国語文法はなぜ学ぶのか──中学受験・高校受験につながる意味と勉強法

国語文法とは、日本語の文がどのような決まりで成り立っているかを学ぶものです。文を文節や単語に分け、主語・述語・修飾語などの関係を捉えたり、品詞や活用、助詞・助動詞の働きを整理したりします。

学ぶ目的は、用語を暗記することだけではありません。誰が何をしたのか、どの言葉がどこにかかっているのかを確認し、文章を正確に読むためにも役立てます。

基本的な勉強の順番

  • 文の成分を確認し、主語と述語を対応させる
  • 文節・単語・品詞・活用の仕組みを例文で理解する
  • 読解や記述に戻り、文の構造を確かめながら使う

「国語の文法とは、何を勉強するものなのか」「入試で文法問題が少ないなら、学ぶ意味はあるのか」と疑問に感じるご家庭は少なくありません。

国語文法では、品詞や活用だけでなく、文の組み立てや言葉同士の関係を学びます。特に、主語と述語の対応や修飾語のかかり先を確認する力は、文章を正確に読むための基礎になります。

このページでは、読解ラボ東京代表・長島のインタビュー内容をもとに、国語文法の学習範囲、読解との関係、具体的な勉強の進め方を解説します。

動画で文法学習の考え方を確認したい方へ

動画では、入試における文法問題の扱い、主語と述語を学ぶ意味、国語が苦手な生徒が文法と漢字から始める考え方などを、インタビュー形式で紹介しています。この記事では、動画の内容に加えて、文法で学ぶ項目や具体的な問題例を補っています。

国語文法とは何か

国語文法とは、日本語の文や言葉が、どのような決まりで組み立てられているかを整理する学習です。

たとえば、次の短い文を考えます。

弟が公園で走っている。

この文を意味のまとまりから見ると、次のように整理できます。

  • 主語:弟が
  • 主語について述べる部分(述部):走っている
  • 動作が行われる場所を示す修飾語:公園で

「弟が」が、誰について述べているかを示す主語です。「走っている」は、その弟が何をしているかを述べる部分です。

述語は、文の中心となって、主語について「どうする・どんなだ・何だ」と述べます。複数の文節がまとまり、主語について述べる部分を作ることもあります。この記事では、そのまとまりを述部と呼びます。

なお、「走っている」は、文節に分けると「走って/いる」の二つになります。二つの文節の関係については、次の「国語文法では何を学ぶのか」で詳しく説明します。

主語と述語は、すべての文で「イコール」の関係になるわけではありません。

  • 「僕は先生です」では、「僕」と「先生」を同じものとして捉えられる
  • 「僕は走る」では、「僕」が「走る」という動作をする
  • 「花が美しい」では、「花」が「美しい」という状態である
  • 「雨が降った」では、「雨」について「降った」と述べている

「僕は先生です」のような名詞述語文では、主語と述語をイコールに近い関係として考えられます。しかし、一般的には、主語について、述語が動作・状態・性質・判断を述べる関係として捉えます。

国語文法では何を学ぶのか

国語文法では、まず文をいくつかの単位に分け、そのうえで言葉の役割や関係を確認します。

スマートフォンでは、表を横に動かしてご覧ください。

学ぶ項目 確認する内容
句点・疑問符・感嘆符などの文末記号までを一つのまとまりとして捉え、文全体の意味を確認する 弟が公園で走っている。
文節 文を意味のまとまりごとに区切る 弟が/公園で/走って/いる
単語 文節を、文法上の働きを持つ言葉に分ける 弟/が/公園/で/走っ/て/いる
文の成分 文節や文節のまとまりが、文の中でどのような役割を果たしているかを確認する 主語「弟が」、修飾語「公園で」、述部「走っている」
品詞 単語を、働きや形の変化によって分類する 名詞、動詞、形容詞、助詞など
活用 動詞・形容詞・形容動詞・助動詞などの形の変化を確認する 書かない、書きます、書く、書けば

文、文節、単語の関係

文法を学ぶときは、文をいきなり品詞へ分けるのではなく、まず文節、その後に単語という順番で小さく分けます。

私は/昨日/図書館で/本を/読んだ。

これは5つの文節に分けられます。さらに「私は」という文節は、「私」と「は」という2つの単語に分けられます。

  • :文末記号までを一つのまとまりとして捉える
  • 文節:文を意味のまとまりごとに区切る
  • 単語:文節を、文法上の働きを持つ言葉に分ける

文節を見つけるときは、区切りたい箇所に「ね」を入れて読んでみる方法があります。

私はね/昨日ね/図書館でね/本をね/読んだ。

「ね」を入れても文の意味が不自然にならない箇所が、文節の区切りの目安になります。ただし、この方法だけで判断しにくい文もあるため、補助動詞などを扱うときは学校文法の規則も確認します。

