灘中学校(2日目)・令和3(2021)年度の過去問解説
灘中学校・令和3年度入試の国語を解き直していて、「本文のどこを使えばよいのか分からない」「答えが短くなってしまう」「子どもの記述答案をどう直せばよいか判断しにくい」と感じることがあります。
灘中の記述問題では、傍線部の内容を本文中の表現から読み取り、必要な要素を組み合わせて説明する力が問われます。特に「どういうことか」「どういうものか」と聞かれた問題では、自分の感想を足すのではなく、傍線部と同じ内容を本文中から探し、答案として自然な一文にまとめることが大切です。
このページは、灘中学校・令和3年度国語の全問解説ではありません。記述問題の中から厳選した2問を使い、本文のどこを根拠として使い、どの要素を答案に入れるかを確認するためのページです。動画を見る前の予習や、解き直し後の復習にも使えるように、答案の組み立て方を順番に整理します。
- 傍線部と同じ内容を本文中から探す方法
- 一文だけでなく、複数の文から答えの要素を拾う考え方
- 字数に合わせて、「何をしたか」と「その結果どうなったか」を組み合わせる書き方
- 対比されているものと、そこに込められた価値を一文にまとめる書き方
- 自分の答案と比べるときに、どこが足りないかを見る観点
- 「どういうことか」は、傍線部と同じ内容を本文から探し、必要に応じて結果や理由を加えます。
- 「どういうものか」は、その対象がどのような性質や価値を持つのかを、本文中の表現から拾います。
- どちらも、本文にない感想を足すのではなく、本文中の表現を答案に合う形へまとめます。
灘中学校・令和3年度 厳選解説動画|本文根拠の拾い方を確認する
令和3年度の灘中学校入試から、記述問題で特に確認しておきたい設問を取り上げます。動画では、本文のどこを根拠として使うのか、記述答案をどのように組み立てるのかを具体的に説明しています。
先にこの記事で「根拠の探し方」と「答案に入れる要素」を確認してから動画を見ると、解説の中で何を見ればよいかが分かりやすくなります。すでに問題を解いた後であれば、自分の答案が短すぎないか、本文中の根拠を使えているかを確認しながら読み進めてください。

▶ 解説動画はこちら:
https://youtu.be/UhDuS5Utcn0
この記事で扱う2問と確認ポイント
このページでは、次の2問を通じて、本文根拠を答案に変える考え方を確認します。どちらも「本文に答えの材料はあるが、そのまま抜き出すだけでは答案として弱くなる」タイプの問題です。
| 設問 | 問われていること | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 大問一 問七 | 「どういうことか」を説明する | 火をどのように用いたかだけでなく、その結果まで入れて説明する |
| 大問二 問四 | 「どういうものか」を説明する | 大量生産の点字本との対比から、手打ちされた点字本の価値をまとめる |
大問一 問七:短い答案に「結果」を足して説明する問題
大問一問七は、傍線部が「どういうことか」を説明させる問題です。このタイプの設問では、傍線部と同じ内容を本文中から探し、その内容を必要に応じて言い換えながら答えにまとめます。
答案が短くなる場合は、傍線部の言い換えだけで終わっていることがあります。灘中の記述では、「何をしたか」だけでなく、本文中に示されている結果や意味まで入れることで、説明としてまとまりやすくなります。

傍線部と同じ内容を本文中から探す
「どういうことか」と聞かれたら、傍線部の前後を見て、同じ内容を説明している文を探します。自分の知識を広げる前に、本文に書かれている内容を優先します。
この問題では、設問で聞かれているのは傍線5の内容です。答えの中心は本文中にあるため、まずは傍線部の前後から、同じ内容を説明している箇所を探します。
- 傍線5の直前には、「火の用途は多様です。~火さえも『調理』する生物なのです。」という内容があります。
- ここから、火を料理だけでなく、多様な用途で用いるという内容が読み取れます。
この部分を根拠にするのは、傍線部の内容を具体的に説明しているからです。傍線部と離れた場所にある一般的な説明を無理に広げるより、まずは傍線部の前後にある同内容の文を使うほうが、問いに合った答案になります。
この段階で、答えの中心は次のように置けます。
火を料理だけでなく、多様な用途で用いること。
