国語文法はなぜ学ぶのか──中学受験・高校受験につながる意味と勉強法
「中学受験では文法問題があまり出ないのに、本気で勉強する意味はあるのだろうか?」──そんな疑問を持つご家庭は少なくありません。
確かに、近年の入試問題では、いわゆる「文法そのもの」を問う設問は減少傾向にあります。しかし、だからといって文法の学習が不要になるわけではありません。むしろ主語と述語をはじめとする文法の理解は、文章を正しく読み・書き・考えるための土台として、今もなお大きな役割を果たしています。
このページでは、読解ラボ東京代表・長島のインタビュー内容をもとに、
- 中学受験における文法学習の意義
- 「主語と述語」がなぜ重要なのか
- 文法が古典・英語・他教科にまで役立つ理由
- 国語が苦手な子が文法からスタートするメリット
を、導入 → 原因 → 対処 → まとめの流れで整理して解説します。
動画で解説:中学受験で文法を学習する意義
中学受験で文法問題はどのくらい出るのか
まず前提として、現在の中学入試では、いわゆる「文法そのもの」を正面から問う問題は多くありません。長島も次のように述べています。
「確かに、文法問題はほとんど出ません。ここ数年で特に減った印象があります。」
そのため、
- 「文法を勉強する意味はどれくらいあるのか?」
と感じる保護者・受験生がいるのも自然なことです。
しかし、文法の出題が少ない=文法が不要、というわけではありません。特に、
- 主語と述語を正しく見抜けるかどうか
は、長文読解において非常に重要な役割を果たします。
主語と述語がつくる「読むための土台」
日本語では主語と述語は「イコール」の関係
日本語の文では、主語と述語は基本的にイコールの関係にあります。
例えば、
「僕は優しい先生です。」
という文は、
- 「僕」=「優しい先生」
というイコール関係で捉えることができます。
入試問題の本文では、この主語と述語が離れて登場することがよくあります。特に、
- 述語だけが傍線部にあり、主語は2行ほど前に出ている
- 主語を取り違えると、筆者の主張の方向性がズレてしまう
といったパターンは珍しくありません。
主語と述語がイコールだと理解できるからこそ、正しく解答にたどり着ける──こうした場面が実際に多くあります。
つまり、
- どこが主語で、どこが述語なのか
- その二つが何をイコールで結びつけているのか
を意識することが、長文読解の土台になっているのです。

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文法学習が生む「前向きさ」と「論理力」
チェックテストで「点数」が自信とやる気になる
文法は入試本番での直接的な出題は少ない一方で、塾のカリキュラムでは「チェックテスト」という形で出題されることが多くあります。
長島は、高校の小論文授業でのエピソードを挙げています。
「あまり勉強が得意ではない女の子が、話をちゃんと聞いてくれて、なんとか7点(10点満点)を取りました。すると『7点ももらえるんですか?』と言って、そのあとものすごい頑張って勉強するようになったんです。」
このエピソードからもわかる通り、
- 文法のテストは「点数として成果が見えやすい」
- その点数が前向きな姿勢や学習意欲につながる
という大きなメリットがあります。
せっかく点数をもらえるチャンスがあるなら、
- しっかり勉強して「できた」という実感をもつ
ことが、その後の国語学習全体への良いきっかけになるはずです。
文法は「論理パズル」としても面白い
文法は、感覚だけでなく論理的に言葉の仕組みを説明するための道具でもあります。
たとえば、
- 「学校だ」
- 「綺麗だ」
という2つの表現は、どちらも「〜だ」で終わっていますが、文法的にはまったく別物です。
- 「学校だ」… 名詞「学校」に「だ」がついた形
- 「綺麗だ」… 「綺麗だ」という一つの形容動詞
その違いは、
- 「綺麗な」と活用できるが、「学校な」とは言えない
という点から説明できます。こうした「仕組みの違い」を論理的に説明できること自体が、文法の面白さと言えるでしょう。
「論理的に考えて仕組みが分かると、多分気持ちがいいです。それが勉強の醍醐味だと思います。」
日本語は母語なので、細かく意識しなくても「なんとなく」理解できてしまいます。しかし、あえて文法の視点から構造を見直すことで、
- 文章をより深く・正確に読む力
- 自分の表現を客観視する力
が養われていきます。
国語が苦手な子は「文法+漢字」から始めるのがおすすめ
長島は、国語が苦手な生徒に対して、
「つまり国語でいうと、苦手な人はとりあえず文法と漢字から始めようという事ですね。」
という問いに対し、
「それでいいと思います。それでうまくいったらちょっと楽しめると思います。」
と答えています。
文法と漢字は、
- 努力が点数に直結しやすい
- 「できること」が増える実感を得やすい
という意味で、国語が苦手な子にとって最初の突破口になりやすい分野です。

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国語の文法を得意にする意義