たとえば「弟が公園で走っている」は、次の4文節です。

弟が/公園で/走って/いる

「走って」と「いる」は補助の関係にあります。後ろの「いる」が、前の「走って」に補助的な意味を加えています。

文節としては二つに分かれますが、「走っている」を一つのまとまりとして見ると、主語について動作を述べる述部として働きます。

  • 文節として分ける場合:走って/いる
  • 主語について述べる部分として見る場合:走っている

文の成分と品詞の違い

文の成分と品詞は、分類する観点が異なります。

文の成分は、文の中でどのような役割を果たしているかを表します。一方、品詞は、単語そのものがどのような性質を持つかを分類したものです。

たとえば、「弟が公園で走る」という文では、「弟が」は主語という文の成分です。その中の「弟」は名詞、「が」は助詞という品詞に分類されます。

品詞はどのような順番で分類するのか

品詞を見分けるときは、一つの特徴だけで判断せず、次の順番で考えます。

  1. 自立語か付属語か
    その単語だけで文節を作れるか、ほかの言葉に付いて働くかを確認します。
  2. 活用があるか
    文中での使われ方によって形が変わるかを確認します。
  3. 文中でどのような働きをするか
    主語になりやすいか、述語になりやすいか、ほかの言葉を修飾するかなどを確認します。

たとえば、名詞は自立語で活用がなく、主語になることがあります。動詞は自立語で活用があり、主に述語になります。助詞は付属語で活用がなく、ほかの言葉に付いて関係や意味を示します。

同じ形の言葉は文中の働きと意味で判断する

短い言葉は、同じ形に見えても、文中での使われ方によって品詞や意味が変わる場合があります。

  • 「学校へ行かない」の「ない」:打消しを表す助動詞
  • 「お金がない」の「ない」:存在しない状態を表す形容詞
  • 「雨が降るそうだ」:聞いた内容を伝える意味
  • 「雨が降りそうだ」:今にも起こりそうな様子を表す意味
  • 「明日は雨が降るらしい」:推定を表す意味
  • 「子どもらしい発想」:そのものにふさわしい性質を表す意味

「子どもらしい」の「らしい」は、「雨が降るらしい」のような推定とは異なる意味で使われています。ここでは意味の違いを確認し、詳しい品詞分類については、学校で使用している教科書や問題集の説明に沿って整理してください。

