国語の記述力を伸ばすために知っておくべき2つの秘訣
「国語の記述問題がなかなか安定しない」「どう書けば点数がもらえるのか分からない」──そんなお悩みをお持ちのご家庭は少なくありません。
実は、記述問題で高得点を狙うために知っておいてほしいポイントは、大きく分けて2つだけです。
- ❶ 記述のほとんどは「自分の言葉で作文」ではなく、本文の引用で書ける
- ❷ 例外的に「言い換え」が必要になる場面は、ごく限られている
このページでは、代表・長島のインタビュー内容をもとに、国語の記述問題が得意になるための考え方と具体的な書き方のコツを、導入(問題意識)→原因→対処法→まとめの流れで整理してお伝えします。
動画で解説:「国語の記述問題が得意になる2つのポイント」
まずは動画で全体像を押さえてから、以下の文章でポイントを復習していただくと理解が深まります。
原因:記述=「自分の言葉で一から作文」と思い込んでいないか
最初に確認しておきたいのは、そもそも国語の記述問題とは何をしているのかという点です。
「国語の記述は『自分の言葉で作文する』場面がほとんどない、ということです。」
多くのお子さんが、
- 記述=自分なりの言葉にきれいに言い換えなければいけない
- うまい表現を一から考えないといけない
と考えがちですが、これは大きな誤解です。
物語文の「気持ち」以外は、ほぼ本文からの引用で書ける
もちろん、物語文の記述で「登場人物の気持ち」を答えさせる問題は少し事情が違います。
- 気持ちを本文にそのまま書くと、文章の味わいがなくなる
- そのため、気持ちの言葉そのものは明示されていないことが多い
このような場合、気持ちの言葉そのものは自分で言語化する必要があります。
とはいえ、
- その気持ちに至った理由・根拠
- 状況説明や行動、セリフなどの背景となる情報
は、本文中の言葉をそのまま引用すれば十分です。説明文であればなおさら、
「ほとんど本文の言葉を引っ張ってきて組み立てるだけ」
と言ってよいほどです。
✔ 記述=本文の言葉を引用して組み合わせる
❌ 記述=自分の言葉で全部書き換える
ですから、最初から無理に「うまい言い換え」を狙う必要はありません。基本方針は、本文から答えの材料を持ってくることです。
対処①:本文から拾った要素をスッキリまとめる3つのコツ
「本文を引用して書けばいい」とは言っても、実際に書く場面では次のような悩みが出てきます。
- 必要な要素が2つ・3つあるとき、どうつなげればよいか分からない
- 字数が足りず、どこを膨らませればよいか迷ってしまう
こうしたときに役立つのが、次の3つのシンプルなルールです。
❶ イコールの関係は「〜という〜」でつなぐ
記述を書いていると、
A と B が同じ内容(=イコールの関係)
という場面がよく出てきます。このときは、
A という B
という形でつなげてしまえば OK です。
- 例:
「A(出来事)という B(気持ち)」
「A(理由)という B(考え)」
この「A という B」という型を知っておくだけでも、要素同士を自然につなげやすくなります。
❷ 理由を加えるときは「〜から/〜ので/〜ため」を使う
字数を増やしたいとき、または「理由も書きなさい」と指定されているときは、
〜から/〜ので/〜ため
といった理由を表す言葉で、本文から拾ってきた要素同士をつなぎます。
✔ イコールの関係 →「〜という〜」
✔ 理由を足す →「〜から/〜ので/〜ため」
この2つを押さえるだけで、バラバラだった情報が一気に整理された1文になりやすくなります。
❸ メインとなる答えは必ず「最後」に置く
「メインとなる答えは最後に置く。」
記述で問われているのが「気持ち」なら最後に書くべきは気持ちですし、
傍線部の内容を問われているなら最後に来るべきなのは傍線部の言い換えです。
書き方のイメージとしては、メインの答えの前に
- イコールの内容(A という B の A の部分)
- 理由の情報(〜から/〜ので/〜ため でつなぐ部分)
を前から足していく感覚です。
この「最後に何を持ってくるか」を意識するだけでも、採点者にとって読みやすく、ポイントのぶれない記述になっていきます。

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対処②:最難関レベルで必要になる「言い換え」のテクニック
ここまでの内容をまとめると、1つ目のポイントは
- 自分で作文しようとせず、本文から要素を拾って組み立てる
