中学受験国語で「詩」の学習が必要な理由|比喩を読み取って得点に変える読み方


中学受験国語の「詩」は、本文が短いぶん、比喩・象徴をどう読み取り、根拠を添えて言い換えられるかで得点差が出やすい分野です。感覚で答えるより、読む順番と答え方の型を決めておくほうが、点が安定しやすくなります。

このページでは、詩が出題されやすい背景を整理したうえで、典型設問の見方、比喩・象徴の言い換え方、選択肢/記述で失点しないチェック方法、家庭学習の回し方までをまとめます。

先に結論だけ:

  • 詩は「ことばの密度」が高いので、情景→気持ち→表現の順で読むと迷いにくい
  • 言い換えは「全部やる」のではなく、比喩・象徴のところだけ丁寧に
  • 選択肢は言い過ぎ/飛躍/根拠不足をチェックすると失点が減りやすい

なぜ中学受験で詩を学ぶのか

詩は、説明文や物語文と比べて「書いてある情報が少ない」と感じやすい一方で、一つ一つのことばに意味が込められやすい形式です。設問は「何が書いてあるか」よりも、表現が示す意味(気持ち・情景・変化)を問う形になりやすくなります。

  • 比喩や象徴が多く、ことばをそのまま取るとズレやすい
  • 根拠となる行が短く、引用だけでは答えになりにくい場面がある
  • 「なんとなく」で答えやすく、再現性が下がりやすい

逆に言えば、読む順番(手順)を決めるだけで、得点が安定しやすい分野でもあります。

詩が出やすい学校・出題されやすい理由

詩の出題は学校によって差があり、毎年必ず出るとは限りません。ただ、傾向としては表現の読み取りや記述の精度を見たい学校で、詩が出題されることがあります。

詩が出題されるとき、学校側が見たいのは知識量というより、本文のことばを根拠に意味を組み立てられるかという点になりやすいです。長文とは違う形で、読解の基本(根拠→解釈→まとめ)を確認できるためです。

  • 比喩・象徴の読み取り(言い換えの精度)
  • 情景と心情のつながりを説明できるか
  • 題名や連(段落)ごとの変化を追えるか

塾選びの観点では「詩の有無」だけで判断する必要はありませんが、志望校が記述・表現問題を重視するタイプなら、詩で求められる力は他分野にもつながりやすいと言えます。

詩の典型設問パターン

中学受験の詩では、次のタイプが出やすいです。先に「何を聞かれやすいか」を知っておくと、読み方の焦点が定まりやすくなります。

気持ち(心情)を答える

  • 話者(語り手)が今どう感じているか
  • なぜその気持ちになるのか(根拠のことば)
  • 気持ちの変化(前半→後半、連ごと)

情景(場面・様子)を答える

  • 見えるもの/聞こえるもの/触れた感じ などの手がかり
  • どんな雰囲気か(明るい/静か/重い など)
  • 情景が気持ちにどう影響しているか

表現技法(比喩・反復・対比など)を答える

  • 比喩(たとえ)や象徴が、何を伝えるための表現か
  • 反復(くり返し)や対比が、どんな強調になっているか

題名の意味を答える

  • 題名が指している中心のテーマ(何を一番言いたいか)
  • 題名と本文のことばのつながり

連(段落)ごとの変化を追う

  • 前半と後半で情景・気持ち・見方が変わっていないか
  • 変化のきっかけになったことば(転換)を探す

詩を読む手順(情景→気持ち→表現)

詩は短いので、いきなり「答え」を探すより、読む順番を固定すると安定しやすくなります。

① まず「情景」を拾う(何が見える?どんな音?)

  • もの・場所・動き・音・光など、目に浮かぶ要素を拾う
  • 季節や時間帯が想像できる手がかりがあればメモする

② 次に「気持ち」を当てる(どう感じている?)

  • 気持ち語(うれしい、さびしい等)が出るときは強い根拠
  • 気持ち語がない場合は、情景や行動から推測する(ただし飛躍しない)

③ さいごに「表現」を確認する(比喩・象徴はどこ?)

  • 比喩(〜のようだ等)は「そのまま」では答えにしにくいことがある
  • 象徴(特定の物が意味を持つ)は、本文の他の行とつなげて解釈する

ポイント:詩の「言い換え」は、本文すべてをやるものではありません。比喩・象徴の箇所だけ、根拠を添えて丁寧に行うのが現実的です。

比喩・象徴を「根拠つき」で言い換える手順(作例つき)

基本ルール:言い換えは「根拠のことば」とセットにする

比喩や象徴は、ことばのまま書くと意味があいまいになりやすく、採点者が「分かっているか」を判定しづらいことがあります。言い換えるときは、次の順で進めるとズレにくくなります。

  1. 比喩・象徴の箇所に印をつける
  2. その前後で、意味を補う根拠のことばを拾う(感情語・行動・情景など)
  3. 根拠に沿って、一般的な表現に言い換える(言い過ぎない)