ただし、これだけでは説明として短く、傍線部が持つ意味を十分に伝えきれない場合があります。そこで、本文中にある関連する内容をさらに加えます。
「何をしたか」と「その結果どうなったか」を組み合わせる
本文には、火の多様な利用が人類の生活を一変させたという内容も示されています。つまり、この設問では、単に「火を多様に使った」と書くだけでなく、その結果まで含めると、説明としてまとまりやすくなります。
- 何をしたか:火を料理だけでなく、多様な用途で用いた
- その結果:人類の生活を一変させた
この2つを合わせると、次のようにまとめられます。
火を料理だけでなく、多様な用途で用いることによって、人類の生活を一変させたということ。
- 「火を使ったこと」だけで終わっていないかを確認します。
- 「料理だけでなく」という広がりが入っているかを確認します。
- 本文にある「生活を一変させた」という結果まで入れられているかを確認します。
このように、「どういうことか」と聞かれた問題では、傍線部の言い換えだけで終えるのではなく、本文中にある結果や意味まで合わせてまとめると、説明として伝わりやすくなります。
この記事では、灘中学校・令和3年度国語の記述2問に絞って、本文根拠の拾い方を確認しています。年度ごとの解き直し方や、過去問演習を始める時期も整理したい場合は、次のページも参考にしてください。
大問二 問四:対比から「どんな価値か」を読み取る問題
大問二問四は、傍線4が「どういうものか」を説明させる問題です。ここでも、傍線部と同じ内容を本文中から探しますが、一箇所だけではなく、複数の文を組み合わせる必要があります。
この問題で大切なのは、対象をただ説明するだけでなく、本文中で何と比べられているのかを確認することです。対比がある問題では、比べられているものとの違いを入れることで、対象の価値が伝わりやすくなります。
複数の要素を本文から拾う
本文の該当部分には、次のような内容があります。
- 「正確だが手打ちの温かみのない大量生産の点字本よりも、ずっと素敵だった。」
- 「私たちのために間違えながらも手打ちしてくれたボランティアさんの手の温もりとして、私には嬉しく思えた。」
この2文から、答えに入れたい要素は次のように分けられます。
- 大量生産された点字本にはないもの
正確ではあるものの、温かみがない点字本と対比されています。 - 目の不自由な人たちのために、手打ちしてくれた人のやさしさ
「手の温もり」「嬉しく思えた」といった表現から、思いやりや温かさが読み取れます。
ここで「手打ちの点字本」とだけ答えてしまうと、本文中の対比や、筆者がそこに感じた価値が落ちてしまいます。設問が「どういうものか」と聞いている場合は、対象の名前だけでなく、その対象がどのような意味を持つのかまで説明する必要があります。
対比と価値を一文にまとめる
この問題では、「大量生産された点字本」と「手打ちされた点字本」が対比されています。答えに必要なのは、単に「手打ちされた点字本」と書くことではありません。大量生産の点字本にはない温かさや、ボランティアの人の思いやりまで含めて説明する必要があります。
- 大量生産された点字本にはない
- 目の不自由な人たちのために手打ちしてくれた
- ボランティアの人のやさしさや温かさが感じられる
これらを一文にすると、次のようにまとめられます。
大量生産された点字本にはない、目の不自由な人たちのために間違えながらも手打ちしてくれた、ボランティアの人のやさしさ。
- 「手打ちされた点字本」だけで終わっていないかを確認します。
- 「大量生産された点字本にはない」という対比が入っているかを確認します。
- 「手の温もり」「嬉しく思えた」から読み取れるやさしさや温かさを説明できているかを確認します。
このように、「どういうものか」と聞かれたときは、本文中の表現をそのままつなぐだけでなく、対比されているものと、そこに込められた価値を合わせて書くことが大切です。
灘中の記述問題で差が出る本文根拠の使い方
今回の2問に共通しているのは、本文中に答えの材料があるという点です。ただし、本文の一文をそのまま抜き出すだけでは、十分な説明にならない場合があります。
- 傍線部と同じ内容を説明している箇所を探す
- 一文で足りない場合は、近くの文や関連する文も見る
- 「何をしたか」と「その結果どうなったか」を合わせる
- 対比されている内容があれば、両方の関係を答えに入れる
- 本文中の表現をもとに、自然な一文へまとめる