ということでした。
二つ目のポイントは、これと一見矛盾するようですが、
「例外的に“言い換え”が必要になるケースがある」
という点です。
ただし、ここは本当に例外です。代表・長島は、
「国語が苦手なお子さんは、ここから先は知らなくても構いません。」
とまで言っています。
言い換えが必要になるのは「20要素に1つ」程度
本文を言い換えなければならないケースは確かに存在しますが、
体感では20要素に1つ程度
であり、それができなくても合否にはほとんど影響しないレベルです。
とはいえ、
- 最難関校を目指す
- 国語を武器科目にしたい
という生徒には、この「言い換え」の力も求められます。
本文をそのまま使ってはいけないケースは2つだけ
代表・長島が挙げる「本文をそのまま解答に使えないケース」は、次の2パターンだけです。
① 比喩表現をそのまま書いてはいけないとき
比喩表現は、あいまいさを含んだ表現です。そのため、
- 比喩をそのまま解答に引用すると意味がぼやける
- 採点者にとって「何を言いたいのか」が分かりにくくなる
このような場合、比喩を
一般的な表現に直して答える必要があります。
たとえば、
- 「心が暗くなった」という比喩 → 「不安な気持ちになった」「落ち込んだ」など
- 「胸がすっとした」という比喩 → 「安心した」「気持ちが楽になった」など
というように、だれが読んでも意味がわかる言葉に言い換えて書くことが大切です。
② 具体的すぎる内容(=抽象化が必要なとき)
もう一つのパターンは、本文に書かれている内容が具体的すぎる場合です。このようなとき、そのまま書くと採点で「ツッコミ」が入りやすくなります。
◎ 例文
「カレーそばを食べた。ご飯と漬物を食べた。」
この体験を「どのような食事をしたか説明しなさい」という記述問題で、
❌「カレーそばを食べた」とだけ書く
→「じゃあ卵かけご飯は違うの?」と突っ込まれる可能性あり
このような場合、具体的なメニュー名をそのまま書くのではなく、
✅「普通の食事」
✅「質素な食事」
といった形で、いくつかの具体例をまとめてくくれる抽象的な表現に変える必要があります。
✔ 比喩 → 一般的な表現へ言い換える
✔ 具体例 → 抽象化してまとめて表現する
「知らなくてもいい」けれど、誤った理解になる前に伝えておきたいこと
代表・長島は、正直なところ、
「国語が苦手な生徒は、この考えを知らなくていい」と思っています。
なぜなら、
「ほとんどの記述は『本文を引用すれば解ける』からです。」
比喩や抽象化の考え方を知ると、逆に
- 直さなくてよい部分まで、無理に言い換えようとしてしまう
といったリスクもあります。
それでもあえて説明しているのは、現実的には
- 塾や他の先生から必ず「比喩の言い換え」「具体から抽象へ」と教わる
からです。その際に、
誤った理解にならないよう、最初に正しい形で知っておいてほしい
という意図で、この「例外ルール」をお伝えしているのが本音です。

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まとめ:記述問題が得意になるために押さえておきたい2つの軸
最後に、今回の内容をコンパクトに整理します。
1.基本方針:本文を引用して組み立てる
- 国語の記述は「自分の言葉で一から作文」が目的ではない。
- 物語文の「気持ちの言葉」以外は、本文の言葉を引用して十分に書ける。
- 説明文の記述は、ほとんどが本文からの引用+つなぎ言葉で構成される。
- 迷ったときは、「本文から答えの材料を持ってくる」ことを最優先に考える。
2.具体的な書き方のコツ
- イコールの関係は「A という B」でつなぐ。
- 理由を加えるときは「〜から/〜ので/〜ため」を使う。
- メインの答え(気持ち・言い換えなど)は必ず最後に置く。
3.例外的に「言い換え」が必要になるケース
- 比喩表現は、そのままではあいまいなので、一般的な表現へ言い換える。
- 具体的すぎる内容は、いくつかの事例をまとめて、抽象的な表現にまとめる。
- とはいえ、これらは20要素に1つ程度の例外であり、合否への影響は小さい。
- まずは本文の引用を徹底することが、記述力アップへの近道。
記述問題は、「センス」や「作文力」ではなく、本文の読み取りと、シンプルなルールに沿った組み立てで十分に戦える分野です。基本方針と例外ルールを整理して押さえることで、記述への苦手意識を少しずつ手放していきましょう。


