる形にまとめられていたか
模範解答を書き写すだけではなく、自分の答案に足りなかった内容が本文のどこにあったのかまで見直すと、同じ種類の問題に取り組むときに意識すべきことが分かりやすくなります。
麻布中学校 国語2021の解説動画で読み方を確認する
ここまで文章で見てきた内容は、解説動画でも確認できます。
「どこを根拠として見ればよいのか分かりにくかった」「答案にまとめるまでの考え方をもう一度見たい」という場合は、問題文・設問を手元に用意したうえで動画を見ると、文章だけの場合とは違った形で学べます。
動画を見るときに注目したいこと
令和3年度 麻布中学校の入試問題から、要点となる設問を扱っています。問題文・設問は各種WEBサイト等でご用意ください。
動画を見る際も、解答だけではなく、「どの部分を根拠として見ているか」「本文の表現をどのように分けて考えているか」に注目してみてください。
文章で読んだ内容と照らし合わせることで、自分が過去問を解くときに何を見るべきかが分かりやすくなります。
麻布中学校の過去問をほかの年度にも広げて取り組むには
今回取り上げたのは、令和3年度(2021年度)の大問一 問六・問十です。
ほかの年度の問題でも、説明問題なら「傍線部が何を指しているか」、人物の違いを問う問題なら「それぞれが何を大切にしているか」というように、設問に応じて本文へ戻って考えることが大切です。
過去問を解いた後は、点数だけではなく、
- 本文の内容をどこまで読み取れていたか
- 必要な箇所を見つけられていたか
- 内容は分かっていたが、答案に必要な要素を入れられなかったのか
を分けて考えると、自分が今後の問題で意識すべきことが見えやすくなります。
麻布中だけでなく、中学受験国語の過去問をどのように解き、どのように見直すかを整理したい場合は、中学受験国語の過去問演習の進め方もあわせて確認してください。
まとめ|麻布中学校の国語対策で意識したいこと
令和3年度(2021年度)の問六・問十を通して見てきたように、記述問題では、いきなり答案を考えるのではなく、設問に対応する本文の内容を整理することが大切です。
- 説明問題では、傍線部と同じ内容を本文から探して言い換える。
- 長い傍線部は、意味のまとまりに分けてから、それぞれに対応する内容を探す。
- 人物の違いを問う問題では、一人ずつ読んでから比べる。
- 答案例だけを見るのではなく、「なぜその答えになるのか」を本文に戻って考える。
- 過去問を見直すときは、読み取りと答案作成のどちらに課題があったのかを分けて考える。
麻布中の国語で記述がうまくまとまらないときは、「書く力」だけを問題にするのではなく、その前の段階で本文の必要な内容を拾えているかも見てみてください。
文章の内容は理解できていても答案に必要な要素が不足する場合と、本文から必要な箇所を見つけられていない場合では、見直す内容が異なります。
自分の答案と本文を照らし合わせても、なぜ点につながらないのか、どこから見直せばよいのか判断しにくい場合は、答案だけではなく、文章の読み方まで含めて見てもらう方法もあります。
まずは今回の問六・問十のように、「設問で何を聞かれているか」「本文のどこを使うか」「答案に何を入れるか」を一つずつ分けて考えてみてください。


