国語の記述問題が得意になるために分かっていてほしい2つのこと

――今回ですが【国語の記述問題が得意になる為に分かっていて欲しい二つの事】
というテーマでお話をさせてもらえればと思います。まず一個目は何ですか?

長島:一個目としては、国語の記述で自分で何か言葉を作っていくというのは
あんまりないという事です。もちろん物語文の気持ちの説明は別です。
気持ちを表す言葉自体を本文中に入れてしまうと、
作者の人は味わい深さがなくなってしまうと思うんだと思います。
気持ち自体を明示する事はほぼほぼありません。
なので、気持ちは確かに自分で作らなきゃいけないですが、
その気持ちに到達するまでの要素は文章の言葉を引用していく事になりますし、
説明文であればほぼほぼその気持ちを書く事もないですから、
本文の答えから完全に引用していくというケースがほとんどです。
という事で、何か本文を言い換えようと思う必要はあんまりないです。
基本的には本文から答えを引っ張ってこようという意識で
答えを作っていて欲しいと思っております。

――実際それで引用して回答を作っていく事になると思いますが、
例えば解答に盛り込まなきゃいけない要素が二つ三つあった時に、
これをどう組み合わせていいか分からないという生徒さんを結構拝見します。
そういった場合はどういう練習をしていけばいいでしょうか?

長島:まず二つです。
一つ目、記述を書いていく時にこことここは同じ事を言っている、
イコールだよな、という要素が二つ出てくる場合があります。
イコールの場合は「という」という言葉で結んであげます。
あとは、字数の増やし方としてよくあるのが、
傍線の理由を加えて字数を増やしていくというやり方もあります。
理由ですから「から」という言葉、もしくは理由を聞かれて、
文末が「から」になっちゃう、
からからで繋がるのが美しくないというのであれば
「為」とか「ので」という言葉を使ってもいいですが、
同じ内容だったら「という」で結んであげます。
理由だったら、から、為、ので、で結んであげるのがまず意識して欲しい事です。
もう一点、答えになる所がいくつか見つかったけれども、
どういう順番で並べていけばいいのかというので困る方もいらっしゃるようにお見受けします。
基本的にはメインの答え、気持ちを問われていたら気持ちがメインになります。
傍線が何なの?と言われたら傍線の言い換えにあたる所がメインの答えになります。
メインの答えは最後です。そのメインの答えの理由だとかイコールの内容だとかを加えて
記述は完成していきますが、字数調整のおまけの所は前、
メインの答えが後ろという事を意識して頂けるといいのかなと思います。
また、その意識をもっていればメインの答えはこれだよね、と思えるのも
凄い大切な力ですから、そういう力の養成にも繋がるかなと思います。

―― 一点目は、自分で作文したりせず
ちゃんと要素を拾い集めていくという事を
徹底しましょうという事でした。では二つ目は何でしょうか?

長島:今の話と矛盾するようですが、
例外的に本文の内容を言い換えなきゃいけない時もあります。
その例外の話に触れたいんですが…
何だったら本当に国語が苦手なお子さんはここから先は
もう見ないでいいと思っています。
確かに本文を換えなきゃいけないケースはあります。
あるんですが、体感で20要素中一つぐらいです。
なので、それが合否を分けるとは思いません。
ただここはちょっと難しい所で、
最難関校で本文を言い換えなきゃいけない要素というのが20問に一つしかない、
だからそれを取れなくても合格最低ラインに乗るよねという計算にはなりますが
受かる子は確かにそういう力もあるんです。
なので、最上位を目指していて、且つ国語を得意にしたいという方に向けて喋りたいです。
という事で、とりあえず本文の答えをそのまま使っちゃいけないケースです。
使っちゃいけないケースは二つです。
一つが、比喩表現である事です。
比喩表現はどうしても内容にあやふやさが出てきてしまいますから、
そのままでは使えないです。
比喩は一般的な表現に直さなきゃいけないですから、
引用しようと思った所が比喩だったら、それは直さなくちゃいけません。
もう一点、抽象化というやつです。
要するに、あんまり具体的な事を書いちゃうと、
これは違うの?というツッコミがきて面倒くさいです。
私が昔読んだテキストでこういう問題がありました。
カレー蕎麦を食べた。
あとは、米と漬物を食べた。
そういう食事をめちゃくちゃ美味しいと思っていたから
大人になって高級なもの食ったときに本当に感動出来るんだよね、と
言っている文章が出ていました。
そのカレー蕎麦とか、米と漬物を食べていました
という経験を説明しなさいという問題が出ていました。
それ多分カレー蕎麦を食べました、と書いてもダメなんです。
だって同じようなジャンルの食事ってあるじゃないですか?
卵かけご飯とかどうですか?そんな感じがしますよね。
という事で、カレー蕎麦と書いちゃうと、卵かけご飯は違うんですか?とかって
突っ込まれちゃうんです。
具体的な事を書いちゃうと、これだって同じようなもんですよね?と
言われて面倒くさいんです。
なので、そういう面倒くさいツッコミを受けない為に、ざっくりまとめなきゃいけないんです。
そういうざっくりまとめる事を抽象化と言います。
だから今の例なら、カレー蕎麦、ご飯と漬物、卵かけご飯ですから、
普通の食事くらいにしておきますか?
場合によってはB級グルメと言ってもいいような気がしますが
国語の解答でそれを使う勇気は私にはありませんので、普通の食事にするといいと思います。
という事で、そのまま書いちゃいけないケースは二つです。
具体的過ぎるからそれを抽象化しなきゃいけないというのと、比喩表現です。
この二つはそのまま使えませんので直さなければいけないです。
ですが、正直ここちょっと私も揺れている所です。
本当に苦手な方は直さなきゃいけないよ、という所の印象が強くて
直さないでいい所まで直しちゃうようになってしまいます。
なので、始めから私は知らないでいいんじゃないか、くらいの事を思っています。
思っていますが、一方で多分皆さん色んな塾で色んな先生に習う事になると思うんです。
一つの塾に通っているといっても複数の担当が入る事もあると思います。
なので、誰かが教えちゃうんです。
誰かが教えちゃうんだったら、しょうがないからしっかり教えるしかないなと思って
私も気持ちを切り替えてしっかり教えなきゃいけない、という時は教えます。
ですが、正直な気持ちとしてはそのまま書く事がほとんどなので、
あんまり抽象化だとか比喩だから直そうだとかは
特に苦手なお子さんはあんまり考えないでもいいんじゃないのかなというのが正直な気持ちです。

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