中学受験国語で「詩」の学習が必要な理由|比喩を読み取って得点に変える読み方

このページでは、入試国語の記述問題における「言い換え」の位置づけについて整理します。よく塾や参考書で「本文を言い換えなさい」「抽象化しなさい」と言われますが、実はこれはごく一部の例外にしか必要ないテクニックです。

まずは、「基本は本文の引用でよい」という前提を押さえつつ、どのような場合にのみ言い換えが必要になるのかを見ていきましょう。

記述問題で「言い換え」が必要かどうか

基本方針:まずは本文からそのまま要素を拾う

記述問題の第一原則は、

  • 自分で勝手に作文しない
  • 本文中から答えとなる要素を拾ってくる

ということです。多くの記述問題は、この「本文の引用」だけで十分対応できます。

言い換えは「例外的なテクニック」

その上で、二つ目のポイントとして次の点が挙げられます。

例外的に “言い換え” が必要になるケースがある。

ただし、これはあくまで例外です。

  • 本文を言い換えなければならないケースは、体感では20要素に1つ程度
  • つまり、できなくても合否にはほとんど影響しない

そのため、国語が苦手なお子さんは無理にここを覚えなくても構いません。まずは「本文から拾う」「そのまま書く」という基本を徹底することが大切です。

一方で、

  • 最難関校を目指したい
  • 国語を得点源にしたい

という場合には、この「例外的な言い換え」も押さえておくと、より完成度の高い答案が作れるようになります。

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本文をそのまま使ってはいけない2つのケース

① 比喩表現をそのまま書いてはいけない

1つ目は、本文中に比喩表現(たとえ)が使われている場合です。

比喩はどうしても意味が曖昧になりやすく、解答欄にそのまま書くと、採点者からすると「本当に意味が分かっているのか」が判定しづらくなります。

✔ 比喩は、一般的な表現に言い換えて書く必要がある。

たとえば、

  • 「胸がドーンと鳴った」→「とても驚いた」「衝撃を受けた」
  • 「心がふわっと軽くなった」→「安心した」「気持ちが楽になった」

というように、感情や状態をストレートな言葉に置き換えるのがポイントです。

② 具体的すぎる内容は「抽象化」してまとめる

2つ目は、本文中の表現が具体的すぎる場合です。具体例そのものを書くと、「それ以外の例はどう扱うのか?」と採点でツッコミを受けやすくなります。

◎ 例:

「カレーそばを食べた。ご飯と漬物も食べた。」という体験について、

この体験を説明しなさい。

と問われているのに、

❌「カレーそばを食べた」と書いてしまう
→ 「じゃあ卵かけご飯は違うの?」と突っ込まれてしまう

こうならないように、次のようにまとめて抽象化します。

✅「普通の食事」
✅「質素な食事」

このように、

  • 個々の具体的な食べ物の名前ではなく
  • それらをひとまとめにする広い言葉(上位の概念)

に置き換えるのがコツです。

✔ 比喩 → 一般的な表現へ
✔ 具体例 → 抽象化してまとめる

「言い換え」にこだわりすぎるデメリット

国語が苦手なら、まずは「引用」で十分

正直なところ、筆者は次のように考えています。

国語が苦手な生徒に、この言い換えテクニックを無理に覚えてほしいとは思っていない。

その理由はとてもシンプルです。

ほとんどの記述問題は「本文を引用すれば解ける」から。

言い換えを意識しすぎると、

  • 本来そのままでよい部分まで、無理に言い換えようとしてしまう
  • 結果として、かえって意味がズレたり、要素が落ちたりする

というリスクが大きくなります。

「正しい知識」としてだけ押さえておく

とはいえ、実際にはどこかの塾や先生が必ず「言い換え」「抽象化」の話をします。そのときに誤った理解をしないよう、

  • どんな場面で
  • どれくらいの頻度で
  • どのように使うべきか

正しい知識として整理しておくことが大切です。

このページで説明しているのは、まさにそのためです。

まとめ:言い換えは「比喩」と「具体例」だけ意識すればOK

基本は「本文を引用する」
✅ 例外は 「比喩」「具体的すぎる内容(抽象化)」 の2つだけ

  • まずは本文から要素を拾う力を鍛える
  • そのうえで、比喩・具体例だけは言い換え・抽象化を意識する

この順番を守れば、不要な言い換えで迷子になることなく、記述問題の得点力を着実に高めていくことができます。最難関校を目指す場合は、この「例外ルール」も味方につけて、より精度の高い答案づくりを目指していきましょう。

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