灘中レベルの記述問題では、単に文章を読めているだけでなく、本文の表現を答案に必要な形へまとめる力が求められます。特に、「どういうことか」「どういうものか」と問われた場合は、傍線部と同じ内容を本文中から探し、必要に応じて結果・理由・対比を加えてまとめることが重要です。
保護者の方が答案を確認する場合は、正解例と同じ言葉かどうかだけを見るのではなく、本文中の根拠を使えているか、必要な要素が落ちていないか、問いに合った一文になっているかを見ると、直すべき点が見えやすくなります。
本文根拠をどう見つけるか、記述答案をどのように組み立てるかは、過去問演習だけでなく日々の読解練習でも重要です。読解ラボ東京の指導で重視している考え方は、次のページでも確認できます。
まとめ:本文根拠から記述答案を作る
- 「どういうことか」「どういうものか」と聞かれたら、傍線部と同じ内容を本文中から探します。
- 答えの材料が本文にあっても、一箇所だけで足りるとは限りません。
- 字数に余裕がある場合は、理由や結果を加えると説明が具体的になります。
- 対比がある問題では、比べられているものと、そこから読み取れる価値を合わせて書きます。
- 動画と記事を併用しながら、どの文を根拠に、どう一文へまとめているのかを確認すると復習しやすくなります。
灘中の国語では、難しい語句を知っているだけではなく、本文中の表現をもとに、問いに合う形で説明する力が必要です。今回の2問も、根拠となる文を拾い、必要な要素をまとめることで、答案としての形が見えてきます。
よくある質問
「どういうことか」と「どういうものか」は何が違いますか。
「どういうことか」は、傍線部で述べられている内容を説明する問いです。今回の大問一問七のように、本文中から同じ内容を探し、必要に応じて結果や意味を加えます。「どういうものか」は、対象の性質や価値を説明する問いです。今回の大問二問四のように、何と比べられているか、どのように評価されているかを見ることが大切です。
本文の言葉はそのまま使ったほうがよいですか。
本文中の表現を根拠にすることは大切ですが、ただ抜き出すだけでは問いに合わないことがあります。今回の2問でも、本文の言葉をもとにしながら、「結果」や「対比」を加えて、設問で聞かれている形に合わせる必要があります。
記述答案が短くなるときは何を足せばよいですか。
まず、傍線部の言い換えだけで終わっていないかを確認します。本文中に、理由・結果・対比・評価が示されている場合は、それらを加えると説明が具体的になります。今回の大問一問七では「その結果どうなったか」、大問二問四では「何と比べられているか」を見ることが大切です。
動画だけを見れば復習できますか。
動画では答案の組み立て方を具体的に確認できます。ただし、復習では自分の答案と本文根拠を照らし合わせることも重要です。この記事で根拠にする文と入れる要素を確認してから動画を見ると、どの説明が自分の答案の直し方につながるのかが分かりやすくなります。
保護者は子どもの答案のどこを見ればよいですか。
正解例と完全に同じ表現かどうかよりも、本文中の根拠を使えているか、必要な要素が落ちていないか、問いに対する答えになっているかを確認するとよいです。今回の2問では、結果や対比が抜けていると答案が短く見えることがあります。
過去問演習や個別指導を確認したい方へ
過去問演習をどの時期に、どのように進めるかについては、次のページで整理しています。灘中のような難関校の記述問題では、解いた後に「どの文を根拠にしたか」「答案に入れる要素がそろっているか」を確認することが大切です。
過去問を始める時期、解き直しの進め方、年度ごとの復習の流れを確認したい場合は、過去問演習の全体像から見ると整理しやすくなります。
過去問を解いても、記述答案の作り方が安定しない場合
本文のどこを根拠として使うか、複数の要素をどう一文にまとめるかで、国語の答案は大きく変わります。
特に、本文根拠は拾えているのに答案が短くなる場合や、保護者の方が丸付けをしても直し方を判断しにくい場合は、答案の材料の拾い方とまとめ方を分けて確認する必要があります。
読解ラボ東京では、中学受験国語の記述答案を、本文根拠の確認から丁寧に見ていきます。
目的別に確認する
解法の考え方を確認したい方
1対1で答案の直し方を確認したい方
過去問演習の進め方を整理したい方
受講前に日程や教室情報を確認したい方
講座案内:小5夏期体験講座
「2021年春の最難関校への受験に向けて、より高度な問題に早めに取り組んでおきたい」生徒さんまで、多くの小学生のチャレンジをお待ちしています!