ここからは、記事後半で述べられている「文法を得意にする意義」を、4つの観点から整理します。
① 文章を正しく伝え・理解するために必要
国語は、私たちが日常生活で最も頻繁に使っている言葉です。しかし、
- 「日本語で生活できている」こと
- 「日本語を正しく使えている」こと
は必ずしもイコールではありません。
例えば、次の文を見てみましょう。
「私は音楽を聴きながら勉強している友達に声をかけた。」
この文は、
- 自分が音楽を聴きながら、勉強している友達に声をかけたのか
- それとも、音楽を聴きながら勉強している友達に声をかけたのか
どちらの意味にもとれてしまう、あいまいな文です。
文法の理解が不十分だと、
- 自分が伝えたい情報が相手に正しく伝わらない
という事態が起こりかねません。
逆に言えば、自分の意見や意思を正しく伝えるために、文法の理解は不可欠です。また、
でも述べているように、文法が理解できるようになると文章が各段に読みやすくなるというメリットもあります。
つまり、国語の文法は、
- 自分で伝える力
- 筆者の意図を正しく読み取る力
の両方を支える基盤なのです。
② 文語文法(古典)の理解に直結する
古典を学習するときに出てくる「文語文法」は、
- 現代の話し言葉のきまり=口語文法
- 古文に見られる言葉のきまり=文語文法
という区別のうえに成り立っています。
重要なのは、文語文法は口語文法の理解を前提にしているという点です。つまり、
- 現代の国語文法があやふやだと、古典文法の説明自体が理解しにくい
- 古典学習に入る前に、もう一段階手前の「国語文法のやり直し」が必要になってしまう
という状況になりかねません。
文法問題を得意にしておくことで、
- 古文に対して「よく分からない」から来る苦手意識を持たずに済む
- 中学・高校以降の古典学習にスムーズに入れる
という大きなメリットがあります。
③ 英文法の理解にも不可欠
英単語を覚えるとき、
- それが名詞なのか、動詞なのか、形容詞なのか
といった品詞の区別を、日本語の感覚で理解しておくことは非常に重要です。
語順の問題でも、
- 主語・述語・目的語などの位置関係
を国語の文法レベルで理解していると、正しく並べやすくなります。一方、
- 英単語自体は覚えていても、日本語としての品詞が分からない
という状態では、語順問題で悩んでしまうケースが多くなります。
中学生が最初に躓きやすい「三人称単数のs」も、
- 「主語が何か」を日本語の文法レベルで理解していれば、すんなり受け入れられる
はずの内容です。
どんな場合であっても、英文法を学ぶときには国語の理解が前提になります。国文法を得意にしておくことは、
- 英文法の理解を早めるための投資
と考えることができます。
④ 全ての教科で「問題文を正しく読む」力につながる
最終的には、国語の文法は全教科の学力アップに直結します。なぜなら、日本の学校における問題文は、基本的にすべて日本語で書かれているからです。
例えば、
- 「マグマが固まってできた岩石を何というか。」
といったシンプルな問題であれば、知識さえあれば解けます。しかし、
- 条件が複雑な問題
- いわゆる「ひっかけ問題」
では、
- そもそも問題が何を聞いているのかを正確に理解できない
と、正しい答えにたどり着くことはできません。
さらに、
- 社会・数学・理科などでも記述問題が出題されることがある
- 自分の考えを日本語の文として表現する場面は、入試全般で増えている
という現状をふまえると、
国語の文法を学ぶ最大のメリットは、
- 全教科の点数アップにつながる可能性があること
だと言えます。
まとめ:文法は「国語の点」以上の価値がある
ここまでの内容を整理すると、国語の文法を得意にする意義は次のようにまとめられます。
- 入試問題では文法そのものの出題は少なくても、主語と述語の関係を捉える力は長文読解の土台として重要。
- 文法テストは点数として成果が見えやすく、国語が苦手な子の「やる気」のきっかけになりやすい。
- 文法は論理的に言葉の仕組みを説明する道具であり、構造が分かると勉強の醍醐味・面白さを実感できる。
- 国語の文法を理解することで、文章を正しく伝え・正しく読み取る力がつく。
- 文語文法(古典)、英文法の理解を支える前提知識として機能する。
- 日本語で書かれた全教科の問題文を読み解くための基礎となり、全教科の点数アップの可能性を広げる。
- 国語が苦手な場合は、まず文法+漢字から着手することで成功体験を積みやすい。「できるようになった」という実感が、次のステップへの原動力になる。
文法は、出題数だけを見ると「おまけ」に見えてしまうかもしれません。しかし実際には、読む・書く・考えるすべての場面で効いてくる“縁の下の力持ち”のような存在です。目の前の文法問題から、ぜひその面白さと手応えを味わってみてください。
当塾の取り組み:文法から国語全体の力を底上げする
読解ラボ東京では、文法を「単なる暗記科目」としてではなく、国語全体の理解を深める入り口として位置づけています。
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