武蔵中学 国語の勉強法|2021年過去問から見る合格答案の書き方

武蔵中の過去問を解いたあと、「答案例を見ても、自分の答案に何が足りないのか分からない」「理由と具体例を一文にまとめられない」「比較問題で片方の説明だけになってしまう」ということはありませんか。

武蔵中の国語は、本文の内容を理解するだけでは得点につながりにくく、記述問題では、設問が求めている要素を見抜き、本文の根拠を拾い、一文の答案にまとめる力が問われます。

この記事では、武蔵中2021年度国語・大問一の問二と問四を使って、「設問要求→本文根拠→要素整理→答案作成」の順に確認します。単に答案例を見るのではなく、自分の答案のどこを見直せばよいのかまで分かるように整理していきます。

このページで確認できる2つの記述問題

  • 問二・理由説明:理由と具体例を本文から拾い、一文の答案にまとめる方法
  • 問四・比較説明:味覚と嗅覚をそれぞれ整理し、違いを本文に沿って文章化する方法

まず問二で「理由と具体例のまとめ方」を確認し、そのあと問四で「二つの対象を比較して説明する方法」を見ていきます。過去問を手元に用意できる場合は、自分の答案と照らし合わせながら読み進めてください。

武蔵中だけでなく、過去問演習全体の進め方を整理したい場合は、中学受験国語過去問の全体像はこちらもあわせてご覧ください。

武蔵中2021年度国語|記述答案で最初に確認したいこと

2021年度の大問一では、理由と具体例を一文でまとめる問題と、味覚と嗅覚を比較して説明する問題が出題されています。

どちらにも共通するのは、本文中の表現をただ長く抜き出すのではなく、設問が何を求めているかを確認し、その条件に合う本文根拠を選んで答案にすることです。

問題 設問で見ること 自分の答案で確認すること
理由説明 何についての理由か、具体例は必要か 理由と具体例が一文の中でつながっているか
比較説明 何と何を比べるのか 味覚と嗅覚の両方を使って違いを説明しているか
共通 本文のどの表現を根拠にするか 設問の言葉に合わせて必要な内容をまとめているか

過去問演習で、本文は読めているのに記述の点が安定しない場合は、まずこの3点を分けて確認してみてください。ここから実際の問二・問四を使って見ていきます。

問二|理由と具体例を一文の答案にまとめる

最初に「理由」と「具体例」の2要素が必要だと確認する

大問一問二は、「水洗式だと~つまらない」に対して、谷崎があげる具体例を挙げて説明する問題です。

この設問では、次の2点を答案に入れる必要があります。

  • なぜ「つまらない」と考えるのかという理由
  • 谷崎が挙げている具体例
ここで確認したいこと
本文を読む前に、答案に「理由」と「具体例」の両方が必要だと確認します。自分の答案がどちらか一方だけになっていないかも見直してみましょう。

理由の根拠になる本文表現を探す

本文では、次のような説明がなされています。

  • 「かつて風雅な人は~谷崎は惜しみ憂いていたのです。」

ここから読み取れる内容を分けると、次のようになります。

  • 風雅な人は、微妙な匂いの違いに気づいていた
  • その違いから、多彩な文化の風合いを感じ取っていた
  • 水洗式で清潔さだけを追求すると、匂いが画一化される
  • 匂いの差異が消えることで、文化的な味わいも失われる

つまり、「つまらない」と感じる理由は、風雅な人が楽しんできた微細な匂いの違いが、清潔さと画一化によって失われるからだと整理できます。

具体例は「匂い」だけでなく記憶や感情まで拾う

次に、谷崎が実際にあげている具体例を確認します。

  • 「便所の匂には一種なつかしい~と云う親しみが湧く」

ここから、実家の便所の匂いに、なつかしさや親しみを抱くという具体例が取り出せます。

大切なのは、単に「便所の匂い」と書くのではなく、匂いが記憶や感情と結びついていることまで答案に入れることです。そこまで書くことで、具体例が理由説明を支える形になります。

理由と具体例をつなぎ、一文の答案にする

本文から拾った要素を、いったん分けて確認します。

  • 具体例:故郷の便所の匂いに、一種なつかしい甘い思い出が伴い、実家の便所でなつかしさや親しみを抱く。
  • 理由:風雅な人は微細な匂いの差異に気づき、そこから多彩な文化の風合いを感じ取っていたが、水洗式では清潔さだけを目指して匂いが画一化され、その微細な匂いが消えてしまう。

