早稲田中学校・令和3(2021)年度の過去問解説
このページでは、早稲田中学校・令和3年度入試(国語)から厳選した問題について、動画とあわせて解説します。
実際の入試問題を通して、「心情問題の読み解き方」や「傍線部の説明=言い換え問題の攻略法」を整理し、中学受験の国語で得点力を高めるポイントを確認していきましょう。
早稲田中学校・令和3年度 厳選解説動画
令和3年度 早稲田中学校の入試問題から、厳選した問題とその解説をお届けします。
動画では、本文の読み方・設問の意図・答案のまとめ方まで、入試本番で活かせる視点を丁寧に解説しています。
▶ 解説動画はこちら:
https://youtu.be/2F77mNpV5YY
解説
大問一 問八:傍線部の心情を読み取る問題
この問題は、傍線部の人物の「心情」を問う設問です。
心情問題では、まず【背景】と【出来事】を整理し、そこから【心情】を導くのが基本の流れになります。
【背景】(何が起こっている状況か)+【出来事】(その場で何をされた/何をしたか)
を整理し、その結果としての【心情】を考えることがポイントです。
本文上の手がかり整理
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会話部分より:
「『オマエ、なんで長崎へいった?』『それは・・・~しゃべりたかったらしい』」
「自分では謝りたい~途方にくれてて・・・」
などの記述から、
【背景】として、
【両親の役に立ちたいと思って長崎まで行ったので、その話をしたいが、うまくことばにできない。】
という状況が読み取れます。
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また、傍線部そのものから、
「ふてくされた顔で小さくなっていった」という描写が示されているため、
【出来事】として、
【傍線部より、ふてくされた顔で小さくなっていった】
という「様子」が分かります。
そこから導かれる心情
【背景】と【出来事】を合わせて考えると、
- 両親の役に立ちたいという思いはある
- そのために長崎まで行ったという行動もある
- しかし、そのことをうまく言葉にできず、ふてくされた様子になる
以上から、【心情】は、
【困っている】
すなわち、「両親にうまく思いを伝えられず、戸惑い・困惑を感じている心情」ととらえられます。
これらをまとめると、答案としては次のような内容になります。
【両親の役に立ちたいと思って長崎まで行ったので、その話をしたいが、うまく言葉にできず、困っている。】
このように、「行動の目的」+「うまくいかない現実」のギャップが、心情問題の核になっています。
大問二 問:傍線部はどういうことか(説明=言い換え)を答える問題
こちらは、「傍線部とはどういうことか」を問う説明問題です。
説明を求められたときは、「傍線部とイコールの内容」を本文中から探して答えにします。
傍線全体を細かく言い換えなくてもよい場合があります。
今回のように、傍線の中のキーワード(例:「連帯感を築く」)に注目し、
その部分とイコールになる内容を本文から探すのが効果的です。
「連帯感を築く」に注目して本文を読む
傍線部のすぐ後ろに、次のような記述があります。
- 傍線4の直後:
「子どもに朝食を食べさせ登校させられない一人世帯、手を挙げて『困った』と言いづらい人たちがいます。」 - 続く文:
「でも、そこには~ないでしょうか。」
ここから読み取れるのは、
【弱い立場の人を助けようと考えられるようになる】
という内容です。
つまり、「連帯感を築く」とは、社会的に困っている人・声を上げづらい人の存在に気づき、支え合おうとする姿勢を指していると考えられます。
選択肢との対応
以上を踏まえると、「連帯感を築く」とイコールになる内容を述べているのは、
選択肢ア
「感染防止のため他社と距離をとらねばならない一方で、孤立しがちな社会的弱者とも協力して立ち向かわねば感染の拡大は抑えられないということ」
となります。
ここでは、
- 「孤立しがちな社会的弱者とも協力して立ち向かう」= 弱い立場の人を助けようと考える
- その協力・支え合いが、「連帯感を築く」ことに対応している
と読み取れるため、選択肢アが適切な答えだと分かります。
まとめ:早稲田中の国語で得点するためのポイント
- 心情問題では、【背景】と【出来事】をセットで整理し、その結果としての心情を言葉にすることが大切。
- 主人公の行動の目的と、現実とのギャップに注目すると、「困惑・迷い・戸惑い」などの心情が見えてくることが多い。
- 「どういうことか」を問う説明問題では、傍線部全体を無理に言い換えようとせず、キーワード(例:連帯感)に注目すると読みやすい。
- そのキーワードとイコールになる内容が、傍線直後や直前に書かれていることが多いので、前後の文を丁寧に読む。
- 本文から導いた「イコールの内容」を、選択肢の中から一番近い表現として選ぶことで、論理的に正解にたどり着ける。
解説動画とあわせて復習しながら、「なぜその答えになるのか」を自分の言葉で説明できるレベルを目指していきましょう。
その積み重ねが、早稲田中学校をはじめとする難関校の入試本番で、安定して得点できる国語力につながります。



