国語の随筆文 完全ガイド──「随筆文とは?」から入試の解き方まで【中学受験】
「随筆文が出ると途端に解き方が分からなくなる」「説明文とも物語文とも違う気がして不安になる」──そんな声を受験生からよく耳にします。
しかし実は、随筆文だからといって特別なテクニックが必要になるわけではありません。ポイントは、「随筆文」というラベルに振り回されず、説明文的か物語文的かを見極めて、いつも通りの手順で解くことです。
このページでは、代表・長島のインタビュー内容をもとに、随筆文の基本理解から、設問ごとの具体的な解き方までを「導入 → 原因 → 対処 → まとめ」の流れで整理して解説します。
動画で学ぶ:随筆文の解き方
まずは動画で全体像をつかみ、その後で本文の解説を読むことで、理解がより一層深まります。
随筆文とは何か?まずは基本の整理から
随筆文の一般的な定義
「筆者が自分の体験に基づいて文章を書いているもの」
一般的には、随筆文とはこのように定義されます。筆者自身の体験・見聞をもとに考えたことや感じたことを綴った文章、というイメージです。
受験生は「随筆文」というラベルを気にしなくてよい
とはいえ、代表・長島は受験生にはあえてこう伝えています。
「随筆文というジャンルを気にしなくていい」
その理由は、随筆文には大きく分けて次の2パターンがあるからです。
- 体験を根拠に何か主張している → 説明文的な随筆文
- 体験を物語のように描き、気持ちを述べている → 物語的な随筆文
つまり、
- 説明文的な内容なら、説明文の手法で読む
- 物語的な内容なら、物語文の手法で読む
というだけのことです。
「随筆文というジャンル自体を意識する必要はありません。」
「随筆文だから特別な読み方が必要」と構えてしまうと、かえって普段通りの力が出しにくくなります。まずは、説明文寄りか?物語文寄りか?という視点で見ていくことが大切です。

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なぜ随筆文が「やりにくく」感じられるのか
多くの受験生が随筆文を苦手に感じるのは、次のような理由が重なっているからです。
- 「説明文」とも「物語文」とも少し違うように見える
- ジャンル名だけを見て、特別な読み方が必要だと勘違いしてしまう
- 設問によって、説明文的な問いと物語文的な問いが混在することがある
しかし、代表・長島によれば、
「説明文的か?物語文的か?だけを判断すれば十分です。ジャンルを気にする必要はまったくありません。」
つまり、随筆文の「やりにくさ」は、ジャンル名に振り回されているだけのケースがほとんどなのです。
随筆文の実践的な読み方・解き方のポイント
① まずは「説明文寄り」か「物語文寄り」かを大づかみに把握
文章全体を読んだときに、次のどちらに近いかをざっくりと判断します。
- 説明文的な随筆文
└ 体験を例にしながら、何かの考え・主張を述べているタイプ - 物語的な随筆文
└ 自分の体験を「物語」のように描写し、気持ちや心の変化を述べているタイプ
ただし、文章を読む段階で「これは説明文型」と決めつけすぎる必要はありません。
「文章を読む段階ではあまり決めつけず、設問に入った段階で『説明文的?物語文的?』と切り替えるのが良いと思います。」
大事なのは、「文章全体」と「設問一つひとつ」の両方で判断するという姿勢です。
② 混在タイプの場合は「問題ごと」に判断する
実際の入試問題では、
- 説明文的なパートと物語的なパートが、はっきり分かれているものがほとんど
- 同じ文章の中に両方が混在するケースは、長島の経験上ほとんどない
とされています(教材レベルで、例外的にそうした文章があることはある)。
もし説明文的・物語文的なパートが混在していると感じたときは、
- 説明文っぽい設問 → 説明文の手法で解く
- 気持ちを問う設問 → 物語文の手法で解く
というように、問題ごとに見極めて解き方を切り替えます。
「結局、問題ごとに判断するということです。」
③ 「説明文的な設問」の見分け方
説明文的なアプローチを求めている問題は、設問文の言い回しからある程度判別できます。
- 「理由を述べなさい。」
- 「傍線部はどういうことですか。」
これらは、説明文でよく見る形式の設問です。ただし注意したいのは、
- 「理由を聞かれている=必ず説明文的」というわけではない
という点です。
物語文では、
- 「気持ち」が理由になるケースが非常に多い
ため、同じ「理由を答えなさい」という形式でも、
- 説明文的に「理屈・内容」を書かせたいのか
- 物語文的に「気持ち」を理由として書かせたいのか
を、本文や前後の流れを見ながら判断していく必要があります。
「解き進めながら判断していくのが現実的です。」
④ 「物語文的な設問」=気持ちを問う問題の基本
一方で、物語文的な解き方が必要になる代表的な設問が、
- 「気持ちを問う設問」
です。これは随筆文でも頻出です。
物語文(+物語的随筆文)の気持ち読み取りの肝は、次の一点に尽きます。
「傍線の理由を徹底的に追うこと。」
よく「背景」と「出来事」をそろえると言われますが、具体的には次のようなイメージです。
- 背景 … 志望校に合格した
- 出来事 … 泣いた(=多くの場合、傍線部)
- → 気持ち … 「うれしい」
ここから分かるように、
- 背景 = 出来事の理由
- 出来事 = 多くの場合、設問で聞かれている「傍線部」
という関係になっています。
「理由を追いかければ、気持ちは自然と見えてくる」
気持ちそのものの言葉を先に探そうとするのではなく、
- なぜその行動(傍線部)をとったのか
- その前にどんな出来事や状況(背景)があったのか
といった「理由」の方を丁寧に追いかけていくことが、気持ち問題攻略の近道です。

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まとめ:随筆文は「説明文か物語文か」を見極めれば怖くない
最後に、本ページの内容を整理しておきましょう。
- 随筆文は「筆者が自分の体験に基づいて書いた文章」だが、受験生はジャンル名を気にしなくてよい。
- 随筆文には、
- 体験を根拠に主張する説明文的な随筆文
- 体験を物語のように描き気持ちを述べる物語的な随筆文
の2タイプがある。
- 基本方針は、説明文なら説明文の手法、物語文なら物語文の手法で読むこと。
- 混在していそうなときは、問題ごとに「説明文的/物語文的」を判断して解き方を切り替える。
- 説明文的な設問のサイン例:
- 「理由を述べなさい」
- 「傍線部はどういうことですか」
ただし、「理由=必ず説明文」とは限らない点に注意。
- 物語文的な設問では、気持ちを問う問題が代表的。
→ 傍線部という「出来事」の理由(背景)を徹底的に追うことで、気持ちが見えてくる。 - 「随筆文」と書かれていても構えずに、設問に入った段階で『説明文的?物語文的?』と切り替えることができれば十分。
随筆文だからといって特別な構えは不要です。ふだん学んでいる説明文・物語文の読み方を、そのまま状況に応じて使い分けるだけだと捉えておきましょう。



