随筆文とは何か|意味・違い・解き方を中学受験向けに確認
随筆とは簡単にいうと、筆者が体験や見聞をきっかけに、感じたことや考えたことを書いた文章です。出来事そのものを伝えるだけでなく、その出来事を筆者がどのように受け止めたかに重点があります。
中学受験では、随筆文だけの特別な解き方を覚えるより、文章や設問に応じて、説明文の読み方と物語文の読み方を使い分けることが大切です。
この記事では、随筆文の意味、説明文・物語文との違い、中学受験での読み方、理由問題や気持ち問題の考え方を、短い文章例とあわせて整理します。読み終えた後に、理由問題、心情読解、記述答案、過去問演習のどこを確認すればよいかも分かるようにしています。
この記事の要点
- 随筆文では、体験や見聞と、そこから生まれた考えや気持ちのつながりを読みます。
- 説明文のように意見が中心になる部分と、物語文のように場面や心情が中心になる部分があります。
- 文章全体を無理に分類せず、設問が何を問うているかに合わせて根拠を探します。
- 気持ち問題では、感情語だけでなく、その気持ちが生まれた理由や状況まで確認します。
- 理由は分かるのに答案が浅くなる場合は、記述の書き方や部分点の見方まで確認すると復習しやすくなります。
随筆とは?中学生にもわかる簡単な意味
冒頭で示した随筆の意味を、題材や文章の組み立てから、もう少し具体的に見ていきましょう。
随筆で扱われる題材
随筆の題材は、特別な出来事に限られません。日常生活で起きた小さな出来事、家族や友人とのやり取り、自然や季節、本を読んで気づいたこと、社会に対して考えたことなど、さまざまなものが扱われます。
随筆文で大切なのは、「何が起きたか」だけでなく、「筆者がその出来事から何を感じ、何を考えたか」を読むことです。
たとえば、雨の日に傘を忘れたという出来事が書かれていても、随筆の中心が傘を忘れた事実とは限りません。その経験を通して、筆者が人の親切について考えたり、自分の準備不足に気づいたりした部分が、文章の中心になることがあります。
描写・心情・意見が一つの文章に含まれる
随筆文では、物語文のように場面を詳しく描くこともあれば、説明文のように考えや意見を述べることもあります。一つの文章の中に、体験、場面描写、心情の変化、筆者の意見が含まれる場合もあります。
そのため、「随筆文は必ず説明文と物語文の中間にある」「随筆文は二種類に分けられる」と厳密に考える必要はありません。
中学受験で「説明文寄り」「物語文寄り」と考えるのは、随筆そのものを分類するためではなく、問題を解くときに、どちらの読み方を強く使うかを判断するためです。
随筆文・説明文・物語文の違い
三つの文章を比較する表
随筆文、説明文、物語文には、それぞれ次のような傾向があります。ただし、実際の文章では複数の特徴が重なることがあります。
※画面幅が狭い場合は、表を横に動かしてご覧ください。
| 比較する項目 | 随筆文 | 説明文 | 物語文 |
|---|---|---|---|
| 文章の中心 | 体験や見聞を通して生まれた、筆者の感じ方や考え | 事実、仕組み、理由、筆者の主張 | 人物、出来事、場面や心情の変化 |
| 体験や出来事の役割 | 考えや気持ちが生まれるきっかけになる | 主張や説明を支える具体例になる | 話を進め、人物の関係や心情を変化させる |
| 伝えたいこと | 体験に対する筆者なりの受け止め方や気づき | 物事の内容、理由、仕組み、意見 | 人物の生き方、関係、心情や作品の主題 |
| 時間の流れ | 体験を振り返るために使われることがある | 必ずしも重要ではなく、話題や論理の流れを重視する | 出来事や場面の変化を追うために重要になる |
| 心情描写 | 含まれることが多いが、意見が中心の場合もある | 通常は中心になりにくい | 行動、会話、情景などを通して示される |
| 根拠を探す場所 | 体験の前後、考えが変化した箇所、文章末尾のまとめ | 接続語、言い換え、具体例、理由と結論の関係 | 出来事の前後、行動、会話、情景、人物関係 |
| 出やすい設問 | 体験の意味、考えの変化、行動理由、心情、筆者の考え | 理由、指示語、言い換え、要旨、筆者の主張 | 心情、行動理由、人物像、場面変化、表現の効果 |
比較表を読んだ後の確認ポイント
