開成中学校・令和3(2021)年度の過去問解説

開成中学校・令和3年度厳選解説動画

令和3年度 開成中学校の入試国語から、重要な設問をピックアップし、解き方の「型」とともに解説します。本文中のどこから根拠を拾えばよいか、どのように心情や比喩表現を読み解けばよいかを整理していますので、開成志望者はもちろん、難関中学国語の記述対策としても活用いただけます。

令和3年度 開成中学校の入試より、厳選した問題とその解説をお届けします。

解説

大問一 問三:背景と出来事から心情をつかむ

この問題では、傍線③A・Bにおける主人公「拓也」の心情が問われています。心情問題は、次の手順で整理すると考えやすくなります。

【心情読解の基本】
・まず背景(それまでの状況・文脈)を確認する。
・次に出来事(行動・発言)を整理する。
・背景+出来事から、どのような気持ちかを論理的に導き出す。

① 傍線③A「『ちょっとカッコ悪いなァ』と言って、笑ってみせた」

傍線Aの直前を読むことで、拓也の置かれている状況と行動が分かります。

  • 背景:穴のあいたズックを縫ってもらってうれしい。
  • 出来事:「ちょっとカッコ悪いなァ」と言って、笑ってみせた。

この二つを組み合わせると、次のように読み取れます。

  • 本当はうれしいのに、それを素直に言うのは恥ずかしいので、「カッコ悪い」と冗談めかして言い、笑ってごまかしている。

したがって、傍線Aにおける拓也の心情は、

「ズックの穴を縫ってもらい、うれしくなったが、それを素直に言うのは恥ずかしい。」

とまとめることができます。いわゆる「照れ隠し」の感情です。

② 傍線③B「言わなければよかった」

続いて、傍線Bの直前を確認します。

  • 「なんもカッコ悪いことがあるもんか~母親の言葉のおわりがかすかにふるえているようだった」

ここから、以下のように整理できます。

  • 背景:拓也が「カッコ悪い」と言った。
  • 出来事:母親がそれを否定しながら話すが、その言葉の終わりがかすかに震えており、泣きかけているように見える。

この「震え」によって、拓也の言葉が母親を傷つけてしまったことが読み取れます。したがって、傍線Bにおける拓也の心情は、

「母を傷つけてしまったと思い、『カッコ悪い』などと言わなければよかったと後悔している。」

と整理できます。

大問二 問二:比喩表現をブロック分けして読み解く

傍線1「定置網にはまり~嫉妬している」に対して、その意味を説明させる問題です。比喩的なまとまりが長いので、まずはブロック分けを行います。

【ブロック分けの手順】
(1) 傍線部を意味のかたまりごとに区切る。
(2) 各ブロックが本文中で何を指しているのかを探す。
(3) それぞれを平易な日本語に言い換え、最後にすべてを一文にまとめる。

この文章では、傍線部を次の3つに分けて考えます。

  • ①「定置網にはまり」
  • ②「うさぎ跳びをしながら」
  • ③「出る杭に嫉妬している」

① 「定置網にはまり」= 周りに合わせて有名企業に就職する

  • 傍線の直前:
    「もちろん、成功している~といった漠然とした理由で定置網にはまり」

ここから、

  • 「有名だから」という漠然とした理由で就職先を選ぶ。
  • 「みんながそうしているから、自分も同じようにする。」

という姿が読み取れます。これらを合わせて、

「周りに合わせて、有名な会社に就職すること」

が、「定置網にはまり」にあたると分かります。

② 「うさぎ跳びをしながら」= 意味のない努力を続ける

どのような文章か説明を求められているときは、同じ言葉が用いられている部分を丁寧に確認します。

  • 傍線の前:
    「体に悪い~考えずに意味のない努力をさせがちだ。」

ここから、

  • 「うさぎ跳びをしながら」=「意味のない努力をしながら」

と読み替えることができます。

③ 「出る杭に嫉妬している」= 成功した人に嫉妬する

  • 傍線1の3行ほど前:
    「成功して莫大な~かなったりするようなこともない。」

この文脈より、

  • 「出る杭に嫉妬している」=「成功した人に嫉妬している」

と整理できます。

④ 3つをまとめて傍線部全体の意味にする

以上を一文にまとめると、傍線1の内容は、

「周りに合わせて有名な会社に就職し、意味のない努力をしながら、成功した人に嫉妬していること。」

と説明することができます。

開成中学校は難関校ではありますが、国語の問題は答えになる部分が必ず文章中に書かれています。本文から根拠を探し、論理的に言い換えることを意識して演習を重ねていきましょう。

まとめ:開成中・国語で押さえたい解き方の「型」

  • 心情問題は、背景+出来事→心情という流れで整理すると読み取りやすい。
  • 比喩的な長い傍線部は、ブロック分けをして一つずつ平易な日本語に直す。
  • それぞれのブロックに対応する本文の記述を探し、本文の言葉で答えることを意識する。
  • 開成中の国語は難しく見えても、答えの根拠は必ず本文中にある「宝さがし」。
    解き方の型を身につけ、本文から論理的に根拠を拾う練習を重ねることが重要。

こうした読み取りの型を普段の学習から意識しておけば、開成中学校をはじめとする難関校の記述問題にも、落ち着いて対応できるようになります。

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