国語の記述問題を自分で採点しよう!

 

夏井(中学受験専門 夏井算数塾代表):国語の記述問題を自分で採点しよう!という事ですが
出来ますか?
長島:出来ます。具体的な塾名とか教材で言えば、予習シリーズです。
あとSAPIXのBテキストはここで3点、ここで4点、ここで2点みたいな感じで配点をちゃんと示してくれています。なので、それを見ながら、あっ、ここの3点分あるよな、ここの2点分あるよな、という採点は自分で出来るようにしていますし、むしろ出来るようにならなくちゃいけません。
基本的に国語の記述は要素採点です。
この言葉を書けたら何点あげる、この言葉を書けたら何点あげる、という形です。
まず自分で採点出来るようにならないと、要素を捉えるという発想自体を中々お子様がもてないと思います。なので、その発想をもつ為にも自分で採点する必要はあると思います。
夏井:ちなみに、今上げて頂いたテキスト以外、例えば過去問を解く段階で、その過去問の模範解答が当然くっついていると思うんですが、採点基準がない事の方が多いような気もします。
そういう時はどうしたらいいですか?
長島:そこで保護者様のお力を借りたいと思っています。
ある程度大人が見れば、句読点とかに注目しつつ、この三つの事を書いて欲しいんだな、という分解は可能です。なので、ご家庭でやるのであれば本当に多少のズレがあるのは仕方ないと思います。
10点中とりあえず3点、3点、4点にするとか、9点で3要素あれば全部等分で3点とかでも構いません。
ある程度そこは多少ズレがあっても構わないので、いくつかの要素に分類してあげる。
それは大人がやってあげます。
そして、その採点の要素だけをお子様に見せて、お子様がここで3点なのか、うーん、なかった、という事を自分でやって欲しいです。
なので、採点基準があるテキストはそれを利用する。ない場合は、その採点の要素を作る。
ここで何点というのを作るという所だけ大人の力を借りて、それ以外は自分でやっていくという事を出来るようになって欲しいと思っています。

夏井:という事で、実際の問題を使って説明をしてもらいたいと思います。
長島:麻布中学で昔出題された問題になります。物語文の気持ちを記述する問題です。
夏井:じゃあとりあえず、要素としてはそこに出てくるものになるんですか?
長島:そうですね。主人公が牛さんですが、牛さんの気持ちを読み取る問題です。
傍線が、「うんざりした」なので、これ何でうんざりしたかというと、狸さんに馬鹿にされたからです。それでテンションが下がっている、という事です。
【狸さんに馬鹿にされちゃいました】で、3点ゲットとしております。更に理由を考えていきます。
何で狸に馬鹿にされたかというと、この牛は木に登って眠るという謎の牛だったんです。
この牛さんはそれをずっと隠していたんです。
【木に登って眠るという事を秘密にしていました。】
これで3点です。狸がそれを知って馬鹿にしてきたんです。
これ注意して欲しいのは、受験生の方はこの背景と出来事を揃えた時点で、あっ、狸にキレてるんだ、と思う事です。だから気持ちとしては怒っていると書いちゃう方が多いです。
ですが、傍線自体に注目して欲しいです。
うんざりしています。テンションが下がっているので、怒りじゃないんです。
馬鹿にされてテンションが下がっているというのであれば、憂鬱になっているだとか、
ちょっと難しい言葉を使ってみると気が滅入るだとか、この気持ちを書けて4点です。
実際麻布の採点だと多分この問題は5点ぐらいだと思いますが、授業という事で一応10点満点と分かりやすくしております。
背景の秘密である木に登って眠るという事。それで3点です。
それを知った狸に馬鹿にされました、で3点です。
気持ちで4点です。これで10点満点と、この問題を設定しております。
夏井:実際にその答案を使いながらどういう採点していくのかを見せて頂きたいと思います。

長島:まず、生徒さんの答えを一つあげております。頭から読んでみましょう。
狸が、「木に登って眠るなんて信じられない」と言って、これは狸に馬鹿にされたというここの内容を捉えている訳です。だから3点ゲットです。
そのあと、笑ってきたので、怒っている、怒っているはさっき申しましたが、これは気持ちとしてはズレてしまっています。なので、今回は出来事分の3点をゲット出来たという事になります。

木に登って眠るという秘密を狸が馬鹿にしてきたので、木に登って眠るのは秘密でした
これは背景の分があります。3点です。
狸が馬鹿にしてきたので、これが馬鹿にされたよ、という出来事にあたりますので3点ゲットです。
もう狸の事を許せない、これは気が滅入るとか憂鬱になるという気持ちじゃないので
気持ちの分はもらえませんでした。
ついでにもう一つだけ言わせて下さい。
許せないというのは、気持ちを現したとは入試の世界では認めてくれないと思います。
気持ちを一言で表す言葉はあるんです。嬉しいとか楽しいとか恥ずかしいだとかがそうです。
ただ、許せないというのは気持ちを書いた言葉とはちょっと認定されていないかなと思います。
なので、そういった意味でも、許せないでは点数もらえないという事で、これは6点ゲットという事でお願いします。