随筆文でつまずく場所は、文章の特徴によって変わります。説明文寄りの随筆で理由や言い換えが苦手な場合は、説明文の読み方を確認すると整理しやすくなります。物語文寄りの随筆で心情や行動理由を外しやすい場合は、出来事の前後や人物の受け止め方を確認する練習が必要です。
- 理由・言い換えが苦手な場合:説明文の読み方
- 答案にまとめるのが苦手な場合:国語記述の書き方
- 心情や選択肢で判断しにくい場合:物語文の選択肢の考え方
随筆文が説明文のように見える場合
筆者の体験が、考えや主張を伝えるための具体例として使われている場合は、説明文の読み方が役立ちます。
- 体験の後に「このことから私は」「つまり」「大切なのは」などの考えが述べられている
- 複数の体験や具体例が、一つの主張を支えている
- 文章末尾で、体験から得た教訓や社会への意見がまとめられている
このような文章では、体験の細かな順序だけでなく、体験がどの考えを支えているかを確認します。
随筆文が物語文のように見える場合
人物とのやり取りや場面の変化が詳しく描かれ、その前後で筆者の気持ちが変わっている場合は、物語文の読み方が役立ちます。
- 会話や行動が具体的に書かれている
- ある出来事をきっかけに、筆者の見方や気持ちが変化している
- 情景や物の描写が、筆者の心情と結びついている
このような文章では、感情を表す言葉だけを探すのではなく、その気持ちが生まれた出来事や背景を読み取ります。
中学受験における随筆文の読み方・解き方
1.体験と考え・心情を分けて読む
まず、本文のどこに体験や出来事が書かれ、どこから筆者の考えや心情が述べられているかを確認します。
- 体験・出来事:何が起きたのか
- 考え・心情:筆者はどう受け止めたのか
- つながり:なぜその考えや気持ちになったのか
随筆文では、この三つを結びつけることが重要です。体験だけをまとめても、筆者の考えだけを抜き出しても、十分な答案にならないことがあります。
2.文章全体を最初から一種類に決めつけない
文章の前半では場面や心情が描かれ、後半では、その体験から得た考えが説明されることがあります。読み始めた段階の印象だけで、文章全体の読み方を決めつけないことが大切です。
文章を一つの種類に決めつけるのではなく、設問が意見・理由を聞いているのか、行動・心情を聞いているのかを確かめて、読む箇所を変えます。
3.理由問題は傍線部の内容を確認してから解く
「理由を述べなさい」という設問であっても、必ず説明文の読み方だけを使うとは限りません。
先に、傍線部が何を表しているかを確認します。
- 筆者の意見や判断が傍線部になっている場合
→ その意見を支える体験、具体例、前後の説明を探す - 筆者の行動や発言が傍線部になっている場合
→ その直前の出来事、相手との関係、筆者の気持ちを探す - 気持ちを表す表現が傍線部になっている場合
→ その気持ちが生まれた背景ときっかけを探す
「理由」「つまりどういうことか」を問われる問題が苦手な場合は、説明文の理由・線引き・言い換えの読み方を確認すると、随筆文にも応用しやすくなります。
理由は分かるのに、答案が短くなる場合
随筆文では、理由の根拠を見つけても、「何がきっかけで、筆者がどう考えたのか」まで書けず、答案が浅くなることがあります。その場合は、本文の言葉を使ってどのように記述へまとめるかを確認すると復習しやすくなります。
記述答案の基本を確認したい場合は、国語記述の書き方をご覧ください。
4.気持ち問題は「背景・出来事・気持ち」で整理する
気持ちを問われたときは、感情を表す言葉だけを探すのではなく、次の順で整理します。
- 背景:その人物が置かれていた状況
- 出来事:気持ちが動くきっかけになったこと
- 気持ち:その出来事をどのように受け止めたか
「うれしい」「悲しい」「悔しい」だけでは、本文に即した答案にならないことがあります。誰のどのような行動や言葉によって、その気持ちが生まれたのかまで含めることが大切です。
心情や行動理由で判断しにくい場合
随筆文の中でも、人物とのやり取りや場面の変化が中心になる部分では、物語文に近い読み方が必要になります。気持ちの言葉だけで判断せず、出来事の前後、相手との関係、行動に表れた心情を確認します。
- 選択肢で二択まで絞って外しやすい場合:物語文の選択肢の考え方
- 記述答案に必要な内容が足りない場合:記述答案の原因別改善法
動画で学ぶ:随筆文の解き方
動画では、随筆文の内容と設問に応じて、説明文と物語文の読み方を使い分ける考え方を確認できます。先にここまでの定義と違いを読んでおくと、内容を整理しやすくなります。
