桜蔭中学校・令和3年度入試国語|記述問題の解き方と過去問解説
桜蔭中学校・令和3年度厳選解説動画
令和3年度の桜蔭中学校入試国語から、重要な設問をピックアップし、解き方のプロセスとともに丁寧に解説します。本文のどこから根拠を拾い、どのように記述を組み立てればよいかを具体的に示していますので、桜蔭志望の受験生だけでなく、難関中学の記述問題対策全般にご活用ください。
令和3年度 桜蔭中学校の入試より、厳選した問題とその解説をお届けします。
解説
大問一 問三の解説:「戦わずに勝つ」とはどういうことか
傍線③について、「私たちが『戦わずに勝つ』ためにはどうすればよいのか」を問う問題です。ここでは、本文中からイコールの内容を探し、それをさらに具体化して字数を整える手順で考えます。
① まずは本文中の「答えの核」を探す
傍線の内容とイコールになる部分を探すと、次の一文が見つかります。
- 一枚目の左下の記述より:
「ナンバー1になれる~たどりついたのです。」
ここから、まず押さえるべきポイントは次のとおりです。
- ナンバー1になれるオンリー1のポジションを見つければよい
入試の国語は、答えになる箇所が必ず本文中にある「宝さがしゲーム」です。まずはこの「核」になる一文を確実に拾えるかどうかがスタートラインになります。
② 記述の字数が足りないときの基本テクニック
・自分が書いた内容の「理由」を付け加える
・自分が書いた内容の「イコールの内容」を加える
このどちらか、もしくは両方を使って、自然に字数を調整していきましょう。
今回の問題では、先ほどの内容をさらに具体化するために、本文のラスト部分を用います。
- 文章のラストより:
「得意なことを探すためには、すぐに苦手と決めて捨ててしまわないということが大切なのです。」
この一文を踏まえると、先ほどの「オンリー1のポジションを見つける」という内容を、次のようにふくらませることができます。
- すぐに苦手と決めつけず、自分の得意なことを探す
- その中からナンバー1になれるオンリー1のポジションを見つける
以上をまとめると、模範的な記述は次のようになります。
【答えのまとめ】
すぐに苦手と決めつけないで、得意なことを探し、ナンバー1になれるオンリー1のポジションを見つければよいから。
大問二 問七の解説:タロに言い聞かせる理由
傍線Eについて、「タロにそう言い聞かせている理由」を問う問題です。物語文の理由問題では、必ず心情を押さえる必要があります。
① 背景(状況・前提)を整理する
② 出来事(何をしたか・何が起こったか)を整理する
③ 背景+出来事から、登場人物の「心情」を読み取る
④ 心情を答えにきちんと入れる
① 背景を押さえる
- 二重線2の六行後より:
「あれ以来~ちょっとは汁がうすまる。」
この部分から、次の「背景」が分かります。
- 真紀ちゃんと相性が悪いという背景がある。
② 出来事を整理する
- 「柴犬のあんたと~体力の消費や。」より:
ここから読み取れる出来事は、
- タロに対して、犬猿の仲であるクリストファーに怒っても無駄だと言い聞かせた
というものです。
③ 背景+出来事から心情を読み取る
背景と出来事を重ね合わせると、
- タロには犬猿の仲であるクリストファーがいる
- 主人公には相性の悪い真紀ちゃんがいる
という「タロと自分が重なる構図」が見えてきます。そのため、主人公はタロに語りかけながら、実は自分自身にも言い聞かせているのだと分かります。
【答えのまとめ】
タロと自分を重ねており、真紀ちゃんには怒ってはいけないと、自分にも言い聞かせているから。
まとめ:桜蔭中・記述問題で意識したいポイント
- 国語の記述問題は、本文中に必ず根拠がある「宝さがしゲーム」だと考える。
- 字数が足りない場合は、「理由を足す」「イコールの内容を足す」ことで自然にふくらませる。
- 物語文の理由問題では、背景・出来事・心情を整理してから書き始める。
- 登場人物の心情は、自分との重なりに注目すると読み取りやすい。
こうした解法を普段の演習から意識して身につけておくことで、桜蔭中をはじめとした難関中学の記述問題にも、安定して対応できるようになります。本文のどこを見ればよいか、どう記述を組み立てるかという「型」を意識しながら、演習を積み重ねていきましょう。