狸に笑われたので、うんざりしてしまい、これまず狸に笑われた
というのはこれはもう馬鹿にされたという内容でいいです。
3点ゲットです。
うんざりしてしまい、というのはいいです。これは気が滅入るにあたる内容だと思います。
あと、ゆううつになっている。これは同じです。
これはどっちも気が滅入るという事を、多分両方必要ないだろうと思いながら、
でも字数指定が45字程度だから字数を重ねたいという事で同じ気持ち重ねてくれたんだと思います。
残念ながらこの気持ちの所で4点なので、4点の気持ちを二つ書いた所で8点にはなりません。
これはセットで4点という事で許して下さい。気持ちの4で、3足す4で7点ゲットでお願いします。
夏井:狸に笑われたというのと、馬鹿にされたというのは、ちゃんとイコールとして考えてもいいという事なんですね。
長島:これはもう馬鹿にされたという趣旨が伝わっていれば、認めてあげてOKだと思います。
夏井:どうしても同じワードが入っていないと丸って言いづらいな、みたいな気持ちが出てきてしまう時もあると思うんですが?
長島:学校によって確かに温度感が多少ズレるのはあります。
ズレるのはありますが、全く綺麗に同じ言葉を使っていなかったとしても、意味合いとして同じ事であればいいと思います。ついでに言うとこれは笑われたというのが文章中にもありました。
なので、そう書いてくれていると思います。
文章中にもあるし、趣旨としても同じだし、点数をあげるよ、という事で宜しいと思います。


牛は木に登って眠っている。これはこの秘密の事です。
背景の分で3点もらったという事でOKです。
ちょっとここでもしかしたら保護者様気になるかもしれませんが、
別に国語の回答は2文に分けてもらっても構いません。途中で丸が入ってもOKです。
長々と一文でまとめようとした結果、変な日本語になってしまう事もあります。
なので、2文に分けてもらってOKです。
デメリットとしては、字数がそれだけかさんでしまうというのがあります。
なので、なるべく短くしたいのであれば1文でまとめる練習も必要ですが、そうでない限り2文に分けてもらって結構です。ここで減点されるという事はありません。
そのあと、そのことを狸が馬鹿にしてきたので、これいいですね。
出来事の、狸に馬鹿にされた、の3点ゲットです。
最後、怒っているという気持ち。これは気持ちがズレちゃいましたね。
ここの4点分はもらえなかったので、6点ゲットという事でお願いします。
夏井:なるほど。一文で書くという必要性は本当にないんですね。
長島:今申した通り、字数です。
正直、今回ぎりぎりであまりましたけど、45字くらいだったら、多分2文に分けたら1要素逃しちゃう可能性もある気がします。なので、ざっくりした目安で80字超えてきたら2文に分けても要素を逃す事はないかな、というのが講師サイドの印象です。

木に登って眠るのは秘密だったのに、背景です。3点ゲットです。
それを狸に知られ、馬鹿にされたため、出来事です。3点です。
気が滅入っている。これは完璧です。
10点でバッチリです。良く出来ました。
夏井:これが模範解答ですか?
長島:そうですね。ちょっと八百長の香りがしましたが、私が作った答えです(笑)
夏井:要は完全に一致してなくてもいいよね、という話だったり意外と融通が利く部分はある程度
あるという所ですか?
長島:実は結構記述も、学校が発表している模範解答を見たり書籍の中で学校の先生と対談したりしましたが、なんとか点数あげたいなと思って下さっていると思います。
なので、趣旨を捉えていれば点数をくれると思ってもらって良いと思います。
あとは、ここで点数をもらっていいのかな?というのはお子様でも若干判断に迷うから、
塾に聞くだとか大人に聞くだとかはしてもいいと思います。
なので、生徒さんも主張しているのであれば、生徒さんに対して言いたいのは。採点の丸だけ、だけはやめて下さい。
点数を付ける時に、ここの部分あるように思うんだけど、付けていいかな?という質問はOKです。
その質問を出来る子はむしろレベルが高いと思います。
だから逆にそういう事言えるくらい、もうここはばっちり点数をもらえてるよね、という所は自分で判断出来るようになりましょう。いきなりやれっていうのが難しいのは分かります。
なので、今日から始めて頂いて、やっている中で見えてくる事もありますから是非自分で採点してみて下さい。
夏井:丸なりで質問って、やっぱりどの科目でもダメなんですね。
長島:他教科はダメですか?
夏井:ダメですね。これが分からないっていうのが、ちゃんとどこまで分かっているかという事を
説明出来る方が当然いいに決まっているというのは同じだろうなと思います。
長島:本質的には同じですね。

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