動画を再生しない場合も、このページ内の比較表、読み方、文章例で基本事項を確認できます。
動画で考え方を確認した後は、実際の問題で「傍線部が意見なのか、行動なのか、心情なのか」を分けて見る練習をすると、随筆文の解き方を使いやすくなります。入試問題での練習の進め方を確認したい場合は、国語の過去問演習の回し方も参考になります。
短い随筆文の例で読み方を確認
以下は、読み方を確認するための短い作例です。実際の入試問題では文章が長くなりますが、体験と考え・心情の関係は同じように整理できます。
例1:体験から意見へ進む随筆文
文章例
発表の日、私は練習してきた言葉を途中で忘れ、急いで席へ戻った。家に帰ってノートを開くと、何度も書き直した跡が残っていた。失敗したからといって、準備まで無駄になったわけではない。失敗は、次に何を直せばよいかを教えてくれる目印なのだと思った。
設問例:「失敗は、次に何を直せばよいかを教えてくれる目印」とありますが、どういうことですか。
- 体験にあたる部分:発表の途中で言葉を忘れ、席へ戻ったこと
- 考えにあたる部分:失敗しても準備が無駄になるわけではなく、改善点を知ることができるという考え
- 使う読み方:体験が筆者の考えを支える材料になっているため、意見と具体例のつながりを確認する
- 根拠にする箇所:「準備まで無駄になったわけではない」と「次に何を直せばよいか」の部分
答案に含めたい内容:失敗しても、それまでの準備が無駄になるのではなく、改善すべき点を知り、次の行動へ生かせるということ。
この例では、発表に失敗したときの気持ちを答えるのではなく、筆者が失敗をどのように捉え直したかをまとめます。
例2:出来事から心情が変化する随筆文
文章例
久しぶりに祖父の家を訪れると、柱には幼いころにつけた小さな傷が残っていた。以前なら、それを見て懐かしく思うだけだった。しかし、その家が翌月に取り壊されると聞き、私は黙って傷を指でなぞった。思い出に再び出会えたうれしさと、その場所にはもう会えなくなる寂しさが、胸の中で重なった。
設問例:筆者が「黙って傷を指でなぞった」のはなぜですか。
- 体験にあたる部分:祖父の家を訪れ、幼いころにつけた柱の傷を見つけたこと
- 心情にあたる部分:懐かしい思い出に出会えたうれしさと、家がなくなる寂しさ
- 使う読み方:出来事の前後を確認し、行動に表れた複数の気持ちを整理する
- 根拠にする箇所:柱の傷が幼いころの思い出につながっていることと、家が翌月に取り壊されること
答案に含めたい内容:幼いころの思い出が残る傷を懐かしく思う一方で、その家が間もなくなくなることを寂しく感じたから。
この例では、「寂しかったから」だけでは根拠が不足します。何を懐かしく思い、なぜ寂しくなったのかまで書くことで、本文に即した答案になります。
気持ちや理由を答案にまとめる段階で、どこまで書けば部分点につながるかを確認したい場合は、記述模試の自己採点方法と部分点の見方も参考になります。
答案を見直すときの確認ポイント
随筆文の記述では、気持ちや考えを一語で答えるだけでなく、その気持ちが生まれた背景や出来事まで入っているかを確認します。自分の答案と解答例を比べるときは、「根拠」「理由」「まとめ方」のどこが足りなかったのかを見ることが大切です。
- 記述の基本ルールを確認したい場合:国語記述の書き方
- 小6で過去問や模試の随筆文記述を確認したい場合:中学受験国語の記述添削
随筆文で間違えやすい考え方
理由問題をすべて説明文として解く
「なぜですか」と聞かれていても、傍線部が行動や発言であれば、その人物の心情が理由になることがあります。設問の言葉だけでなく、傍線部の内容を確認します。
気持ちを感情語だけで答える
「うれしい」「悲しい」「悔しい」だけでは、なぜその気持ちになったのかが伝わりません。本文に書かれた状況や出来事と組み合わせて答えます。
自分の経験や筆者の経歴から推測する
自分にも似た経験があったとしても、答案の根拠は問題文の中から探します。筆者について知っていることがあっても、本文に書かれていない情報だけで心情や意見を決めてはいけません。
一部の特徴だけで文章全体の読み方を決める
会話や場面描写がある文章でも、最終的には筆者の考えを述べるために体験が使われていることがあります。反対に、意見が書かれていても、設問では行動や心情の理由を問われる場合があります。文章全体の印象ではなく、傍線部と設問に必要な根拠を確認します。