作例①:比喩を一般的な言葉にする

作例(イメージ用の短い例):
「胸がドーンと鳴った」

言い換え例:「とても驚いた」「衝撃を受けた」

比喩は、気持ちや状態が伝わるストレートな言葉に置き換えると、答案が読みやすくなります。

作例②:象徴は「本文の他の行」とつなげて解釈する

作例(イメージ用の短い例):
「窓の外の光」

考え方:光=希望、と決めつけるのではなく、本文の他の行(暗い・重い・前向き等の手がかり)と合わせて、
「先が明るくなりそうだと感じている」「気持ちが少し前向きになっている」など、根拠に沿った表現にまとめます。

やりすぎ注意:言い換えは「広げすぎない」

  • 本文にない価値判断(立派だ、正しい等)を足さない
  • 根拠が弱いのに強い断定(必ず、絶対)をしない
  • 説明しすぎて長くなり、要素がぼけるのを避ける

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選択肢問題で失点しないチェック

詩の選択肢は「雰囲気でそれっぽい」ものが紛れやすいので、次の3点で機械的にチェックすると安定しやすくなります。

① 言い過ぎ(強すぎる断定)を疑う

  • 「必ず」「完全に」「一切」など、強い語が入っていないか
  • 本文にそこまで書いていないなら、言い過ぎの可能性がある

② 飛躍(根拠のない追加)を疑う

  • 本文にない背景事情(家庭環境、性格決めつけ等)を勝手に足していないか
  • 象徴の解釈が「よくある意味」に寄りすぎていないか

③ 根拠不足(本文のどこで言える?)を確認する

  • 選んだ理由を、本文のことば(行)で説明できるか
  • 説明できないなら、別の選択肢の可能性がある

チェックの順番:(1)言い過ぎ →(2)飛躍 →(3)根拠不足。
迷ったときは、強い断定が入っている選択肢から落としていくと整理しやすいです。

記述の書き方:根拠→言い換え→まとめ

詩の記述は、短い本文から答えを作るので、型があると崩れにくいです。おすすめは次の並べ方です。

型:根拠(本文のことば)→言い換え→まとめ

  • 根拠:本文のどのことば(行)から言えるか
  • 言い換え:比喩・象徴なら一般的な表現に整える
  • まとめ:設問の聞かれ方(気持ち/情景/理由)に合わせて一文にする

短い例(イメージ)

設問例(イメージ):話者の気持ちを説明しなさい。

答案の作り方:

  • 根拠:「胸がドーンと鳴った」
  • 言い換え:「驚き/衝撃」
  • まとめ:「突然の出来事に驚き、心が強く揺れた気持ち。」

よくある失点:言い換えで要素が落ちる

  • 言い換えに意識が向きすぎて、根拠の要素が抜ける
  • ことばをきれいにしようとして、本文とズレる

国語が苦手なお子さまほど、まずは本文から要素を拾う(根拠を立てる)ことを優先して、言い換えは比喩・象徴の箇所に絞るほうが進めやすいです。

家庭学習の進め方(週の回し方)

詩は「まとめノート」だけで上達しにくいので、短い回数を繰り返すほうが向いています。やり過ぎると嫌いになりやすいので、量は控えめで構いません。

週の回し方(例)

  • 週1回:詩を1題(選択肢+記述があれば1問)
  • 翌日:解説を見ながら「根拠の行に線」→「比喩・象徴だけ言い換え」
  • 週末:同じ題をもう一度。今度は「チェック(言い過ぎ/飛躍/根拠)」を意識して解く

復習の観点(ここだけ見直す)

  • 情景を拾えているか(名詞・動き・音・光)
  • 気持ちが「本文根拠」によっているか(飛躍していないか)
  • 比喩・象徴の言い換えが、強すぎないか(言い過ぎになっていないか)

やり過ぎを避ける注意

  • 詩ばかり増やすより、国語全体(説明文・物語文)の読解の型を崩さない
  • 「感じたこと」を自由に書く練習に寄りすぎない(受験では根拠が大事)
  • 1題に時間をかけすぎない(短く回す)

要点まとめ

  • 詩は短いぶん、情景→気持ち→表現の順で読むと迷いにくい
  • 言い換えは全部ではなく、比喩・象徴の箇所を根拠つきで行う
  • 選択肢は言い過ぎ/飛躍/根拠不足の3点でチェックする
  • 記述は根拠→言い換え→まとめの型で短く作る
  • 家庭学習は短く回し、復習は「根拠」と「言い換えの強さ」を見直す

よくある質問

詩は毎年対策したほうがいいですか?

志望校の出題傾向によって優先度は変わります。毎年必ず出る学校もあれば、出ない年もあります。まずは過去問や学校別の傾向を確認しつつ、詩に割く時間は「国語全体のバランス」を崩さない範囲で調整すると進めやすいです。

気持ち問題がいつも「それっぽい答え」になります

「それっぽさ」が出るときは、根拠が弱いことが多いです。情景(見えるもの・動き・音)を先に拾い、その情景が気持ちにどうつながるかを、本文のことばで説明できる形にするとズレにくくなります。

比喩や象徴は、どう言い換えればいいですか?

よくある意味に決めつけず、本文の他の行(気持ち語・状況・変化)とつなげて言い換えるのが安全です。「言い換え」そのものよりも、根拠のことばを拾うことを先に意識してみてください。

詩の記述が短く書けません

まずは「根拠→言い換え→まとめ」の型で、要素を3点に絞って一文にしてみてください。説明を盛りすぎると、かえってポイントがぼけやすくなります。

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