「記述力を向上させる」読解ラボ流のポイント
中学入試 記述のポイント
入試国語の記述で求められる力とは何でしょうか。文章力?感性?――実は、それらが求められる問題はほとんどありません。記述問題で不可欠なのは、答えを文中から見つけ出す力です。なぜなら、受験の記述は文中から答えになる部分を取り出してまとめるタイプの問題が圧倒的に多いからです。
記述を「偶然当たる」から「再現できる」に変える練習全体像は、国語専門塾のオンライン個別指導(全体像はこちら)で整理しています。まずは「説明文・物語文それぞれの書き方の形式」をまとめて確認したい場合は、中学受験 国語の記述問題の書き方(説明文/物語文の形式)もあわせて参照してください。
また、記述が「何となく書いている」状態から抜け出せない場合は、実際の答案がどのように改善されていくのかを具体例で確認することが有効です。答案の変化を通して減点ポイントと修正の方向性を把握したい場合は、国語の記述答案ビフォーアフター集──NG答案がこう変わる!も参考になります。
記述力を「解法パターンで再現」するための最小まとめ
- 説明記述:傍線部=内容(イコール)+理由(別根拠)
- 心情記述:背景→出来事→心情の順でそろえる
- 字数調整:足りない→理由(根拠)を足す/多い→重複を削る
ミニ例:説明は「内容+理由」で作る
設問例:傍線部「それは誤りである」とはどういうことか(40~60字)
作り方:①「それ」が指す内容を言い換える(内容)→②本文の根拠を1つ足す(理由)
答案例(基本に沿った形)
人間は一人で生きるという考えは、体内に多数の生物が共生しているため誤りである。
30秒練習:構成案に沿って答案を作る
次の枠を埋めるだけで「書ける形」になります(語彙が弱い子でも可)。
説明記述テンプレ
(傍線部)とは、【内容(イコール)】____________。
その理由は、本文に【根拠】____________とあるからだ。
ある学校の入試問題で、傍線部③「生物学的にはそれは間違いである」を50~60字で説明せよ、という問題が出題されました。説明文の項で述べたように、説明を求められたら「イコールの内容」を探します。傍線部③の直前を読むと、「それ」が指すのは「人間は一人で生まれて一人で死ぬという考え」であると分かります。すると、傍線部③=生物学的には人間は一人で生まれて一人で死ぬという考えは間違いである(X)となります。しかし、Xだけでは50字に満たず不十分です。記述で字数が足りないときは、自分の書いた内容の理由、またはイコールとなる別の内容を加えて字数を調整します。今回はXの理由が本文に書かれていました。傍線部③の8行前を見ると、人間の体には一億以上の生物が住んでいる(Y)とあります。つまり、人間は無数の生き物と共に生きているのです。だから、Xの通り、「人間は一人で生きている」という考えは生物学的に誤りなのです。言い換えれば、Xの理由がYということになります。したがって、XにYを付け加えれば答えが完成します。私が採点者で10点満点なら、Xが書けて5点、Yが書けて5点、と採点するでしょう。説明の「イコール内容+理由」で組み立てる基本形は、国語 記述 ルール|3つの基本構成で書ける・言い換え2例外でも整理しています。
この段階で、「解き方は分かるが答案に落とし込めない」というケースも少なくありません。その場合は、記述が止まる原因をタイプ別に切り分けて確認すると整理しやすくなります。書けない理由の分類と対応策は、記述が書けないのは才能ではない?原因タイプ別に改善する方法で整理しています。特に、要素は拾えているのに答案が書き散らしになってしまう場合は、書き散らしになる子の論理整理トレーニングの考え方が有効です。

このように、記述の問題は本文中から答えになる個所を見つけ、そしてそれらをつなぎ合わせることで答えを作るのです。したがって、文章力や感性ではなく答えを文中から見つける力が求められると言えるのです。答案を自力で見直す際の基準や部分点の考え方は、国語の記述問題はこう自己採点する|採点基準と部分点の付け方で具体化しています。
ミニ例:心情は「背景→出来事→心情」でそろえる
設問例:少年Aが泣いたのはどんな気持ちか(30~50字)
答案例(基本に沿った形)
疑われ続けていたが、母親だけは先入観なく接してくれたので、うれしくて泣いた。
書く順番が逆(心情→背景)になると、根拠不足で減点されやすくなります。
心情記述テンプレ
【背景】____________。
【出来事】____________。
だから【心情】____________。
ですが、物語文における心情を記述させる問題はどうでしょうか。多くの物語文では登場人物の心情を明示しません。ですから、そういった類の問題では感性や文章力が問われるように思われます。しかし、やはりそれも誤解です。心情の記述でも答えを文中から見つける作業が根幹を成します。