「ない」「そうだ」「らしい」などは、単語だけを見て決めず、前にどのような言葉があり、文全体でどのような意味を表しているかを確認します。

文法が読解・記述に役立つ理由

文法問題を解けることと、読解問題を解けることは同じではありません。ただし、主語・述語・修飾関係を確認できると、長い文の骨格を捉えやすくなります。

主語と述語が離れた文の骨格をつかむ

次の文を見てみましょう。

多くの失敗を重ねながら研究を続けてきた田中さんが、ついに新しい方法を発見した。

述語は「発見した」です。その主語は、すぐ前にある「方法を」ではなく、「田中さんが」です。

間に入っている説明をいったん外すと、文の骨格が見えます。

田中さんが、新しい方法を発見した。

長い文を読むときは、修飾部分を一時的に分け、主語と述語を対応させると、誰が何をしたのかを取り違えにくくなります。

省略された主語を前後から補う

日本語では、同じ人物について話が続くときに、主語が省略されることがあります。

美咲は図書館で資料を借りた。その後、家に帰って内容をまとめた。

二文目には主語が書かれていません。しかし、前の文とのつながりから、「家に帰って内容をまとめた」のは美咲だと考えられます。

省略された主語を確認するときは、次の点を見ます。

  • 前の文では誰について述べていたか
  • 話題となる人物や物が途中で変わっていないか
  • 主語を補っても文脈が自然につながるか

修飾語がどの言葉にかかるかを確認する

次の文は、修飾のかかり先によって二つの意味に読めます。

私は音楽を聴きながら勉強している友達に声をかけた。

  • 私が音楽を聴きながら、友達に声をかけた
  • 音楽を聴きながら勉強している友達に、私が声をかけた

修飾関係の曖昧さを見抜けると、本文を読むときだけでなく、自分で記述答案を書くときにも、読み手に誤解されにくい文を作れます。

選択肢問題で「誰の意見か」を確認する

次の短い本文を読みます。

佐藤さんは、便利な道具であっても、使い方を考えなければ生活を豊かにはできないと述べている。

本文に合う選択肢を考えてみましょう。

  • ア 便利な道具を使えば、必ず生活は豊かになる。
  • イ 便利な道具でも、使い方を考える必要がある。

本文の主語は「佐藤さんは」、中心となる述語は「述べている」です。その内容と一致するのはイです。

選択肢問題では、「誰について述べているか」と「その人物が何を述べているか」を本文と照合します。

文法問題が少ない入試でも学ぶ意味はあるのか

インタビューでは、長島が近年の入試について次のように述べています。

「確かに、文法問題はほとんど出ません。ここ数年で特に減った印象があります。」

これは指導経験に基づく見解であり、文法問題の出題数や形式は、学校・年度・入試方式によって異なります。そのため、すべての入試で一律に文法問題が減っていると断定することはできません。

ただし、文法が独立した大問として出題されない場合でも、文の構造を捉える力は読解や記述で使います。

  • 傍線部の主語が数行前にある
  • 段落の途中で、筆者の意見と具体例が切り替わる
  • 指示語が何を指しているかを、前の文から確認する
  • 記述答案で、問われた条件と述語を対応させる

文法を学べば必ず得点が上がるとは限りませんが、主語・述語・修飾関係を確認する習慣は、複雑な文を正確に読むための支えになります。

中学入試で文法を学ぶ必要性について、入試との関係を中心に確認したい場合は、中学入試に国語文法は必要なのか?も参考にできます。

国語文法の勉強の進め方

中学の国語文法を何から勉強すればよいか判断しにくいときは、文の骨格、言葉の仕組み、読解への応用という順番で進めます。

スマートフォンでは、表を横に動かしてご覧ください。

ステップ 取り組む内容 取り組み方の例
1 短文で主語・述語・修飾語を確認する 一度に数問ずつ、文の骨格を線で結ぶ
2 文節・単語・品詞・活用を例文で整理する 解説を読んだ後、短い確認問題を解く
3 読解や記述で、文法事項を使って確認する 主語、述語、条件、因果関係を本文と答案で照合する

取り組む時間や回数は、学年、理解度、受験までの期間によって変わります。毎日または毎週の回数を一律に決めるより、短い文で正確に確認できるようになってから、長い文へ進むことが大切です。

ステップ1 短い文で主語と述語を対応させる

最初は、教科書に出てくるような短い文で十分です。

  • 主語はどれか
  • 述語はどれか
  • 主語について、述語が何を述べているか
  • 修飾語は、どの言葉を詳しく説明しているか

主語と述語を見つけた後は、文を短くして骨格だけを読みます。

放課後まで校庭で練習を続けていた生徒たちが、教室へ戻った。

この文の骨格は、「生徒たちが戻った」です。

ステップ2 品詞や活用は例文と確認問題で学ぶ

品詞や活用は、表だけを眺めて覚えようとすると、実際の文で見分けにくいことがあります。例文を読み、形や働きを確認した後に、短い問題で点検します。

たとえば、「だ」で終わるように見える言葉でも、次の二つは異なります。

  • 「学校だ」:名詞「学校」に助動詞「だ」が付いた形
  • 「きれいだ」:形容動詞「きれいだ」の終止形

「きれいな花」とは言えますが、「学校な花」とは言えません。このように、実際に形を変えながら確認すると、違いを理解しやすくなります。

ステップ3 読解と記述に戻して使う

文法事項を学んだ後は、文章問題の中で使います。

  • 本文の主語と述語を確認する
  • 選択肢が、本文と同じ人物や内容について述べているかを確認する
  • 記述答案で主語が抜けていないかを確認する
  • 設問の条件と、答案の述語が対応しているかを確認する

国語が苦手な場合は文法と漢字を入口にする

インタビューでは、長島が次のように述べています。

「苦手な人はとりあえず文法と漢字から始めよう」

文法や漢字は、読解問題に比べると、学習範囲や正誤が分かりやすい場合があります。そのため、指導の中では、国語に苦手意識がある生徒の入口として扱うことがあります。

ただし、文法や漢字の得点の出やすさは、教材、テスト形式、本人の理解度によって異なります。まず短い確認問題を使い、「前より分かるようになった」と実感できる範囲から進めることが大切です。

国語文法を短期で整理したい方へ
文法用語の暗記だけでなく、読解で使うところまでつなげて確認します。
主語・述語、修飾関係、品詞、活用をばらばらに覚えている場合は、文の骨格から順番に整理し直す方法があります。

