浅野中学校・令和3(2021)年度の過去問解説
このページでは、浅野中学校・令和3年度入試(国語)から厳選した問題について、動画とあわせて解説します。
実際の入試問題を通して、「心情把握の手順」や「理由を問う設問の解き方」を確認し、物語文・論説文それぞれで得点力を高めるコツを整理していきましょう。
浅野中学校・令和3年度 厳選解説動画
令和3年度 浅野中学校の入試問題から、厳選した問題とその解説をお届けします。
動画では、本文の読み方から選択肢の絞り方まで、実戦で使える考え方を丁寧に解説しています。
▶ 解説動画はこちら:
https://youtu.be/tbifQTOXGeM
解説
大問二 問八:心情をとらえて理由を選ぶ問題
大問二問八は、傍線部の理由として適切な選択肢を選ぶ問題です。
物語文で理由を聞かれている場合は、まず登場人物の心情をとらえることがポイントになります。
【背景】+【出来事】を整理して、そこから【心情】を考えるのが基本です。
背景と出来事を整理する
- 傍線3のページ上段・後半より:
「ちょうど一年前に、ルロイは六歳で死んでしまった。」
→ 【背景】として、ルロイが死んでしまったという事実が示される。 - 傍線3の直前より:
「『いいか、ルロイは死んでいない~それっきり涙は止まってしまった。」
→ 【出来事】として、父が新しい猫を連れてきて『ルロイは死んでいない』と言ったことが分かる。
そこから読み取れる心情
【背景】と【出来事】を組み合わせると、主人公は
- 父の考え方に違和感を覚えている
- 父の言動におどろいている
という【心情】にあると考えられます。
この心情を踏まえると、適切な説明は
選択肢イ
「死んでしまったルロイとの思い出から抜け出せずに苦しんでいた『若葉』にとって、ルロイの存在をすっかり打ち消してしまうような『父』の言動がまったく理解できず、ルロイの死を悲しめる状態ではなくなってしまったから。」
が正解となります。
父の行動に対する違和感・戸惑いが、「ルロイの死を悲しむ状態ではなくなってしまった」という結果につながっていることが、本文の流れと一致している点がポイントです。
大問三 問一:抽象表現「(X)」の意味をたどって理由を選ぶ問題
大問三問一も、傍線部の理由として適切な選択肢を選ぶ問題です。
ここでは、本文中の抽象的な表現「(X)」の意味を、本文の前後から具体的な姿に落とし込むことが求められています。
(X) の内容を本文から取り出す
- 傍線部の直前より:
「哲学の問いは、~子どもにしか哲学はできない。」
→ この文脈から、(X) = 【前に進めという声から自由だから】 と置く。
しかし、これだけではまだ抽象的なので、さらに(X) が具体的にどういう状態なのかを本文から探します。
- 傍線部の前より:
「『前に進め』~子どものような姿にも見えるだろう。」
→ ここから、(X) = 【蟻の行列をずっと見ているような状態】 と読み取れる。
この具体的なイメージを、(Y) =【蟻の行列を熱心に観察している状態】とおきます。
論理の流れを整理する
- 傍線部の理由 = (X)
- (X) = (Y)
という関係から、
傍線部の理由 = (Y)
つまり、蟻の行列のような「現象」をじっくり観察する子どものあり方が理由だと分かります。
これに対応する選択肢は、
選択肢ア
「目の前に興味深い現象が現れた時に、時間をかけてその状態を観察することに熱中できるような好奇心は、子どもにしかできないから」
となり、これが正解です。
- 傍線部と同じ内容の表現を本文中から見つけ、(X) とおく。
- (X) の前後を読むと、その理由や具体例が (Y) として書かれていることが多い。
- 「傍線部 = (X)」「(X) = (Y)」と対応させることで、
傍線部の理由 = (Y) と論理的に導き出す。
この「X と Y のイコール関係をたどる読み方」は、さまざまな長文問題に応用できる普遍的なテクニックです。
まとめ:背景・出来事・イコール関係を押さえて理由問題を攻略する
- 物語文で「理由」を問われたときは、【背景】+【出来事】から【心情】を整理することが第一歩。
- 心情の根拠は必ず本文中に書かれているので、「なんとなくの印象」ではなく、根拠の文を探しにいく姿勢が大切。
- 論説・説明的文章では、抽象的な表現 (X) を、その前後の具体例 (Y) と結びつけ、イコール関係を意識して読む。
- 「傍線部 = (X)」「(X) = (Y)」と対応をとることで、傍線部の理由を (Y) として論理的に導くことができる。
- 浅野中学校のような難関校では、本文と設問の関係を筋道立てて追えるかどうかが、得点差となって表れる。
解説動画とあわせて問題を復習しながら、「なぜその選択肢が正解なのか」を自分の言葉で説明できるレベルを目指していきましょう。
こうした積み重ねが、入試本番での安定した読解力・得点力につながります。