物語文の項でご説明いたしましたが、心情を考える時には背景と出来事を整理します。これもとある入試問題を素材とした話なのですが、背景として、少年Aは悪ガキとして扱われており、大人たちから常に疑いのまなざしを向けられていました。ところが、出来事として、主人公の母親はそういった先入観を持たないで少年Aに接してくれました。そして、そのとき少年Aが泣きました。この泣いたところに傍線が引かれ、このときの少年Aの心情を問う問題が出題されました。背景と出来事を踏まえれば、少年Aの気持ちは手に取るように分かります。今まではずっと大人たちから疑われて過ごしていたのに(背景)主人公の母親は疑わないでいてくれた(出来事)のです。これらから、少年Aはうれしくて泣いたのだと分かります。つまり、傍線部における心情は「うれしい」です。私が採点者で、かつ10点満点であれば、背景を書けて3点、出来事を書けて3点、うれしいという心情を書けて4点とします。心情の「背景→出来事→心情」で乱れがちなポイントと見直し観点は、理由を答える問題で減点が止まる記述の書き方(解法パターンと見直しチェック)も参考になります。

要するに、心情を記述する問題であれば、その心情を導くための背景と出来事を記述しなければならないということです。そして、背景と出来事は文中に必ず書かれているのです。したがって、物語文における心情を記述する問題でも、やはり答えを文中から見つけるという作業が不可欠になります。また、この背景と出来事をおさえてしまえば、登場人物の心情を推し量ることは容易です。明示されないとは言っても、心情はきちんと文中に根拠があるということです。構成は分かっているのに答案が散らかる場合は、記述の構成を理解しているのに書けない子の原因と改善法の観点で整理すると改善しやすくなります。
さらに、心情や説明を支える語彙が不足していると、要素は拾えていても表現が単調になりがちです。語彙面から記述力を底上げしたい場合は、語彙が弱い子のためのオンライン記述強化法の整理が役立ちます。
ここまでご説明した通り、記述の問題は答えを文中から見つけて対応していきます。そして、答えとなる個所を見つける手法は選択肢や抜き出しなどの客観問題とほとんど変わりません。確かに字数の増やし方は記述独特と言えます。しかし、それでも説明を求められたらイコールの内容を考えるのです。心情を問われたら背景と出来事を整理するのです。これらの手法は客観問題でも必要不可欠のものです。ですから、記述ができないという生徒さんは、そもそも客観問題をきちんと解けているのかをまず疑うべきでしょう。逆に言えば、記述問題をきちんと解けるようになれば、客観問題の正答率も安定する可能性が大いにあるということにもなります。なお、「記述式とは何か(要素の抜き出し→文章化→最小チェック)」から整理したい場合は、記述式とは|要素の抜き出しと文章化の手順・最小チェックが導入として機能します。
記述力を確認するためのセルフチェックと練習
まず確認:この3点がそろっているか
- 答えに使った内容が、本文のどこに書いてあるか言える
- 説明なら「何のことか」と「なぜそう言えるか」が分かれている
- 心情なら、出来事だけでなく背景も本文から拾えている
この3点があいまいな場合、記述力そのものより根拠整理の段階で止まっている可能性が高いです。
ミニ練習①:説明記述(30〜40字)
設問例
傍線部「この考えは誤りである」とはどういうことか。
考えるポイント
- 「この考え」が指す内容を一言で言い換える
- その内容を支える本文中の理由を1つ探す
書き出し例
〜という考えは、本文に〜とあるため誤りである。
ミニ練習②:心情記述(30〜50字)
設問例
少年Bが安心したのはどのような気持ちからか。
考えるポイント
- その直前までの人物の立場・状況(背景)
- 心情が変わるきっかけになった出来事
書き出し例
周囲から〜と思われていたが、〜してもらえたため、安心した。
この2種類の練習で詰まる場合は、「書く力」以前に本文から要素を拾う精度を見直す必要があります。
記述力とはに関するFAQ
Q1. 記述力は文章力やセンスですか
入試国語の多くは、本文根拠を拾って要素をつなぐ「再現型」です。まずは形式(説明=内容+理由/心情=背景→出来事→心情)で点が出る状態を作り、表現の磨き込みはその後で十分です。
Q2. 字数が足りないとき、何を足せばいいですか
理由(根拠)を足します。自分の感想や一般論を足すと減点されやすいので、本文の別箇所から「同じ内容を支える根拠」を1つ追加するのが安全です。
Q3. 逆に字数が多いときはどう削りますか
①重複(同じことを言い換えて2回書いている部分)を削る、②主語が重い場合は省略・短縮、③背景や理由を1つに絞る、の順が基本です。最初に削るのは「本文根拠」ではなく「言い回し」です。
Q4. 要素は拾えるのに答案が散らかります
多くは「並べるだけ」で因果・順序が乱れています。説明なら内容→理由、心情なら背景→出来事→心情の順に定着させると、散らかりが止まりやすくなります。
Q5. 記述が苦手な子は、まず何からやるべきですか
記述以前に、本文から根拠を拾う客観問題(抜き出し・選択)の精度が不安定なことが多いです。まずは「根拠を拾う→要素を2~3個に絞る→テンプレに流し込む」の順で、再現性を作ってください。
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