海城中学校・令和3(2021)年度の過去問解説
海城中学校・令和3年度 国語 厳選解説
このページでは、海城中学校・令和3年度入試の国語から、代表的な2問を取り上げて解説します。実際の問題文を題材に、
- 記述問題で「何を書けばよいか」を整理する考え方
- 選択問題で「どの選択肢を選べばよいか」を見極める手順
を確認していきます。海城中を志望している受験生はもちろん、記述力・読解力を鍛えたい中学受験生全般の参考になる内容です。
まずは、全体の流れや解説の雰囲気をつかむために、以下の解説動画もあわせてご覧ください。
海城中学校・令和3年度 厳選解説動画
海城中学校・令和3年度の入試より、厳選した問題とその解説をお届けします。
大問一・問十「僕が得た気づき」を説明する記述問題
設問のポイント
大問一・問十は、
「僕が得た気づきについて、二つの内容にふれながら説明せよ」
という記述問題です。ここで重要なのは、
- 「説明せよ」=傍線やキーワードとイコールの内容を書く
- 今回は「二つの内容」にふれる必要がある(=二要素構成)
という点です。

読解ラボ東京の『オンライン個別指導』:オンライン指導なら通塾時間は0分!
解き方の基本:イコールの内容を本文から探す
まず、「僕が得た気づき(X)」とイコールの内容を、本文から拾っていきます。
- 本文の一部
「わかってもらえるわけがない、どうして勝手にそう思いこんでいたんだろう」より【自分のことを分かってくれる人がいるはずないと決めつけていた】
- 本文の一部
「それから、明日~知ろうともしなかった。」より【周りのことを知らず、知ろうともしなかった】
この2つが、「僕が得た気づき」を構成する二つの要素になります。
答案のまとめ方
あとは、本文から拾った二つの要素を、ひとまとまりの文章として組み立てます。
【自分のことをわかってくれる人がいるはずがないと決めつけていて、さらに、人のことをよく知らず、知ろうともしなかったことに気づいた】
といった形で、
- ①「自分を分かってくれる人はいない」と決めつけていたこと
- ② 周りのことを知らず、知ろうともしなかったこと
という二要素をきちんと含めることが、この設問の最重要ポイントです。
この問題から学べること
- 「説明せよ」と言われたら、本文中からイコールの内容を探す。
- 「二つ」「三つ」など要素数が指定されている場合は、その数だけ本文から要素を抜き出し、漏れなくまとめる。
- 「気づき」「考え」など抽象的な言葉でも、本文の具体的な言い回しに必ず根拠がある。
大問二・問五「リーダー像」の変化を問う選択問題
設問のポイント
大問二・問五は、
傍線部について正しい内容を述べている選択肢を選ぶ問題
です。本文では、
- これまでは「強い」リーダーが発言力を高めてきた
- しかし、これからは別のタイプのリーダーが求められるのではないか
という流れで論が展開されています。
本文の要点整理:リーダー像の変化
傍線部の前後を丁寧に読むと、筆者の主張は次のようにまとめられます。
- これまで:自分の強さを前面に出し、人々を一方的に引っ張っていく「強いリーダー」が求められていた。
- これから:人々と深いところでつながることのできる「弱いリーダー」が求められつつある。
つまり、この問題で押さえるべきは、
- 「リーダー像がどう変化しているか」
- 「強いリーダー」の否定と、「弱いリーダー」の肯定
という二点です。
正しい選択肢の見つけ方
上の要点に対応している選択肢が正解になります。本文の内容と照らし合わせると、
ア:コロナ禍によって、リーダーにふさわしい人は、自分の強さを誇示して人々を一方的に引っ張る人ではなく、自分の心の中にある弱さを進んで見せることで社会の中に連帯を実現しようとする人になったということ
が、
- 従来の「強いリーダー」から
- 弱さを見せることで人々とつながる「弱いリーダー」へ
という本文の主張を最も的確に言い換えている選択肢であり、正解となります。
この問題から学べること
- 選択問題は、本文の要約・言い換えとして妥当かを判断する問題。
- 特に、「以前」と「今(これから)」の比較・変化を示す文章では、「前後の対比」を意識して読む。
- 傍線部だけでなく、その前後の文脈を押さえた上で選択肢を検討することが重要。
まとめ:海城中の記述・選択問題から学べる記述力アップのコツ
海城中学校・令和3年度の2問を通じて、入試国語で求められる力は、決して「センス」だけではないことが分かります。
今回のポイントの整理
- 「説明せよ」=本文中のイコールの内容を探して書く。
- 要素数(「二つ」「三つ」など)が指定されている場合は、その分だけ本文から要素を抜き出し、漏れなくまとめる。
- 選択問題では、本文の主張や変化(以前→今)を正しく要約している選択肢を選ぶ。
- 傍線部だけでなく、前後の文脈を読むことが、正しい判断につながる。
どちらの問題にも共通しているのは、
- 本文のどこに答えのヒントがあるかを探す
- それを言い換え・要約という形で答案に落とし込む
というプロセスです。
海城中を目指す受験生の方は、この「本文から根拠を拾って組み立てる」練習を、過去問演習や日々のテキスト学習の中で意識してみてください。記述問題・選択問題の両方で、安定して得点できるようになっていくはずです。
読解ラボ東京の『完全1対1の個別指導』:点数の安定は解き方の習得から始まります!