中学生がつまずきやすい文法項目

品詞と文の成分を混同する

「主語」「述語」と「名詞」「動詞」は、分類の基準が異なります。

  • 主語・述語:文の中での役割を表す
  • 名詞・動詞:単語の種類を表す

たとえば、「鳥が飛ぶ」の「鳥が」は主語です。その中の「鳥」は名詞、「が」は助詞です。「飛ぶ」は述語であり、品詞としては動詞です。

動詞の活用を表だけで覚えようとする

活用とは、文の中での使われ方に応じて言葉の形が変わることです。

動詞「書く」には、たとえば次のような変化があります。

  • 書かない
  • 書きます
  • 書く
  • 書けば
  • 書こう

これは、動詞「書く」の代表的な変化を示したもので、六つの活用形をすべて並べた一覧ではありません。

学校文法では、動詞の活用形を未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形・命令形に分けます。最初から名称だけを暗記するのではなく、「書かない」「書きます」のように後ろの言葉と組み合わせ、どの部分が変わるかを確認すると理解しやすくなります。

形容詞と形容動詞を語尾だけで判断する

形容詞と形容動詞は、意味だけでなく、形の変化から見分けます。

  • 形容詞:美しい、美しくない、美しかった
  • 形容動詞:静かだ、静かではない、静かだった

一つの形だけを見て判断するのではなく、否定や過去の形に変えて確認することが大切です。

助詞や助動詞を軽く扱ってしまう

助詞や助動詞は短いため見落としやすいものの、文の意味を細かく決めています。

たとえば、「私は行く」と「私も行く」では、「は」と「も」によって意味が変わります。また、「行く」「行かない」「行くだろう」では、後ろに付く言葉によって肯定・否定・推量の違いが生まれます。

文法は英語・古典・他教科にも関係する

国語文法を整理すると、国語以外の学習内容を理解するときにも役立つ場合があります。言語の構造や、問題文の条件を確認するという点が共通しているためです。

  • 古典:現代語の品詞や活用を理解していると、文語文法との違いを比較しやすくなります。
  • 英語:名詞・動詞・形容詞などの品詞や、主語と述語の関係を日本語で理解していると、英文法の説明を整理しやすくなります。
  • 理科・社会・数学:問題文の主語、条件、因果関係を確認することは、何を問われているかを捉える助けになります。

ただし、国語文法を学ぶだけで、他教科の成績が直接上がるとは限りません。それぞれの教科内容を学ぶことに加えて、問題文を正確に読む場面で文法的な見方を使うことが重要です。

感覚だけで読まず、文の構造を確認する

日本語は日常的に使っているため、文の構造を意識しなくても意味を取れることがあります。

一方、入試問題の文章では、一文が長かったり、抽象的な言葉が続いたりする場合があります。そのようなときは、主語、述語、修飾関係、接続語を確認することが有効です。

長島も、文法について「仕組みが分かると気持ちがいい」という趣旨の話をしています。文法は、言葉を根拠に基づいて説明するための道具の一つです。

国語文法についてよくある質問

文法とは簡単にいうと何ですか

文や言葉を組み立てる決まりのことです。国語文法では、文節、文の成分、品詞、活用などを学びます。

国語文法では何を勉強しますか

文、文節、単語、文の成分、品詞、活用、助詞・助動詞などを勉強します。

国語文法は何から勉強すればよいですか

まず短い文で主語・述語・修飾語を確認します。その後、文節と単語、品詞、活用へ進み、最後に読解問題で使います。

品詞と文の成分は何が違いますか

文の成分は文中での役割、品詞は単語そのものの種類を表します。

文法問題が少ない入試でも勉強する必要がありますか

出題形式は学校や年度によって異なります。独立した文法問題が少ない場合でも、文の構造を確認する力は読解や記述で使います。

文法を勉強すると読解力は上がりますか

文法事項を覚えるだけでは十分ではありません。実際の文章で主語・述語・修飾関係を確認する練習が必要です。

主語が省略されている文はどう見分けますか

前の文で誰について述べていたか、途中で話題が変わっていないかを確認します。

品詞や活用を覚えても読解に使えない場合はどうすればよいですか

短い文章から主語、述語、修飾語を探し、本文と選択肢が同じ内容を述べているか確認します。

中学受験と高校受験では学ぶ文法に違いがありますか

扱う範囲や深さ、出題形式は学校や教材によって異なります。志望校の過去問や学習範囲を確認する必要があります。

まとめ|国語文法は文の仕組みを理解する学び

国語文法とは、文や言葉がどのような決まりで成り立っているかを学ぶものです。

主な学習内容は、文・文節・単語、主語や述語などの文の成分、品詞、活用、助詞・助動詞です。

勉強するときは、次の順番で進めます。

  1. 短い文で主語・述語・修飾語を確認する
  2. 文節・単語・品詞・活用を例文で整理する
  3. 読解や記述の中で文の構造を確認する

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