中学受験国語で出題される「随筆文」の解き方
――今回ですが【随筆文の解き方】ということで、説明文でもない、物語文でもない──
そもそも「随筆文とは何者なのか?」というところからご説明をお願いします。
長島: 一般的な定義はこうです。
筆者が自分の体験に基づいて文章を書いているものです。
ただ、受験生には 「随筆文というジャンルを気にしなくていい」 と伝えています。
というのも、随筆文には 説明文に近いタイプ と 物語文に近いタイプ の2種類があるからです。
-
体験を根拠に何か主張している → 説明文的な随筆文
-
体験を物語のように描き、気持ちを述べる → 物語的な随筆文
説明文的なら説明文の手法、物語的なら物語文の手法を使えばいい。
つまり 「随筆文」というジャンル自体を意識する必要はありません。
――なるほど。同じ文章の中で説明文的パートと物語文的パートが混在するケースはありますか?
長島: 私が入試問題で見た範囲ではありません。
ただ、Z会の教材に1本だけそういう例があった記憶はあります。
――そのようなときに注意すべきポイントはありますか?
長島: 結局 問題ごとに判断する ということです。
-
説明文っぽい設問 → 説明文の手法で解く
-
気持ちを問う設問 → 物語文の手法で解く
文章を読む段階ではあまり決めつけず、
設問に入った段階で「説明文的?物語文的?」と切り替える のが良いと思います。
――問題が説明文的なアプローチを求めてくる場合、問題文を見たらわかるのでしょうか?
長島: はい。たとえば、
-
「理由を述べなさい」
-
「傍線部はどういうことですか?」
こういう設問は説明文でよく出る形式です。
ただし「理由を聞かれている=説明文的」とは限りません。
物語文では「気持ち」が理由になるケースも多いので、
解き進めながら判断していく のが現実的です。
――では、物語文的な解き方をする場面では?
長島: 代表的なのは 気持ちを問う設問 です。随筆文でもよく出ます。
物語文の気持ち読み取りの肝は、
傍線の理由を徹底的に追うこと。
一般的には「背景」と「出来事」をそろえると言われます。
例:
背景 → 志望校に合格した
出来事 → 泣いた
→ 気持ち → 「うれしい」
背景 = 出来事の理由
出来事 = 多くの場合、傍線部
つまり 「理由を追いかければ、気持ちは自然と見えてくる」 のです。
――つまり随筆文が出ても、ふだんの手順を使えば怖くないということですね。
長島: その通りです。
むしろ「随筆文」と書かれると構えてしまいがちなので、
説明文的か?物語文的か?だけを判断すれば十分です。
ジャンルを気にする必要はまったくありません。