随筆文についてよくある質問
随筆とは簡単にいうと何ですか
筆者が体験や見聞をきっかけに、感じたことや考えたことを書いた文章です。日常の出来事、自然、人物、本、社会への気づきなど、さまざまな題材が扱われます。
随筆文と物語文の違いは何ですか
物語文は、人物や出来事の展開を通して、心情や作品の主題を描く文章です。随筆文は、筆者の体験や見聞を通して、その人なりの感じ方や考えを伝えることが中心です。ただし、随筆文にも物語文のような場面描写や心情の変化が含まれることがあります。
随筆文と説明文の違いは何ですか
説明文は、事実、理由、具体例などを使って、物事の内容や筆者の主張を説明する文章です。随筆文では、筆者自身の体験や見聞が、考えや気持ちを伝えるための重要な材料になります。ただし、随筆文でも体験を具体例として意見を説明する場合があります。
随筆文はどこを読めば見分けられますか
体験の後に筆者の考えが述べられているか、場面と心情の変化が中心になっているか、文章の終わりに体験から得た気づきがまとめられているかを確認します。ただし、最初から厳密に分類するのではなく、設問に必要な根拠がどこにあるかを見ることが大切です。
理由を問われたら説明文の読み方を使えばよいですか
設問が「なぜですか」という形でも、必ず説明文的な問題とは限りません。傍線部が筆者の意見なら、その意見を支える説明や体験を探します。傍線部が行動や発言なら、その前後の出来事や心情を探します。
随筆文の気持ち問題では何を書けばよいですか
感情を表す言葉だけでなく、その気持ちが生まれた理由や状況を本文から探して含めます。「誰のどのような行動を受けて、どう感じたのか」という形で整理すると、答案にまとめやすくなります。
随筆文では筆者と語り手は同じですか
随筆文では、本文中の「私」が筆者自身の体験として書かれていることがあります。ただし、入試問題では筆者の経歴や本文外の情報だけで判断せず、問題文に書かれている内容を根拠に読みます。
解き方を読んでも随筆文の点数が安定しないときは何を確認すればよいですか
まず、間違えた問題が「理由」「心情」「言い換え」「記述」「選択肢」のどれにあたるかを分けます。理由や心情は分かっているのに点につながらない場合は、本文の根拠を答案に入れられているか、設問に合う形でまとめられているかを確認します。
記述答案で点につながらない状態が続く場合は、記述答案の原因別改善法を確認すると、家庭学習で見るべき点を整理しやすくなります。
まとめ:随筆文は体験と考え・心情のつながりを読む
随筆文を読むときは、出来事と、その出来事を受けて生まれた筆者の考えや気持ちを結びつけます。
- 体験や見聞が、どの考えや気持ちにつながっているかを確認する
- 意見を問う問題では、体験と主張の関係を見る
- 行動理由や気持ちを問う問題では、背景、出来事、心情の順に整理する
- 設問の形式だけで判断せず、傍線部が意見、行動、発言、心情のどれにあたるかを確認する
- 自分の経験ではなく、本文に書かれた内容を答案の根拠にする
随筆文だからと特別に構える必要はありません。本文のどこに体験があり、そこからどのような考えや心情が生まれたのかを丁寧に追いましょう。
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理由・言い換えの読み方を確認したい場合
随筆文の中で、筆者の考えや主張を問う問題が苦手な場合は、説明文の読み方を確認すると、理由と結論のつながりを整理しやすくなります。
説明文の理由・線引き・言い換えの読み方
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国語記述の書き方|本文の言葉で答える基本ルールと例文付き解説
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家庭で確認できる段階か、外から読み方や答案を見てもらう段階かを整理したい場合は、国語個別指導の判断材料ページをご覧ください。
随筆文だけでなく、説明文・物語文・記述を含めた国語全体の読み方や指導方針を確認したい場合は、国語専門塾オンラインの1対1個別指導案内で確認できます。
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「漢字学習の思考回路」「漢字学習のスピード感」を養いながら、知識の獲得と学習姿勢の構築を目指します。


