早稲田実業中等部〈国語〉過去問解説|2021年入試問題の読み方と記述対策

このページでは、早稲田実業学校中等部・令和3年度入試(国語)から厳選した問題について、動画とあわせて解説します。
特に、物語文での「背景・出来事から心情を読み取る手順」と、説明文での「空欄補充+三段論法による整理」に焦点を当てて整理しています。

早稲田実業学校中等部・令和3年度 厳選解説動画

令和3年度 早稲田実業学校中等部の入試より、厳選した問題とその解説をお届けします。
動画では、本記事の内容をベースにしながら、実際の答案の組み立て方まで丁寧に解説しています。

解説

大問一 問三:心情を読み取るための「背景+出来事」の整理

大問一問三は、傍線2「空はどこからだって見えるよ」という記述から、どのようなことが読み取れるかを問う問題です。
ここでは、物語文の定番手順である「背景」と「出来事」を整理して心情を読み取るアプローチを用います。

解き方のポイント:
物語文で心情を問われたら、まず
①背景(状況・前後の文)②出来事(会話・行動)を整理し、
そこから③心情を導く、という順番で考えましょう。

背景の整理

次郎と石田のやり取りの中で、まず背景にあたる部分を確認します。

  • 次郎が石田に「どんなにしあわせか」「部屋から空が見えるんだねぇ」と言った。

ここから、次郎は「空が見えること」を特別な幸福」として受け取っていることが分かります。

出来事の整理

続いて、その言葉に対する石田の返答=出来事を確認します。

  • 石田は「空はどこからだって見えるよ」と返答した。

この返答は、次郎と自分をあまり違う存在だとは見ていないというスタンスを示していると考えられます。

心情の結論

背景と出来事を踏まえると、

石田は「自分も次郎も本質的には同じである」と考えており、生活環境の大きな差だけに注目してはいない。

という心情が読み取れます。
これをもとに選択肢を検討すると、

選択肢ウ:「生活環境の大きな格差を問題とせずに~」

が、石田の心情を最もよく表しており、解答となります。


大問二 問二:「未来の見えない」状況がなぜ「自由」かを三段論法で整理する

大問二問二は、傍線2「未来の見えない」状況がなぜ「自由」といえるのかを説明させる記述問題です。
答案は、


「『未来の見える』状況では【 A 】ことになってしまうが、『未来の見えない』状況では【 B 】ことが出来るから」

というかたちで書くことが求められています。

解き方のポイント:
・まず空欄の前後を読み、その空欄とほぼ同じ内容(イコールの内容)を本文中から探す。
・「A=X」「X=Y → A=Y」と対応づけられたら、三段論法によって「A=Y」と整理する。

Aの内容を導く:未来が「見える」状況とは?

最初に、Aに入る内容を考えます。

  • 設問:「『未来の見える』状況では【A】ことになってしまう」
    A = 未来の見える状況で起こること
  • 設問:「『未来の見えない』状況がなぜ『自由』といえるのか」
    「未来の見える」状況では不自由になる(X)
  • 本文:「未来が予測できることによって~~未来が起点になって現在がそれにしたがう…」
    予測された未来に合わせて現在を生きる(Y)

ここで、

A = X、X = Y → A = Y(=予測された未来に合わせて現在を生きる)

という三段論法が成り立つので、Aには

「予測された未来に合わせて現在を生きる」

という内容が入ります。

Bの内容を導く:未来が「見えない」状況とは?

同じ手順で、Bを考えます。

  • 設問:「『未来の見えない』状況では【B】ことが出来る」
    B = 未来が見えない状況でできること(X)
  • 本文:「その逆に現在によって未来がつくられていく…」
    現在の自分の選択によって未来をつくる(Y)

これより、

B = 「現在の自分の選択によって未来をつくる」

と整理できます。

答案の骨組み

以上を踏まえると、記述の骨組みは


「『未来の見える』状況では、予測された未来に合わせて現在を生きることになってしまうが、『未来の見えない』状況では、現在の自分の選択によって未来をつくることが出来るから。」

という内容になります。字数に応じて接続語や指示語を整えながら、
A と B の対応が論理的につながるように仕上げることが大切です。

まとめ:早稲田実業中等部・国語で求められる読解力とは

  • 物語文では、「背景」と「出来事」を整理して心情を読み取る型を身につけることが重要。
  • 人物の一言だけを切り取るのではなく、その前後の会話や描写をセットで読むことで、真の意図・心情に近づける。
  • 説明文の空欄補充や理由説明では、空欄の前後+本文中の言い換え表現を対応づけて考える。
  • 「A=X」「X=Y → A=Y」といった三段論法的な整理ができると、論理の筋が通った答案が書きやすくなる。
  • どちらのタイプの問題でも、最後は本文のどの部分を根拠にしたかを自分で説明できるかどうかが、得点の分かれ目になる。

動画とあわせて演習を重ねながら、「背景+出来事→心情」「空欄前後+三段論法」という2つの型をぜひ定着させてください。
これらの解法を身につけることで、早稲田実業学校中等部の国語だけでなく、他校の入試問題にも対応できる汎用的な読解力が養われていきます。

 

出版

国語学習と受験対策のエキスパートからの知識と洞察に基づく貴重なリソースです。この書籍は、大学入試や受験に関連するさまざまなトピックに焦点を当て、国語力の向上から受験戦略までを包括的にカバーしています。