これらを一つの文にまとめると、次のような答案になります。

「故郷の便所の匂いに一種なつかしい甘い思い出が伴うように、風雅な人は微細な匂いの差異に気づき、そこに多彩な文化の風合いを感じ取るものなのに、水洗式では清潔だけを目指して匂いを画一化してしまうので、その微細な匂いが消えてしまい、つまらなくなるから。」

この答案では、具体例と理由が一文の中でつながっています。答案例と同じ表現になっているかではなく、設問で必要な「具体例」と「理由」の両方が入り、それらが論理的につながっているかを確認してください。

自分の答案を見直すポイント
理由だけを書いていないか、具体例だけになっていないか、具体例が理由を支える形で一文につながっているかを確認します。本文の表現をそのまま並べるのではなく、設問に合う言葉へ言い換えることも大切です。

問四|味覚と嗅覚の違いを比較して説明する

比較問題では「味覚」と「嗅覚」の両方を整理する

大問一問四は、「つまり嗅覚は~なのです」とあるが、なぜそのように言えるのかを、このあとに続く味覚との比較を用いて説明する問題です。

比較問題では、一方だけを詳しく説明しても答案として不足しやすくなります。まず味覚側を整理し、次に嗅覚側を整理し、最後に両者の違いを文章にします。

ここで確認したいこと
自分の答案に「味覚の特徴」と「嗅覚の特徴」の両方が入っているかを確認してください。そのうえで、両者の違いが「機械技術に適合しにくい」という説明につながっているかを見ます。

味覚は「分解・数値化・体系化」ができる

味覚については、空欄Aの直前に、次の表現があります。

  • 「味ならば~それらを数値化して譜面を作ることができました。」

ここから、次の点が分かります。

  • 味覚は六つの要素に分解できる
  • それらの要素は数値化できる
  • 数値化できるため、体系化しやすい

このように、要素に分解し数値に置き換えられる感覚は、機械技術に乗せやすい感覚だと考えられます。

嗅覚は「基本臭」がなく数値化しにくい

次に、嗅覚について本文を確認します。

  • 空欄Aの3行前:「楽譜のように体系化できないのは、香りには基本臭がないからである。」
  • 空欄Aの2行後:「『甘い』香りに感じられるという~それらの強度を数値化することができない」

これらから、次の特徴が読み取れます。

  • 香りには基本臭が存在しない
  • 味覚のように明確に分解・体系化できない
  • 香りをグループ分けしようとしても、分類がゆるい括りになってしまう
  • 強度を正確に数値化することも難しい

つまり嗅覚は、味覚と違って要素分解・体系化・数値化が難しい感覚であり、そのため機械技術に適合しにくいと説明できます。

表にすると、答案に必要な「差」が見える

感覚 本文から分かる特徴 機械技術との関係
味覚 六つの要素に分けられ、数値化して体系化できる。 機械技術に適合しやすい。
嗅覚 基本臭がなく、体系化や数値化が難しい。 機械技術に適合しにくい。

比較した内容を一文の答案へつなげる

味覚と嗅覚を対比させると、答案には次の要素が必要になります。

  • 味覚は、六つの要素に分けられる
  • 味覚は、数値化して体系化できる
  • 嗅覚は、基本臭が存在しない
  • 嗅覚は、体系化や数値化が難しい
  • そのため、嗅覚は機械技術に適合しにくい

これらをつなげると、次のような答案になります。

「味覚は六つの要素に分け、それらを数値化して体系化できるので機械技術に適合しやすいが、香りには基本臭が存在せず体系化できないうえ、グループ分けをしてもゆるい括りにしかならず、その強度も数値化できないため、嗅覚は機械技術に適合しにくい感覚だから。」

この答案では、設問の要求である「味覚との比較」を使いながら、嗅覚が機械技術に適合しにくい理由を説明しています。

自分の答案を見直すポイント
嗅覚についてだけ説明していないか、味覚との違いが明確になっているか、その違いが「機械技術に適合しにくい」という結論につながっているかを確認します。比較問題では、二つの対象を先に分けて整理すると答案を作りやすくなります。

武蔵中2021年度国語の解説動画

ここまで確認した問二・問四について、動画でも解説しています。本文だけでも答案作成の流れは確認できますが、動画では、設問を読んだ時点で何を拾うのか、本文のどの表現を使うのか、拾った内容をどう一文につなげるのかをあわせて確認できます。

動画を見るときのポイント
答えそのものだけでなく、「設問要求→本文根拠→答案作成」の順序に注目してください。自分の答案と比べながら見ると、どの段階で必要な要素が抜けたのかを確認しやすくなります。

武蔵中の記述で点が伸びにくいときの確認ポイント

問二・問四のような問題で答案が安定しない場合、本文の読み取りだけでなく、読んだ内容を答案へ変換する段階でつまずいていることがあります。

  • 理由と具体例が分かれてしまい、一文答案にならない
  • 比較問題で一方の説明だけになってしまう
  • 本文のどこを根拠にすればよいか判断できない
  • 本文中の表現を拾えても、設問に合う形に言い換えられない
  • 必要な要素は分かっているのに、答案が長くなりすぎる

当てはまる項目がある場合は、「読めていない」と考えるだけでなく、設問要求の確認・本文根拠の選択・答案化のどの段階に課題があるのかを見てみましょう。

武蔵中の過去問を復習するときの進め方

つまずく段階を確認したら、解き直しでは次の順番で答案を見直します。

  1. 設問要求を確認する:理由・具体例・比較など、何を書かなければならないのかを整理する。
  2. 本文根拠を確認する:答案に使う内容が、本文のどの表現に基づいているのかを確かめる。
  3. 必要な要素を分ける:理由と具体例、味覚と嗅覚など、答案に必要な内容をいったん分けて書き出す。
  4. 一文にまとめる:設問に答える形になるよう、必要な要素をつなげる。
  5. 自分の答案との差を確認する:模範解答との表現の違いだけでなく、どの要素が不足していたのかを見る。

この順番で復習すると、「不正解だった」で終わらず、次の答案で何を直せばよいかを確認しやすくなります。

武蔵中だけでなく、中学受験国語の過去問をどの順番で進め、どのように復習するかを整理したい場合は、中学受験国語過去問の全体像も参考にしてください。

自分の答案の不足を判断しにくい場合

過去問の復習では、模範解答を読めば内容は理解できても、自分の答案のどの要素が不足しているのか、どの本文表現を根拠として使うべきだったのかを自分だけで判断しにくいことがあります。

特に、理由と具体例を一文にする問題や、二つの対象を比較する問題では、「大体合っているように見える答案」と「設問要求を満たしている答案」の違いを確認する必要があります。

過去問の答案作成を確認する学習イメージ

ご家庭で答案を見直しても、本文根拠や要素不足の判断が難しい場合は、実際に書いた答案をもとに、答案の作り方を一緒に確認していく方法もあります。

よくある確認事項

理由と具体例をどう一文にすればよいですか?

まず理由と具体例を別々に書き出します。その後、「〜のように」「〜ため」などを使って、具体例が理由を支える形になるように一文へつなげます。

比較問題では、先に何をすればよいですか?

比べる二つの対象を分けて整理します。今回であれば、味覚の特徴と嗅覚の特徴をそれぞれ書き出し、その差を最後に文章化します。一方の説明だけで終わっていないかも確認してください。

答案が長くなりすぎる場合はどうしますか?

本文の表現をすべて入れようとせず、設問に必要な要素だけを残します。理由、具体例、比較のどれを問われているかを先に確認すると、削る部分を判断しやすくなります。

武蔵中の記述では、本文の表現をどこまで使えばよいですか?

本文の言葉をすべてそのまま写すのではなく、まず設問に必要な根拠を本文から拾います。そのうえで、設問が求める理由・具体例・比較などが伝わるように、必要に応じて言い換えてまとめます。

家庭で記述答案を確認するときは、何を見ればよいですか?

模範解答と文章が一致しているかだけでなく、設問が求める要素が入っているか、その要素に本文根拠があるか、要素どうしが自然につながっているかを確認します。「何が足りなかったのか」を言葉にできると、次の過去問演習につなげやすくなります。

解説動画だけを見れば十分ですか?

動画だけで終わらせず、自分で過去問を解き、書いた答案と照らし合わせることが大切です。このページの本文では設問要求・本文根拠・答案作成の順に整理しているため、動画とあわせて自分の答案を見直すと復習しやすくなります。

まとめ|武蔵中2021年国語は「本文根拠を答案にする過程」を見直す

  • 理由説明は、理由と具体例を分けたままにせず、一文でつなげる。
  • 比較説明は、二つの対象をそれぞれ整理してから差を文章化する。
  • 本文根拠は、設問要求に合う場所から拾う。
  • 過去問では、本文根拠と答案作成の流れを毎回確認する。
  • 答案例を見るだけでなく、自分の答案に何が足りなかったかを振り返る。

武蔵中の記述問題では、本文を読めたかどうかだけでなく、設問が求める要素を拾い、それを答案としてまとめられたかまで確認することが重要です。

問二のような理由説明なら「理由と具体例」、問四のような比較説明なら「二つの対象の特徴とその差」というように、必要な要素を先に分けて考えると、自分の答案の不足も見つけやすくなります。

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